懐かしのキネマ その37 映画と「デロリアン」

前回、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に触れました。この作品で登場したのがタイムマシンの車、デロリアン(DeLorean)です。1975年10月に、当時ゼネラルモーターズ(General Motors: GM)の副社長であったジョン・デロリアン(John DeLorean)が、理想の車を作るためと宣言してGMを辞職し、自らの名前を付与してデロリアン・モーター・カンパニー(Delorean Motor Company : DMC)という会社を設立します。本社はミシガン州(Michigan)デトロイト(Detroit)に、製造工場は北アイルランド(Ireland)のベルファスト(Belfast)におきます。

デロリアンが発表した車のモデル名は「DMC-12」といって、従来の車のデザインにはない2ドアを上下で開閉し、外部全体を無塗装ステンレスで覆うという奇抜なものです。初代のDeLoreanは8気筒で、6,500台ほどが販売されます。しかし、当時としては破格のデザインと67,000ドルという値段で、前宣伝の効果にも関わらず売れ行きがしぼんでいきます。デロリアンはやがて破産し、麻薬売買の疑いもかけられ倒産し生産が停止します。

デザインの希少性と生産終了後に大当たりとなった映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のお陰で、DeLoreanは、1980年代には、自動車マニアのコレクション対象であるカルトカー(cult car)となります。日本では、愛知県長久手市にあるトヨタ博物館で見学することができます。私も一度この車をアメリカで見たことがあります。