アメリカの州鳥 その39 ペンシルヴァニア州の鳥: エリマキライチョウ

ペンシルヴァニア州(Pennsylvania)は北東部の州と南部の州、大西洋岸と中西部を結ぶ地点にあることから、キーストーン・ステート(Keystone State)「礎石の州」とも呼ばれます。今回の大統領選挙において最激戦区といわれます。エリー湖(Lake Erie)やオンタリオ湖(Lake Ontario)に面し、北はカナダとニューヨーク州に接し、東はニュージャージー(New Jersey)につながっています。形は横長の州です。州都はハリスバーグ(Harrisburg)。州の西には重要な河港を持ち、かつて鉄鋼業の中心地として栄えた町、ピッツバーグ市(Pittsburgh)、独立宣言のときに打ち鳴らされた”リバティーベル”(Liberty Bell)を見ることができる独立歴史公園がフィラデルフィア市(Philadelphia)があります。

Ruffed Grouse

ペンシルヴァニア州の名前の由来から始めます。クエーカー教徒(Quakers)が迫害から逃れて、安全に住める場所として開拓された新天地です。イギリスからやってきた商人でクエーカー教徒であったWilliam Pennという人がいました。やがて貿易などで成功したPennにイギリスは領地を分け与え植民地とします。ペンシルヴァニアには豊かな森が広がります。ラテン語で森を意味する「sylvania」にPennをつけたというわけです。

その後、ペンシルヴァニアは開拓されて植民地化されてはいましたが、Pennらはその地の自治を求めて自由憲章の草稿を書きいています。そしてイギリスからの独立を目指していきます。信教の自由、公正な裁判、主権を持つ人民により選ばれた代表、三権分立などの精神を訴えます。こうした考えは、後にアメリカ合衆国憲法の基本になる考えとなります。

ペンシルヴァニア州の鳥はエリマキライチョウ(Ruffed Grouse)です。全長40cmくらいで、翼長オス18cmです。冬季になると足元に櫛状の突起があらわれます。オスは眼上部にオレンジ色の肉質が見えます。夏季は開けた森林、冬季は針葉樹林に生息します。食性は雑食で、植物の芽、葉、果実、種子、昆虫などを食べます。婚姻形態は一夫一妻性。オスは頸部側面の羽毛や尾羽を逆立て、鳴き声を上げたり翼を震わせて音を出して(ドラミング)求愛します。

アメリカの州鳥 その38 ヴァモント州の鳥: チャイロツグミモドキ

1979年の夏、家族と一緒にカナダを旅してからヴァモント州(Vermont)の州都モントピーリア(Montpelier)を通りました。ヴァモントの州名はフランス語の「verr mont」(緑の山)からとられています。全米で最も小さい州都といわれます。小さな議事堂のロタンダ(rotunda)といわれる中央のドーム内は州の博物館となっています。小さなヴァモントの歴史は、イギリスからの独立をヴァモントが宣言した1777年以来の州つくりと大自然との共存の歩みとなっています。ヴァモント州の最大都市はバーリントン(Burlington)です。

Brown Thrasher

ヴァモント州はアメリカ合衆国北東部のニューイングランド(New England)地方の内陸にあります。北はカナダのケベック州 (Quebec)に、東はニューハンプシャー州(New Hampshier)、南はマサチューセッツ州(Massachussetts)、西はニューヨーク州(New York)に隣接しています。州の多くは山岳と森林で占められています。気候は内陸性ですから夏は暑く、冬は相当「しばれ」ます。ニューイングランドの紅葉は格別です。州の愛称は「Green Mountain State」でこれが車のナンバープレートに書かれています。

ヴァモント州は独立戦争でも名声をたかめます。1775年、ニューヨーク州のハドソン川(Hudson River)に築かれたイギリスの要塞タイコンデロガ砦(Fort Ticonderoga)を、イーサン・アレン(Ethan Allen)の指揮するグリーン・マウンテン・ボーイズ(Green Moutain Boys)などヴァモントからの民兵隊によって奪取します。
 
