心に残る名曲 その百八十一  ニーノ・ロータ 「ゴッドファーザー」

毎週楽しんだ「日曜洋画劇場」。その解説者だった淀川長治は「それではまた次回をお楽しみに、さよなら、さよなら、さよなら」と締め括っていました。「水曜ロードショー」の水野晴郎、「いやぁ、映画って本当にいいもんですね~」も忘れられない台詞です。今回は、作曲家のニーノ・ロータと映画「ゴッドファーザー」をとりあげます。

北イタリアのミラノ(Milan)出身の作曲家にニーノ・ロータ(Nino Rota)がいます。11歳でオラトリオ、13歳でオペラを作曲し、ミラノ音楽院(Conservatorio di Milano)で学びます。この学校は別名ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院(Giuseppe Verdi di Milano)とも呼ばれます。ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Maria Puccini)、ピエトロ・マスカーニ(Pietro Mascagni)などの作曲家、そして指揮者のクラウディオ・アバド(Claudio Abbado)を生んだ学校です。後にサンタ・チェチーリア音楽院(Conservatorio Santa Cecilia)で学びます。

その後米国に渡り、カーティス音楽学校カーティス音楽学校(Curtis Institute of Music)でも修行します。イタリアに帰国後ミラノ大学(University of Milan)に入学し、文学と哲学を並行して専攻するという努力家です。大学卒業後は音楽教師となり、1942年以降、映画音楽の作曲も始めます。1951年、当時新進映画監督として注目を集めたフェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)と出会い、彼のほとんどの映画音楽を手懸けます。1950年から1978年にかけて、リセ音楽院(Liceo Musicale)の教師ともなります。

フェリーニ監督以外の映画音楽も多数手がけます。1956年作の「戦争と平和」(War and Peace)、1960年の「太陽がいっぱい」の音楽を作曲します。この映画は巨匠といわれたルネ・クレマン(Rene Clement)が監督を努めました。1972年に作られたフランシス・コッポラ(Francis Ford Coppola)監督の「ゴッドファーザー」(God Father)の音楽は、ロータの代表作となります。「愛のテーマ」は多くの人々に親しまれました。

心に残る名曲 その百八十 マックス・スタイナーと「タラのテーマ 」

マックス・スタイナー(Max Steiner)はオーストリア系のユダヤ系アメリカ人です。ウイーン(Vienna)で生まれます。14歳でオペレッタを作曲したといわれています。やがてウィーン国立音楽大学(Universität für Musik und darstellende Kunst Wien)で作曲法を本格的にまなびます。そのとき、グスタフマーラー(Gustav Mahler)の師事を得ます。スタイナーは持ち前の才能で4年の課程を1年で終えたと記録にあります。

Max Steiner

1914年にアメリカに移民し、ニューヨークの劇場指揮者となります。その後ハリウッドに移り本格的な映画音楽の作曲活動を始めるのです。それ以来、スタイナーは映画音楽作曲家の草分けといわれます。作品といえば、「キングコング」(King Kong) (1933)、Jezebel(1938)、「風と共に去りぬ」(Gone With The Wind)(1939)、「カサブランカ」(Casablanca) (1942)、Now Voyager (1942)、The Fountainhead (1949)など多数あります。

中でも「風と共に去りぬ」映画黄金期を代表する音楽です。南北戦争の前後の南部を舞台とし、 アイルランド系移民で一代で成功した農園主の娘スカーレット・オハラ(Scarlett O’Hara)という美貌と商才でたくましく生きる姿を描きます。この映画のメイン・テーマは壮大で抒情詩的スケールで悲壮感も漂います。「タラのテーマ 」が情感たっぷりに奏でられていました。