懐かしのキネマ その56 【ミセス・ダウト】

 原題は【Mrs. Doubtfire】といいます。サンフランシスコ(San Francisco) に、失業した声優、ダニエル・ヒラード(Daniel Hillard)という3人の子どもの子煩悩な父親住んでいます。妻ミランダ(Miranda)は、収入のない夫に代わって、やり手デザイナーとして一家の家計を担っています。帰宅しても家事に全く協力せず子ども達との遊びにかまけている夫や、自分だけが仕事に家事にと追われていることに強いストレスを感じています。

 長男クリス(Chris) の誕生日、ミランダの留守中に自宅でパーティを開き、大騒ぎを起こしたダニエルに、ミランダの堪忍袋の緒が切れます。そして彼女から離婚の意思を告げられます。生活能力のないダニエルは養育権を奪われ、週一度の限られた時間にしか子どもたちに会えなくなります。

ミセス・ダウトファイアー

MRS. DOUBTFIRE, Robin Williams, 1993, TM and Copyright © 20th Century Fox Film Corp. All rights reserved..

 やがてミランダは仕事の忙しさでメイドを募集します。そのことを知ったダニエルは一計を案じ、メイクアップアーティスト(Makeup artist)の兄の手を借りて、イギリスの老婦人ミセス・ダウトファイア(Mrs. Doubtfire)にすっかり変身します。持ち前の演技力と女装で見事にミランダを騙し、メイドとして最愛の子どたちのそばにいられることになります。
 約束の時間に自宅を訪問し、上品でしっかりしたイメージを植え付け、ミランダに気に入られるのです。帰宅すると家庭訪問員に出くわしてしまうダニエルです。ミセス・ダウトファイアーとダニエルを交互に演じつつ、どうにか難を逃れます。翌日からミセス・ダウトファイアーは本領を発揮します。子ども達には笑顔で厳格に接し、だらだらと過ごさせないよう躾をしていきます。家庭のことなど一切やったことのないダニエルですが、料理本とにらめっこしつつ、夕食作りをするも当然失敗します。

 ダニエルはミセス・ダウトファイアーとして完璧に演じるべく、メイドの仕事を熱心に勉強します。子ども達の世話と夕食作りに精を出し、家族との友好と信頼を築き始めます。後日、ミセス・ダウトファイアーはミランダとゆっくり会話をする機会を得ます。そこで元夫ダニエルと離婚した本当の理由を聞くのです。3カ月後、離婚調停に出廷したダニエルは、自分から子どもを取り上げないで欲しいと必死に言葉を探します。ミセス・ダウトファイアーとして家族に近づいたこともあり、裁定は厳しいものになります。

 ミランダは新たにメイドを探し始めますが、ミセス・ダウトファイアーに勝る人物は見つかりません。その時、テレビからミセス・ダウトファイアーの声が聞こえてきます。慌ててテレビを観た家族は、そこに懐かしい顔を見ます。教育番組のホストとしてミセス・ダウトファイアーが出演していたのです。

 変装していたのはダニエルですが、架空のミセス・ダウトファイアーという人は、子ども達とミランダ、演者であるダニエルでさえも変えていったのです。ミランダはテレビ局にいるダニエルへと会いに行きます。