留学生の米国生活のことは、別に目新しいことではない。だが苦学した筆者には普段の院生の日課とはかけ離れた毎日だった。それは家族を抱えてアルバイトに専念しなければならなかったからだ。授業のない土日は家族を支える金子の稼ぎ時だった。
大学は日曜日の午後から始まる。週末をのんびりすごしたり、フットボールで浮かれた学生はぞくぞくと図書館にやってくる。アメリカの学部だが、授業に休講はない。基本的に詰め込みの連続である。大教室でも私語はない。出欠とりもない。だが教室は学生で一杯だ。試験が2回、そして小論文が一つ課されるのが普通である。そのために勉強は大変である。大学院も然り。授業時間は1日平均すると3時間程度、留学生であればその前に与えられるアサインメントのための予習、そして復習をこなすのに5、6時間はかかる。
学期は二期制。9月〜12月と1月〜5月である。学期の末には卒業式がある。それぞれ16週間の学期は各々独立していて異なる科目を履修する。7〜8週間ごとに中間と期末テストがあり、加えてそれぞれの科目について10枚くらいの小論文を提出しなければならない。だから金曜日になると、ヤレヤレという気持ちになる。この緊張のとけた空気のことを “TGIF(Thank God, it’s Friday)” と呼ぶ。”神様、ありがとう。ようやく金曜日が来ました ” という雰囲気である。金曜日の午後は授業はない。午後4時頃になると構内は閑散となる。学生はつかの間の羽目を外す時間がくる。
1学期、16週間という速いペースに馴れると、学生生活を楽しむことができるようになる。