心に残る名曲 その百 ベートーヴェン その5 交響曲第三番、交響曲第五番、交響曲第六番

「楽聖」と呼ばれるベートーヴェンの作品で、交響曲は作品の華といえるものです。
交響曲第三番変ホ長調についてです。1804年、ナポレオン(Napoleon Bonaparte) はフランス帝国の皇帝であることを宣言します。ベートーヴェンは皇帝への畏敬を表しながらも複雑な思いでこの曲を作ります。自分より一歳年上のナポレオンの超人的な指導力に恐れと敬意を抱いたようです。やがてナポレオンへの独裁政治に幻滅を感じながら、「英雄(Eroica)」を作曲します。交響曲の中でも最も壮大にして華麗な曲です。第二楽章は「葬送行進曲」(Funneral March on the Death of Eroica)とよばれ、演奏者たちはこれまで聴いたことのない曲にいかに演奏するかで、数週間のリハーサルで戸惑ったといわれます。後世の評論家は、「最も独創的、荘厳、かつ深遠な響きの音楽」と讃えています。

 次ぎに、交響曲第五番ハ短調です。ベートーヴェンの作品で最も知られた曲です。冒頭、半拍を置くシンコペーションによって曲が始まります。出だしの四つの音符が、この曲の類い希な人気を示しています。第一楽章の「Allegro con brio」は輝きをもって速く、第二楽章の「Andante con moto」は歩くような速さでしかも躍動感を示し、第三楽章の「Allegro」は陽気でしかも快活に、そして第四楽章の「Allegro – Presto」快速さという構成となっています。作曲したのは、1805年頃といわれますが、1808に第六番と一緒にウィーンで初演奏されたというエピソードがあります。通称「運命」と呼ばれています。

第五番とともに双璧といわれる交響曲第六番ヘ長調は、1808年に作られます。ベートーヴェンは自然と親しみ、ウィーンにいたとき田舎を長い時間をかけて散歩したといわれます。ベートーヴェン自身が、絵画的な描写というよりも感情の表現をあらわす曲であるといっています。古典派交響曲としては異例の五楽章で構成されています。第一楽章の「Allegro ma non troppo」はなはだしくなく速く、印象的な旋律です。第二楽章の「Andante molto moto」は、散歩する情景を表します。鳥の鳴き声も聞こえます。第三−四楽章の「Allegro」は文字通り嵐の描写です。そして第四楽章の「Allegretto」は嵐の後の喜ばしい感謝の気持ちの牧歌となり、聴く者をしてあたかも「田園」を散策しているかのように誘います。

[contact-form][contact-field label=’お名前’ type=’name’ required=’1’/][contact-field label=’メールアドレス’ type=’email’ required=’1’/][contact-field label=’コメントを歓迎しています’ type=’textarea’ required=’1’/][/contact-form]