アメリカ合衆国の州を愛称から巡る その62 『ビール』とウィスコンシン州

ウィスコンシン州は、シカゴの西、五大湖の左にある州です。最大の街はミルウォーキ(Milwaukee)ときけば、ウィスコンシンという州が少しはイメージが湧くかもしれません。1960年代にビールのコマーシャルで「ミュンヘン、サッポロ、ミルウォーキ」というキャッチコピーがありました。ミルウォーキは、世界三大ビール生産地としてミュンヘン、札幌と肩を並べています。

Silo in Wisconsin

2018年現在、ウィスコンシン州の総人口は約579万人です。第二次世界大戦が終わった1945年以降、常に人口が増え続けています。州名のウィスコンシンはインディアン部族オジブワ族(Ojibwa)の言葉で「赤い石の地」を意味する「Miskwasiniing」がフランス語風になまった言葉が元になっているとされています。州都のマディソン(Madison)は5つの湖の間にある美しい街としてアメリカ国内では有名であり、極めて優れた都市計画のもとに作られています。カリフォルニア大学(University of California)の本校のあるバークリー(Berkley)と比較してリトル・バークリー(Little Berkley)とも呼ばれる大学町です。ウィスコンシン大学マディソン校は生物化学などが有名であり、大学院ランキングブックで社会学部門1位など州立大学としては国内トップクラスとなっています。

Leinenkugel beer

ウィスコンシン州の最大の産業は酪農業です。広大な土地と州内を巡る綺麗な水は酪農に適しており、牛乳やチーズは全米でトップの生産量を誇ります。開拓時代にスイスから移り住んだ人たちによって酪農が始まり、とくにチーズは本場スイス顔負けの品質と言われています。この酪農に対する思い入れは非常に強く、NFLの強豪チームであるグリーンベイ・パッカーズ(Green Bay Packers)のファンはチーズの形をした帽子(cheese head)を被って応援するほどです。州の愛称は「America’s Dairyland」。アメリカの酪農地帯と呼ばれています。

ウィスコンシン州では酪農以外にも水に関連する産業が充実しています。豊富な水資源はミシガン湖(Lake Michigan)、スウペリオル湖(Lake Superior)、ミシシッピ川(Mississippi River)、ウィスコンシン川(Wisconsin River)などを通じて州内を巡っています。同州はこの水資源を生かしたビールの生産が盛んなことは前述しました。小麦の生産が盛んなこと、涼しい気候がビールの醸造に好適なためです。他にもウィスコンシン州は小麦と水に恵まれていると同時に、ドイツ系の移民が開拓したことが関係しています。1800年代にドイツ系移民によって伝統的なビール作りが始まり、同州には次々にビール工場が作られました。同州にミラー(Miller)やシュリッツ(Schlitz)などのドイツ系の名前のメーカーが拠点を構えていました。ミラーはクアーズ(Coors)と合併してから本社がなくなりました。

Milwaukee Tool

ミルウォーキには「Milwaukee Tool」という世界シェアNo. 2の建設工具メーカーがあります。プロユーザー向けの高耐久性の電動工具、アクセサリー、手工具を製造する業界屈指の企業となっています。ドイツ系住民がもたらした機械の職人技が現れています。