ヴァモント州最大の産業は観光です。畜産業も盛んです。観光客の多くはインターステート(高速道路)で数時間の距離にあるニューヨークやボストンからやってきます。豊かな自然を売りにしてスキー、サイクリング、キャンプ、フィッシングの鱒釣りなどが盛んです。秋はりんご狩りなどに大勢の観光客が訪れます。この州で忘れられないのはメープル・シロップ((maple syrup) の生産です。全米で最大の生産量を誇っています。サトウカエデの樹液を集めて精製します。シロップの琥珀色は薄いほど高級となります。メープル・シロップは熱いパンケーキやワッフルなどにかけてバターと一緒にいただくと最高ですね。

ヴァモント州の鳥はチャイロツグミモドキ(Brown Thrasher)となっています。チャイロツグミモドキは少し丸くなったくちばし、目の周りが黄色で、体全体が茶褐色となっています。尻尾は長く、すらりとしています。羽の上部には黒と白の斑点が並び、下腹は白いのですが黒褐色の縞が点在しています。ツグミの仲間です、鳴き声はチョロチョロ、チェチェと短く鳴きます。昆虫類のほか、種子なども食します。

アメリカの州鳥 その37 ヴァジニア州の鳥: ショウジョウコウカンチョウ

ワシントンDC(Washington DC)からポトマック川(Potomac River)を越えたところに位置するアーリントン郡(Arlington County)、そこからヴァジニア州(Virginia)は南西に広がります。イギリスから最初に独立した13州のうちの一つ。南北戦争では南部連合(Confederacy)に属して合衆国軍(Union)と戦いました。州都はリッチモンド(Richmond)となっています。

ヴァジニア州は正式にはThe Commonwealth of Virginiaと呼ばれます。植民地時代から地域がそれぞれに共通した目標である独立に向けて共に発展する意思を表しています。この州からは、歴代8名の大統領を送り出しています。そのために、「アメリカ大統領の母なる地」(Mother of Presidents)とも言われるほどです。DCの対岸の州内にはアメリカ国防総省(Pentagon)やCIA本部もあります。

Northern Cardinal

ウイリアムスバーグ(Williamsburg)は是非訪れたいところです。1690年代には植民地時代の首都でありました。1.5km x 1.5 kmの区画内に入植当時の建物はすっかり復元されて、植民地の面影を感じることができます。その近くに1693年に設立されたウイリアム・メリー大学(William & Mary University)があります。この大学はアメリカで最も由緒のある、また優れた学部教育のカレッジとして知られています。

Mount Vernon

マウントバーノン(Mount Vernon)はアレクサンドリア(Alexandria)近くに位置し、アメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントン(George Washington)の農場があった所です。木製の邸宅は新古典主義ジョージア調建築様式といわれる壮麗なデザインです。マウントバーノンは祝日やクリスマスでも開き、年中無休です。訪問者は邸宅やその他の多くの建物、奴隷用宿舎、台所、厩、温室などを回わりながら、4つの庭園や森の小道を歩き、ワシントンの私的な生活の足跡を辿ることができます。

州鳥はショウジョウコウカンチョウ(Northern cardinal)です。体長は 21–23 cm位で、歌声鳥(songbird)の名に恥じない鳥です。オスは活気のある赤色で、頭冠羽が目立ちます。目と嘴の周りは黒い縞があります。メスは赤っぽいオリーブ色といったところです。オスは鳴き声で縄張りを主張します。求愛のとき、オスはメスに嘴で昆虫などの餌を与えます。メスは一回で3個から4個の卵を産みます。

