どうも気になる その13 「学習環境貧困家庭」とスマートフォン

困窮家庭と教育とスマートフォンの話題である。私事だが昭和36年大学受験を北海道旭川市で迎えた。三人兄弟の真ん中の筆者だが、家が貧乏だったので大学は道内、しかも公立校しかなかった。北大の授業料は年間7,000円、毎月の仕送りは5,000円で祖母の所に下宿した。兄は東京の私立大学に行っていた。国鉄勤めの父は鉄道弘済会から借金していた。

当時は空前の予備校ブーム。どこの予備校も繁昌していた。筆者は浪人もできなかった。幸い予備校で学ばないですんだが。日本育英会から無利息の奨学金を借り、バイトは家庭教師、ビルの床清掃やガラスふきをやった。

世の中には、経済的に困窮する貧困家庭の若者が大勢いる。彼らに学習の機会を備えるには、高校までを義務教育とすることだ。そうすれば大学教育を受ける機会が増える。さらに奨学金制度を充実し低所得者の子弟に安心して学校へ行けるようにすることも大事である。

さて、貧困家庭とスマートフォンの利用である。一日平均男子高生は4.1時間、女子高生は7.0時間と長時間化する傾向にあるとか。若年の不眠症の原因の一つが長時間、画面を見ることだそうだ。光により脳が活性化し、眠りを妨げるといわれる。親の通信料金負担もあるはずだ。スマートフォンをやる中高校生とそれを黙認する親の家庭は「学習環境貧困家庭」として、経済的に困窮する家庭と区別すべきである。

次のような記事を読んだ。「スマートフォンやPCを利用している時は表情筋がほとんど動かず、またばきの回数も半分以下になる。スマートフォンを使いすぎると老け顔のブサイクになる。無意識に眉間に皺がよったり、表情を変えることが少なくなるので筋力も衰える。」電車やバスの中でスマートフォンを「いじる」のを観察しているとすると、前屈みの姿勢になっていることがわかる。自転車に乗っていても乳母車を押していても下向きで器用に操作している。本人達も乳飲み子も歩行者も危ない。貧困家庭には、学習環境貧困家庭の他にこうした「育児環境貧困家庭」も増えているような気がする。

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