【話の泉ー笑い】その十九 ピーナッツとチャーリー・ブラウン

「ピーナッツ」の原点は、1947年から1950年までシュルツの故郷であるミネソタ(Minnesota)の州都セントポール(St. Paul)にあった新聞「セントポール・パイオニア・プレス(St. Paul Pioneer Press)」に毎週掲載されたコマ漫画「リリーフォクス(Li’l Folks)」です。「Li’l Folks」とは小さき人々とか、取るに足らないもの、つまらないもの、という意味です。この漫画の細部には、ピーナッツと共通する部分がありました。チャーリー・ブラウン(Charlie Brown)」という名前はそこで初めて使われたといわれます。また、このシリーズには、1950年代前半のスヌーピー(Snoopy)によく似た犬も登場していました。

Charlie Brown and Snoopy in the Classroom


チャーリー・ブラウンはスヌーピーの飼い主であり、妹はサリー(Sally)。両親はいるようですが、他の大人と同様作中には姿を見せません。親友は毛布を片時も手放さないライナス(Linus)。級友であるルーシーにいつも小煩く言われたり丸め込まれたりします。チャーリーという名前から、読者からはよくチャールズ・シュルツの分身と思われたようですが、チャーリー・ブラウンという名前はシュルツの美術学校時代の級友からきているといわれます。

At Spelling Bee Contest

ただ、シュルツはインタビューで「チャーリー・ブラウンは僕自身でもあるんだ」と答えたことがあるようで、彼の持つ気苦労などがチャーリー・ブラウンに反映されたりすることはあると述懐しています。シュルツの父親は床屋を経営していました。シュルツによればチャーリー・ブラウンはきれいな金髪であるために髪が薄く見えるだけで、丸坊主ではないそうです。実際の作画でも前髪と後頭部の毛が描き込まれ、濡れ髪では実線で描かれています。スヌーピーにいわせれば、主人のチャーリー・ブラウンあくまでも「丸頭の子」(“round-headed kid”)であり「禿頭の子」ではありません。

Happiness with Snoopy

チャーリー・ブラウンは、自他共に認める冴えない人柄であり、とにかく女運が悪く、ヴァイオレット(Violet)やルーシーなどの女子の「いじめ」相手になっていた時期もあります。考え方にもどこか卑屈なところがあって、敗者や弱い立場の人たちに同情することが多い子です。他者への思いやりは人一倍強く、いつもはチャーリー・ブラウンをいびるルーシーも彼が病気になると落ち着きをなくすのです。「赤毛の女の子」(little red-haired girl)に片想いし、後にサマーキャンプで出会ったペギー・ジーン(Peggy Jean)と恋仲になりますが、いずれも報われないまま終わったり、自分だけバレンタインカードが貰えなかったりします。友達のライナスには好きな女の子を奪われるなど、恋愛運は悪いのがチャーリー・ブラウンです。