アメリカの州鳥 その36 ノースダコタ州の鳥: ニシマキバドリ

ノースダコタ州(North Dakota)は合衆国中西部の最北部、グレートプレーンズ(Great Plains)にあります。州の北側はカナダ国境であり、サスカチュワン州(Saskatchewan)およびマニトバ州(Manitoba)に接しています。西側はモンタナ州(Montana)に、東側はミネソタ州(Minnesota)との州境にレッド川( Red River)が流れ、南側はサウスダコタ州(South Dakota)と接する州です。州都はビスマーク市(Bismarck)。人口最大の都市はファーゴ市(Fargo)となっています。ノースダコタの名前は、スー族(Sioux)であるダコタ族(Dakota tribe)から由来しています。「ダコタ」はスー族の言葉で「友人」という意味です。私はノースダコタを旅したことがありません。

Western Meadowlark – singing – spring

17世紀以降、ノースダコタの領有権はフランス、スペイン、イギリスにより争われます。 1803年、ルイジアナ購入によりフランス領からアメリカの領土になったこの地は、1861年にダコタ準州となりました。 このダコタ準州が現在のノースダコタ州です。州の一番の特徴は厳しい気候があげられます。そのため、他の地域よりも移民の流入が遅れたそうです。 今でも人口密度は低く、州の人口も全米で下から3番目に位置しています。 経済の柱は農業で、中でも小麦は全米トップ、その他、ひまわりの栽培で蜂蜜はトップの生産を誇ります。菜種油(カノーラ油)は92%、カラシ油が62%、ひまわり油は53%、べに花油が18%を占めています。食用油の精製は一大産業となっています。

ノースダコタ州には、63の国立野生動物保護区があります。セオドア・ルーズベルト国立公園(Theodore Roosebelt National Park)、絶滅の危機に瀕した野生のバイソンが400頭以上生息しています。ルーズベルトは1884年、妻と母が同じ日に亡くなった後、その後2年間のほとんどを牧場で働いて過ごします。春には渡り鳥のバードウォッチングができます。アビ、カイツブリ、ペリカン、サギなど 100 種を超える鳥が生息しています。ノースダコタにはノルウェー(Norway)からの移民が多い州です。合衆国のいわば僻地のような所で、人が少なかったのでこの地を選んだといわれます。

ノルウェー系住民の秋祭り-Norsk Høstfest

州鳥はニシマキバドリ(Western Meadowlark) 体長は22 cm位で、長い嘴を持っています。下腹は黄色く、首の下にV字形の縞模様があります。背中は茶褐色ですが、黄色い斑点が目立ちます。ヒバリ独特の短い鳴き声が響きます。ニシマキバドリは垂直に飛翔し、巣のあるとこから離れたところに着地し、巣の所にそっと戻ります。外敵から巣を守るためです。

アメリカの州鳥 その35 ノースカロライナ州の鳥: ショウジョウコウカンチョウ

ノースカロライナ州(North Carolina)といえばライト兄弟(Wright Brothers)です。1903年、世界で初の有人動力飛行に成功したのがノースカロライナです。ナンバープレートには「First in Flight」(初の飛行)と記されています。州都ラレイ(Raleigh)で、最大の都市はシャーロット(Charlotte)となっています。

Northern Cardinal

ノースカロライナ州は、周りをバージニア州(Virginia)、テネシー州(tennessee)、ジョージア州(Georgia)、そしてサウスカロライナ州(South Carolina)に囲まれています。チャペルヒル(Chapel Hill)という町には、実に綺麗なノースカロライナ大学のキャンパスがあります。ノースカロライナ州は科学技術の研究開発が非常に盛んなところです。その中心はResearch Triangleと呼ばれる ラレイ、ダーム(Durham)、チャペルヒルの三つの町です。三つはちょうど三角形のように点在しています。

University of North Carolina-Chapel Hill

農業生産品は鶏卵、豚、牛、牛乳の他にタバコ、大豆が主要なものです。他にも織物、化学工業、電子機器、製紙業も知られています。意外なことですが、ノースカロライナ州はカリフォルニア州以外で最大の映画制作を行っている州の1つでもあります。 

