木枯らしの候、なんともいえない心地良い響きの地名にフランドル (Vlaanderen、Flandern) があります。フランドル地方は、オランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域といわれます。日本では英語由来のFlandersですが、「フランダース」よりも「フランドル」の読みから暖かさを感じます。
音楽では15世紀から16世紀にかけて、フランドル楽派と呼ばれる音楽家が輩出します。フランドル楽派は、ルネサンス(Renaissance) 音楽を代表する作曲家達の総称で、ネーデルランド(Netherlands)楽派と呼ばれていました。後のバロック (baroque)音楽の礎となりました。フランドル楽派の特徴は、複数の独立した声部からなる音楽、ポリフォニー(polyphony) にあります。ヤコブ・オブレヒト (Jacob Obrecht)、ジョスカン・デ・プレ (Josquin Des Prez)、ジョバンニ・パレストリーナ (Giovanni da Palestrina)、オーランド・ラッソ (Orlando di Lasso) らが作曲したミサ曲(mass)、モテット(motet)が有名です。
オランダにおける絵画も有名です。特にフランドル絵画は、毛織物業を中心に商業、経済が繁栄したことを背景にフランドル地方で発展したといわれます。バロック期にかけてルーベンス(Peter Paul Rubens) 、レンブラント (Rembrandt Harmenszoon van Rijn)、フェルメール(Johannes Vermeer)らが活躍します。
児童文学書で知られたのが「フランダースの犬 (A Dog of Flanders)」。舞台は19世紀のベルギー北部のフランドル地方です。少年ネロ(Nello)、祖父のダース老人(Jehan Daas)、忠実な老犬パトラッシュ(Patrasche)が主人公です。吹雪の中、ネロとパトラッシュはアントワープ (Antwerp)にある聖母大聖堂で憧れのルーベンスの二枚の絵の前にやってきます。キリストが十字架から降ろされる絵です。そして叫びます。
” I have seen them at last ! ” he cried aloud. ” O God, it is enough ! “
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