懐かしのキネマ その53 【天使にラブソングを】

1992年制作のアメリカ映画で原題は【Sister Act】(シスターの遍歴)です。この映画はゴスペル音楽が大変素晴らしく、ぜひ読者には楽しんでいただきたい映画です。

舞台はネバダ州 (Nevada) のリノ(Reno)です。リノのクラブ歌手であったデロリス(Deloris Van Cartier)は、マフィアのボスで愛人のラロッカ(Vince LaRocca)が殺人を犯す現場を目撃し、命を狙われて追われる身となります。彼女はサンフランシスコ( San Francisco)の下町にあるカトリック教会(St. Katherine’s Roman Catholic Church)の修道院に身を隠すことになります。そこで、新米尼僧シスター・クラレンス(Sister Mary Clarence)として迎えられます。大騒動を巻き起こしながらも聖歌隊のリーダーとして、シスターたちと歌を通じて友情を育んでいきます。

シスタークラレンス

デロリスは聖歌隊でも歌手としての本領を発揮します。自身のノウハウから下手な聖歌隊を鍛え上げ、退屈な聖歌をモータウン(Motown)の楽曲の替え歌にアレンジして派手なパフォーマンスを繰り広げ、保守的で厳格な修道院長との対立をよそに、一躍町中の人気者になります。「モータウン」とは、「洗練されたソウルミュージック」といわれます。

教会は伝統的に正統な讃美歌とか聖歌を歌うところですが、シスター・クラレンスは、自身のノウハウから下手な聖歌隊を鍛え上げ、退屈な聖歌をモータウンの楽曲の替え歌にアレンジして派手なパフォーマンスを繰り広げます。ゴスペル的なリズムを取り入れ、シスター達もノリノリになっていきます。そうした歌い方が気に入らないのが、保守的で厳格な修道院長のスミス尼僧 (Dame Maggie Smith)です。やがて、いつもは閑散とした礼拝堂に大きな変化が起こります。若者らがゴスペルソングを聴きに礼拝堂に集まってくるのです。そこで歌われるソングは「Hail Holy Queen」というゴスペルです。こうして閉塞感の漂う修道院にシスター・クラレンスは改革の嵐を巻き起こしていきます。

サンフランシスコで大人気となった教会にローマ教皇(The Pope)らがやってきます。シスター・クラレンスは修道院長とも和解し教皇を迎えてのコンサートを大成功に導くのです。この時、聖歌隊は「I Will Follow Him」を歌うのです。「Him」とは神とかイエス(Jesus)のことを指します。