グレートスモーキー山脈国立公園(Great Smoky Mountains)は、約 900 キロメートルにもおよぶ絶景です。ハイキング、キャンプ、ラフティング、ジップラインを通して、この地域の息をのむような景色を堪能できます。海岸沿いでは、カイトボード、サーフィン、スタンドアップ・パドル・ボード、カヤックなども楽しめます。私的な話ですが、来年7月にノースカロライナの大西洋岸のビーチそばで、家族が13名が再会してバケーションを楽しむ予定となっています。すでに娘達が一軒家を予約しています。

州鳥のショウジョウコウカンチョウ(Northern Cardinal)アメリカでは冬期には、都市公園などでも見られ、国民に最も愛されている野鳥のひとつとなっています。頭には冠羽、体全体が赤く、嘴は短めです。尾羽は赤みがかって長く体がすらりとした美しい鳥です。オスは成熟するにつれて赤みが増していくのです。

アメリカの州鳥 その34 ネブラスカ州の鳥: ニシマキバドリ

Western Meadowlark

ネブラスカ州(Nebraska)は合衆国のほぼ真ん中に位置しています。北はサウスダコタ(South Dakota)に、東はアイオワ(Iowa)とミズーリ(Missouri)に、西はワイオミング(Wyoming)とコロラド(Colorado)に、南はカンザス州(Kansas)に囲まれています。州都はオマハ(Omaha)。州の大部分は平坦な大平原が広がり、そこは肥沃なプレーリー(prairei)土に恵まれ、牛肉・豚肉・トウモロコシ・大豆の生産で、国内のトップとなっています。

ネブラスカの西部にはチムニー・ロック(Chimney Rock)など巨大な岩で知られています。このあたりはでは沢山の恐竜が発掘されています。きわめて保存状態が良く恐竜の骨格がはっきりしています。それを展示しているのがネブラスカ大学リンカーン校(University of Nebraska- Lincoln)です。院生を引率してリンカーン市内の小学校を視察し、大学の恐竜博物館へ行きました。圧巻そのものです。

University of Nebraska- Lincoln

州の鳥はニシマキバドリ(Western Meadowlark)といいます。全長は約23cm。腹と喉にかけては黄色で、胸には地褐色と黒い帯状の縞が入ります。上面は黒と薄褐色の縞模様をしています。嘴は長く、鳴き声はチュチュ、チュチュというヒバリに似ています。巣は草地に作ります。ほとんどは昆虫を主食としています。ニシマキバドリはモンタナ(Montana), カンザス(Kansas), ノースダコタ(North Dakota), オレゴン(Oregon)、ワイオミング(Wyoming)の州鳥ともなっています。

アメリカの州鳥 その32 ニューヨークの州鳥: ルリツグミ

Central Park, New York

誰でもが名前をご存じのニューヨーク(New York)は金融センター、国連本部など世界の政治、経済、文化、ファッション、エンターテインメントの中心地です。ショービジネスなど娯楽産業の中心でもあります。年間4,700万人の観光客が訪れます。国際連合はじめ公共機関も沢山あります。9・11の影響がいまだに続いてはいますが、急速な回復はニューヨークのバイタリティを感じます。公共交通網も張り巡らされ、多くの交通機関は24時間運行となっています。ニックネームはBig Apple。その由来は、大恐慌時代に失業者が市内ででリンゴ売りをしていたとか、ジャズマンが使い出したとか。1800年代に街には一番いい「リンゴ」があったという(隠語で売春婦)説などがあります。

bluebird

歴史的に由緒のある所といえば、エリス島(Ellis Island)でしょう。ニューヨーク湾内にあって、19世紀にヨーロッパからの移民が到着したのがこの島です。かつての移民管理局は今は博物館となっています。1800年頃から1954年まで使われていたとあります。その近くには自由の女神(The Statue of Liberty)が建っています。合衆国の独立100周年を記念してフランスより贈呈され、1886年に造られました。ヨーロッパからやってきた人々が船上からこの像を眺めて、新天地への憧れを抱いたところといわれています。自由の象徴ともなっています。

