ユダヤ人と日本人 その5 なぜユダヤ人に関心を抱くのか(1)

このシリーズの最初に記したが、私には留学中にお世話になったユダヤ系のアメリカ人がいる。現在、ミルウォーキー(Milwaukee)の郊外で整形外科の医師をしている。熱心なロータリークラブ(Rotary Club)の会員で週一の例会は欠かしたことがない。出張したときは、近くにある別のロータリークラブの例会に出席するのだそうだ。奉仕活動にも積極的に参加し、中南米の医療チームに加わったりした。

私は国際ロータリインターナショナル(Rotarty International)からの奨学金でウィスコンシン大学で学ぶことができた。そのスポンサーがこの人である。名前はDr. Robert Jacobsという。Jacobsとはユダヤ人の名、「ヤコブ」と日本語では表記される。

大学に入って早々、留学生を迎えるためにマディソンまでワゴン車で迎えにきてくれた。そしてご自宅にホームスティさせてくださった。その時、ご自身が長老をされているシナゴーグ(Synagogue)に連れて行ってくれた。礼拝所に入る前にヤマカ(yamaka)という帽子をちょこんと頭に載せた。Dr. Jacobsは熱心なユダヤ教徒である。

さてユダヤ教のことである。ユダヤ教がキリスト教と一線を画する点は、新約聖書(New Testament)イエス・キリスト(Jesus Christ)の誕生には言及しないことだ。旧約聖書における唯一の神、ヤハウェ(Yahwe)を拠りところとする。ヤハウェは全世界の創造神とされる。なお新約聖書では、エホバというように使われる。

ユダヤ人の精神性は二つの律法から形成されていると考えられる。一つはトーラ(Tola)である。モーゼが記したといわれる旧約聖書の最初の5つの書のことを指す。トーラは律法のことである。もう一つはタルムード(Talmud)である。ユダヤ人の生活、宗教、道徳に関する口伝で語り継ぐべき教えの集大成である。

Dr. Jacobs家の先祖は、第一次大戦後、東欧ポーランドのあたりから迫害を逃れアメリカ大陸に移民してきたのだそうだ。人種差別や迫害の歴史はユダヤ人のことであるといっても過言でないほど、翻弄されたものである。私はこのことをDr. Jacobsから教えられた。
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