心に残る名曲 その三十七  「Go tell it on the mountain」

この曲もまた、アフリカン・アメリカンのスピリッチュアルソングです。ジョン・ワーク(John Wesley Work)という人が1865年頃に採譜したといわれます。それ以来、ゴスペルシンガーや歌手によって歌われレコーディングもされてきました。この曲は歌詞の内容からしますとキリストの誕生を祝うものですから、クリスマスキャロル(Christmas Carol)というジャンルに入れてよいようです。

Go tell it on the mountain
Over the hills and everywhere
Go tell it on the mountain
That Jesus Christ is born halleluya
The sheppard kept their watchin
All over the sheep
He hold the light from heaven
That shone a holy light, everybody

1963年にはPeter, Paul and Mary(PPM)が “Tell It on the Mountain”と言い換えて歌い始めます。この頃は公民権運動が高まった時代で、出エジプト記(Exodus)にある「Let my people go」 ”我が民を脱出させよ” をもじって黒人の人権回復を叫ぶ歌となります。そしてその主張は広く受け入れらるのです。

宗教学者で公民権歴史の研究家であるCharles Marshという人によれば、公民権運動の指導者の一人、Fannie Lou Hamerが”Tell It on the Mountain”の歌と同じく霊歌である”Go Down Moses”を結びつけ、最後の歌詞にある”Let my people go”を “Go Tell It on the Mountain”に置き換えるように編曲したということです。人々の間で幅広く歌われた音楽であることを物語る話です。