囲碁にまつわる言葉 その5【棊子麺】

八碁連の前身である碁老連は、同好会同士の囲碁対抗戦をやっていました。各同好会より6名の代表を選んで開いたようです。さらに新春囲碁祭りを2日間に渡って行ったというのですから、その元気さが伺えます。平成2年の大会には、今もかくしゃくとしておられる信江峻氏のお名前もあります。平成4年くらいまでは、ニューズレターは大会記録や碁楽連の規約、内規を満載です。

平成2年には、電話100年事業の一環としてNTT八王子支店が敬老囲碁大会を主催しています。大会参加者多数のために、予選会を実施するという盛況ぶりです。このときの弁当は,海苔巻き、いなり詰め弁当で300円とあります。ニューズレターには、駄句という断りながら、【碁敵は憎くも、愛し燕来る】【目を余して優勝ビール冷ゆ】という名句が掲載されています。

棊子麺

—–【棊子麺】——–
「棊」とは、碁や将棋の競技などの意味で、他の盤上遊戯の駒や碁石、その盤を意味します。「棊」は「棋」の以前に使われていた字です。棊は棋の異体字というわけです。江戸時代後期の有職故実の随筆『貞丈雑記』では、棊子麺は「小麦粉をこねて薄くのばし、竹筒で碁石の形に打ち抜き、ゆでてきな粉をかけた食べ物」との記述があるようです。原型は麺でなく碁石型だったというのですから面白いことです。現在は「ひもかわ」とも呼ばれ、平打うどんが通称になっています。

棊子麺の名称は、紀州の人々が食していた平打ち麺で、紀州麺から転じた用語という説があります。別の説もあります。信長の時代に『日葡辞書』というポルトガル語辞典がイエズス会から出版されます。その中に「Qiximen」という項目があり、「Qiximen.キシメン(棊子麺) 小麦粉で作った食べ物の一種」という記述があるようです。囲碁とは全く関係がなさそうですが、、、