ナンバープレートを通してのアメリカの州 その十七 ケンタッキー州– Bluegrass State

ケンタッキー州(Kentucky)といえば、スティーブン・フォスター(Stephen Foster)が作詞作曲した「ケンタッキーの我が家」(My Old Ketucky Home)を想い出します。60代以上の人なら誰もが聞き口ずさんだことのある哀愁味漂う曲です。フォスターは他にもスワニー河(Swanee River)、オールドブラックジョー(Old Black Joe)、夢見る人(Beautiful Dreamer)など150曲余りを作りました。彼は「アメリカの音楽の父」と呼ばれています。

ナンバープレートには「Bluegrass State」とあります。草原を遠くから眺めると青紫色のつぼみが一面広がり、「青い草」に見えたので名付けられたとあります。ブルーグラス・ミュージック(Bluegrass Music)です。スコットランドやアイルランドの音楽を基にしています。アップテンポの曲が時代と共に多くなり、速弾きなどのインプロヴァイズ(即興演奏)もあります。お隣テネシー州でもこの音楽は盛んです。

Map of Kentucky

ケンタッキーはイリノイ、インディアナ、オハイオ、ミズリー州に囲まれ、オハイオ川とミシシッピー川で州境をなしています。東側にはアパラチア山脈が聳えていて、豊かな自然に恵まれています。この州はなんといっても「ブルーグラスの州」と呼ばれ、肥沃な土壌からの多くの農産物がとれます。州都はフランクフォート(Frankfort)。最大の都市はルイビル(Louisville)となっています。

Kentucky Derby

ケンタッキーは馬の生産地でも知られています。ケンタッキー・ダービー(Kentucky Derby)開かれるのこの地です。バーボン・ウイスキー(bourbon whisky)の一大生産地でもあります。その他タバコの生産も盛んです。ケンタッキーには自動車産業も盛んです。フォード、GM、トヨタの工場があります。トヨタはアメリカで最もポピュラーな車「カムリ」をここで組み立てています。

旅のエピソード その48 「ジョージアからウィスコンシンへ」

U-Hallに10個位のスーツケースを載せてウィスコンシンへ向かう途中のエピソードです。車はGM製のシボレーマリブ(Chevrolet Malibu)という中型の中古車です。ジョージア(Georgia) にいた元宣教師さんから譲り受けました。中型のセダンといっても日本では大型車のようにゆったりしています。長距離運転にはたいそう楽です。

インターステイト(Interstate) という州を結ぶ高速道路を走り、テネシー州(Tennessee)やケンタッキー州(Kentucky) の景色も楽しみました。インディアナ州(Indiana) に入ったとき、車の調子がおかしくなりました。高速道路から外れて、小さな街に入りそこのサービスステーションで具合を調べてもらいました。トランスミッションの部品を交換する必要があるというのです。部品を取り寄せるので、修理は翌日となるとの見立てです。街にはモーテルはありません。

仕方なく従業員に頼んで持参していたテントを駐車場に張らせてもらいました。そこで野宿となりました。クーラーに詰めてあった食糧や飲み物で夕食をとっていると、不審者だと思ったのかパトカーがやってきて、「どうしたのか」と尋ねるのです。事情を説明すると「気をつけなさい」 という言葉です。日本人の家族がテントを張っているのは、この街では始めてではなかったでしょうか。

この経験から学んだことは、サービスステーションは給油だけでなく、車も修理をする所だということでした。従業員は車のことを熟知しているのです。このマリブは20万マイルも走って大分疲れていたようでした。32万キロという距離です。後に車輪のベアリングが摩滅して動かなくなったり、バッテリーが破損するなどのトラブルに見舞われました。アメリカで最初に乗った車でしたので、自分でも見よう見まねで簡単な修理をしました。エンジンオイル、トランスミッションオイル、スパークプラグなどの交換、ラジエーター液やフィルターの交換などの作業です。450ドルで手放すときは少々しんみりしたものです。

アメリカ合衆国とニックネームの由来 その18 The Bluegrass State

ケンタッキー州(Commonwealth of Kentucky)の州都はフランクフォート(Frankfort)。最大の都市はルイビル(Louisville)となっています。「Kentucky」の意味ですが、イロコイ族(Iroquois)のイロコイ語で「平原」、チェロキー族(Cherokee)で「荒れ地」、「明日の土地」、「どす黒い血の地」と呼ばれていたといわれます。

ケンタッキーはアパラチア(Appalachia)炭田地帯に位置し、ウエスト・ヴァージニア州(West Virginia)とともに全米有数の石炭の産地です。他にタバコの生産は全米第二位ともなっています。

この州は「ブルーグラスの州」(The Bluegrass State)というニックネームがついています。ブルーグラス(bluegrass)はイネ科の多年草で芝生や牧草として使われています。踏みつけられて冬場にも強いのが特徴です。地下茎を伸ばして繁茂し庭やゴルフ場の芝生の他に土砂の流失防止のために斜面や荒地にも植えられています。

ケンタッキーは牧草地を利用したサラブレッド競走馬の飼育で知られ、五月第一土曜日はケンタッキーダービー(Kentucky Derby)がルイビルで開かれます。アメリカンクラシック(American Classics)三冠の第1冠として知られています。

親しみやすい農園歌、郷愁歌を多数作曲したスティーブン・フォスター(Stephen Foster)の作品に「ケンタッキーの我が家」(My Old Kentucky Home)があります。作品には黒人霊歌(Black spirituals)の影響を感じます。この曲はケンタッキー州議会により公式州歌として採用されています。

The sun shines bright in the old Kentucky home,
 Tis summer, the people are gay;
  The corn-top’s ripe and the meadow’s in the bloom
   While the birds make music all the day.