ヨーロッパの小国の旅 その四十八 モナコ公国

世界の小さな国について2回目は、イタリア国境に近くのフランス地中海沿岸地方、コートダジュール(cote d’azur)にある「モナコ公国」(Principality of Monaco)です。世界で2番目に小さな国です。面積は東京ディズニーリゾートと同じというのですから面白いです。

モナコ公国は南フランス、イタリアの国境にほど近い地中海に面した高級リゾート地です。首都のモナコ市がそのまま領土になっています。1952年に「真昼の決闘」(High Noon)、1956年の「上流社会」(High Society)で出演し、その美貌で世界中に知られた女優グレース・ケリー(Grace Kelly)が、モナコ大公レーニエ3世(Rainier III)に見初められます。その結婚は世界的なニュースとなりました。

Grace Kelly & Rainier III

モナコの住人は所得税などの税金がかかりません。そのため世界中から多くのセレブが高額な税金を回避するためにこの国に移住してくるのです。いわゆる「タックス・ヘイヴン(tax haven)」です。「タックス・ヘイヴン」とは、一定の課税が著しく軽減、ないしは完全に免除される国や地域のことで租税回避地とも呼ばれます。

Gary Cooper in High Noon

概ねモナコ国籍者は人口の16%で、外国国籍者は、フランス国籍47%、イタリア国籍16%、その他21%となっています。モナコ大聖堂、大公宮殿の近衛兵交代式や、カジノ、歴史博物館なども観光の見所となっています。

ヨーロッパの小国の旅 その四十七 アンドラ公国

これから数回にわたり、ヨーロッパに位置するミニ国家を散策することにします。最初はアンドラ公国(Principality of Andorra)です。この国があまり知られていないのは当然のことです。スペインのカタルニア地方(Catalonia)とフランスに挟まれたピレネー山脈(Pyrenees)の山間に位置し、国土面積は金沢市程度しかない小さな国だからです。

国土が非常に狭く、全て山間部なため、人口はわずか8万人しかいませんが、その人口の3分の2は外国籍でその大半はスペイン人です。スペイン、フランスの国境という立地の結果として、長い間この二つの大国の間を揺れ動き、公国として成立した後も両国は領有権を争い、1993年になってようやく両国の承認も得て正式に国として承認され国連に加盟しました。

他方で外国人、特にヨーロッパ人からの人気は非常に高く、年間1,000万人もの外国人観光客がこの国を訪れます。そのため英語やフランス語も通じます。自然豊かなこの国には昔ながらの町並みを残した中世さながらの村も点在し、カタルーニャ地方の影響を色濃く受けています。かつては産業の中心は農業で成り立っていたこの国は、現在では観光収入が国の財源の大半を支えるようになっています。