ニューヨークではBBQを賞味したいものです。シシカバブ(shish kebab)です。もともとはトルコからの移民がもたらした料理ですが、たくさんのBBQレストランがあります。私にとってのニューヨークですが、一度セントラルパーク(Central Park)をジョギングし、家内はメトロポリタン美術館へ、院生はミュージカルを楽しみました。友人の教員がBBQレストランに連れて行ってくれたのが思い出です。

ニューヨークの州鳥はルリツグミ(bluebird)でミズリー州の鳥ともなっている美しい鳥です。色鮮やかなルリツグミ属の仲間は3種に分類されています。ルリツグミの成鳥は腹が白いのが共通しています。オスの成鳥は上部が鮮やかな青色、喉と胸は赤茶色です。メスの成鳥は灰色がかった青の翼と尾、茶色っぽい喉と胸、灰色の頭と背を持っています。幼鳥は灰茶色で赤みがなく、胸はまだらで、翼と尾は青みがかっています。その美しい羽の色と、多くの人の耳には「チャー・リー、チャー・リー」と聞こえる独特なさえずりを特徴としていて、人々に広く愛されている鳥です。木のある開けた土地、畑地、果樹園などを好みます。

アメリカの州鳥 その31 ニューメキシコの州鳥: オオミチバシリ

ニューメキシコ(New Mexico)の州鳥の紹介です。州都は、かってメキシコの総督府が置かれていたサンタ・フェ(Santa Fe)です。観光はサンタ・フェの経済を支えています。歴史・芸術・文化の豊かな州都でもあります。ジョージア・オキーフ美術館(Georgia O’Keeffe Museum)はその中心といえましょう。オキーフは特にアメリカ人に人気のある女性画家です。自然の景観や動植物などの自然を題材としています。オキーフはウィスコンシン州の農家に生まれ、マディソン(Madison)で高校時代を過ごしたこともあります。

Georgia O’Keeffe

サンタ・フェのダウンタウンにある歴史地区、特に総督府に隣接するプラザ(Plaza)にはメキシカンフードの人気レストランが立ち並んでいます。街並みは日干しの土で作られた建築物アドービ(Adobe)です。砂、砂質粘土とわらなどの素材でつくられる建材です。熱を吸収してもゆっくりと放出するので建物の中は涼しく、ニューメキシコのような暑くて乾いた地に適しているといわれています。

Greater Roadrunner

この州の最大の都市はアルバカーキー(Alburquerque)です。今では伝説的となりましたが、かってビル・ゲイツ(Bill Gates)がパソコンのOSを開発した町です。もともと大部分がネイティブ・アメリカン(インディアン)の居留地で、今もナバホ(Navajo)、プエブロ(Pueblo)、アッパチ(Apache)インディアンが住む居留地があります。そこで作られる民芸作品、各地にある大小の博物館の展示物、そして大自然が観光客を魅了しています。ネイティブ・アメリカンとメキシコの文化と芸術を最も身近に接することができる州といえましょう。

州鳥はオオミチバシリ(Greater Roadrunner)。その名の通りもの凄いスピードで地上を走ります。体長は50-60cmほどで、腹は白いですが、背中は黒褐色の地に白いまだらもようがあります。頭には黒く短い冠羽があります。足とくちばしはがっしりとしています。目の横に赤と白の縞はついています。尾羽が長いのも特徴です。砂漠地帯に生息し、地上で生活しており、飛ぶことはできますがあまり上手ではありません。鳴き声は鳩に似ています。食性は、小動物から木の実まで食べる雑食性で、狩りの腕も良く猛毒を持つ小さなガラガラヘビやトカゲ、サソリまでも捕食します。厳しい環境の砂漠で生き抜くために適応しているといえます。

アメリカの州鳥 その30 ニューハンプシャーの州鳥: ムラサキマシコ

ニューハンプシャー州(New Hampshier)の紹介です。南は(Massachusetts)、西はバーモント州(Vermont)、東はメイン州(Maine)と大西洋に接し、また北はカナダのケベック州(Quebec)と国境を接しています。ニューハンプシャーの州都はコンコード(Concord)という小さな街です。コロニアルスタイルといわれる町並です。植民地時代の木造家屋のデザインを示します。

