文化を考える その17 それぞれの家族史 その9 司書の養成の違い

図書館法による司書及び司書補の資格は、第5条に規定されている。この資格は、図書館学関係の科目が開講されている短期大学や四年生大学で、要件とされる単位を修得して卒業するか、自治体に就職して3年以上図書館勤務になった者が司書講習を受講して得られることを前回触れた。

我が国の主要な司書養成機関についてである。1979年に国立図書館情報大学がつくば市に設置された。修士課程は1984年に、博士課程は2000年に設置された。だが2002年に図書館情報大学は筑波大学に統合され、図書館情報専門学群となっている。ここが我が国の司書を養成する最も整った大学なのだが、、、

さて、アメリカの司書養成の歴史である。1887年にはじめてコロンビア大学(Columbia University)にLibrary Schoolが設立される。アメリカの大学では学部をSchoolと呼ぶのが習わしである。その後多くの大学でLibrary Schoolができる。たとえば、1928年に全米最初の図書館学の修士課程がシカゴ大学に(University of Chicago Gradute Library Science)できる。これは図書館学(Library Science あるいはLibrary and Information Studies)と呼ばれるようになる。1931年、ノースカロライナ大学(University of North Carolina-Chapel Hill)などに図書館学の大学院が、さらに1948年にはイリノイ大学(Unversity of Illinois, Urbana-Champaign)に博士課程ができる。

こうした司書養成の大学のカリキュラムは、全米図書館協議会(American Library Association-ALA)が認定機関(Accreditation)となり、設置が認められる。アメリカの大学はこうした民間機関に所属することによって、修了者に資格を付与する権限が与えられている。このように司書になるためには、Master of Library Science-MLS、あるいはMaster of Library and Information-MLIという修士号が不可欠となっている。

我が国のどれだけの司書が図書館学の修士号や博士号を持っているだろうか。司書の世話になった者としてその資質と力量に大いに関心がある。

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