懐かしのキネマ その72 【ダイ・ハード】

英語の題名は【Die Hard】。「最も不運な場所に居合わせる、最も不運で簡単には死なない男」が、ニューヨーク市警(New York City Police Department)のジョン・マクレーン刑事(John McClane)です。「世界一ついてない男」と揶揄されていますが、マクレーンは気にしません。マクレーンは、クリスマスイブに別居中の妻ホリー(Holly) に会うためロサンゼルス (Los Angeles) にやって来ます。そしてホリーが勤めている日系企業のナカトミ商事(Nakatomi Corporation)で、彼女と再会しますが、2人は口論を交わしてしまいます。

その日に企画されたクリスマス・パーティに2人は、手配したリムジンの陽気な運転手アーガイル(Argyle)の運転で、会場のナカトミ・プラザビルに向かいます。突如、ドイツ人のハンス・グルーバー(Hans Gruber)とその部下たちが、重武装で乱入してきます。パーティーの出席者全員が彼らの人質になります。マクレーンは脱出し難を逃れます。

John McClane

強盗らの目的は、厳重なセキュリティーにより保管されている6億4千万ドルの「無記名債券」(bearer bonds)でした。マクレーンはグルーバーらが占拠するフロアから脱出し、火災報知機を作動させますが、グルーバー一味が報知器の誤作動だと通報したことによって、いったん出動した消防隊は引き返してしまいます。次にマクレーンは一味の一人から奪った無線でロサンゼルス市警察に通報します。しかし、ロス市警はマクレーンが有線ではなくわざわざ無線を使って通報してきたこと、報知機の誤作動を起こしたナカトミ・プラザだったことから、イタズラだと疑って取りあいません。

しかし、その最中に銃撃戦が始まったことで、直近のパトロール警官に見回りを指令します。そこでマクレーンは、確認のためにナカトミ・プラザを訪れたアル・パウエル(Al Powell)巡査部長のパトカーへ、倒した一味の死体を落として異常事態を知らせるのです。一味からの銃撃も受けたパウエルは市警本部に応援を要請します。

Bruce Willis

マクレーンは、こうして手強いテロリストにたった1人で立ち向かうのです。ジョークを用いて敵を倒していく姿は、無鉄砲な一面もあります。偽造された身分証明書を見抜いたり、煙草の銘柄から出身国を推測するなどと、刑事としての洞察力が優れています。屋上やコンピュータ室での銃撃戦でゲリラ戦を展開したり、即席爆弾を作り戦術面や工作面でも高い技術を持つ刑事として描かれます。ただのアクション映画ではありません。