アメリカ合衆国の州を愛称から巡る その10 『First State』とデラウェア州

合衆国大西洋岸中部に位置するデラウェア(Delaware)は、アメリカで二番目に面積が小さい州です。南北に細長く千葉県と同じ位の面積で州都はドーバー(Dover)です。建国に関わった13植民地のうちで最初に批准した州であることから「First State」としても知られています。Delawareとは、イギリスのヴァジニア植民地時代、初代の総督であったデ・ラ・ウエア(De La Warr)に由来します。同地に先住していたインディアンの「デラウェア族」から由来したという説もあります。

デラウェア州地図

1900年代初頭から独自の会社法と裁判制度により、法人の設立に最適な州として知られ、アメリカ上場企業の50%、フォーチュン(Fortune)500企業の64%、会社数で100万社に及ぶ企業が設立準拠地ないし本社を置くという特異な州です。かといって、デラウェア州はタックスヘイブン(tax haven)ではありません。デラウェア州の会社法の中核をなすデラウェア州一般会社法(Delaware General Corporation Law)投資家を保護するための重要な義務をいくつか定めているほかは、企業の経営に柔軟性をもたせるような内容といわれます。出資者の最善の利益のために行使されるように、出資者を重要な点に関して手厚く保護していることによって、デラウェア州を企業の設立地とするに値するようにしています。

デラウェアの運河

デラウェア州で有名なのは、大財閥企業デュポン・ド・ヌムール社 (DuPont de Nemours)です。フランスの貴族ピエール・デュポン (Pierre S. du Pont) が州最大の都市ウィルミントン(Wilmington)に火薬工場を作り、やがてアメリカ有数の化学企業となります。