Portsmouth

この州で忘れられないところがポーツマス(Portsmouth)という街です。1800年設立のアメリカ初の海軍工廠であるポーツマス海軍造船所があります。日露戦争が終わり、当時の大統領ルーズベルト(Theodore Roosevelt)の仲介で講和条約が軍工廠内で締結されたところ、それがポーツマスです。実に小さな港町です。こんなところでポーツマス条約が結ばれたのか、と頭をかしげたくなるようなのんびりとした所です。

講話会議における日本の代表は外務大臣の小村寿太郎、ロシアは元大蔵大臣のセルゲイ・ウイッテ(Sergei Witte)です。日本は、ロシアのバルチック艦隊(Baltic Fleet)を撃破したとはいえ、すでに戦費が尽きてアメリカに講和の仲介を依頼したのです。ロシアも革命の機運が起こり、講和を望んだようです。ポーツマスの博物館に当時の交渉の様子を報道した写真や新聞記事が飾られています。大男のウイッテが小男の小村を威圧するイラストがあります。当時ロシアはヨーロッパの大国、日本はアジアの小国でした。アメリカは太平洋の利権があって日本に同情的な姿勢であったことを伺わせます。

ニューハンプシャーのナンバープレートには「Live Free or Die」と描かれています。「自由を与えよ、さらば死を」という意味です。ニューハンプシャーは最初にイギリスの統治を離脱し独立への歩みを踏み出した州です。

Purple Finch

州鳥はムラサキマシコ(Purple Finch)です。体長は15センチくらい。名前は紫ですが、オスの顔から胸にかけて濃い赤色の羽があります。腰も赤色です。胸から下は灰白色に薄赤茶色の斑模様があります。翼は茶褐色で縁には白い部分があります。尾も茶褐色で、先が少し分かれていて燕尾状になっています。メスは派手な赤色がなくて全体に地味な色です。常緑樹に巣を作ります。パートナー探しでオスはメスに餌を与えるのです。

アメリカの州鳥 その29 ニュージャージーの州鳥: オウゴンヒワ

ニュージャージー州(New Jersey)は、ニューヨーク(New York)のハドソン川(Hudson River)の対岸、そしてデラウエア(Delaware)の北東、西はペンシルバニア(Pennsylvania)に接しています。州都はトレントン(Trenton)となっています。ニューヨークの隣なので、多くの人が電車で通勤しています。フィラデルフィア(Philadelphia)へもそうです。最大都市はニューアーク(New Ark)です。

American Godldfinch

イギリスから最初に独立した13州のうちの一つでもあり、その歴史は古いです。ニュージャージーに最初にやってきた人々はオランダ人、そしてスエーデン人です。やがてイギリスからの移民が増加し、1649年に名前がNew Jerseyとなります。そこから長らくイギリスの植民地となります。独立戦争の頃、ニュージャージーは依然としてイギリスの支配下にありました。植民地軍とイギリス軍がこの州をまたいで大きな戦いが繰り広げられます。そのため、州のニックネームはやがて「革命への交差路」(Crossroads of the Revolution)と呼ばれます。

アイオワの州鳥と同じオウゴンヒワ(American Godldfinch)です。黄金ヒワの名前が指すとおり、オスはとても鮮やかなレモンイエローです。オスの頭部に黒いキャップがみられます。他方、メスはやや褐色がかり、頭部の黒いキャップがありません。簡単にオスとメスとを見分けることができます。鳴き声は高くチッチッチッととても心地よいです。オウゴンヒワの若鳥の羽色はグレーで地味です。

17世紀の後半にオランダ(Netherlands)やスエーデン(Sweden)から移民がやってきます。その後イギリスが支配するようになり、当時覇権を握っていたイギリス王が、フランスの沖にあるチャネル島(Channel Islands)の”Jersey”の名をとってNew Jerseyと名付けます。現在、ニュージャージーの住民は、合衆国で最も裕福な暮らしをしているといわれます。子どもの学力も最も高い州ともいわれています。