旅は道連れ世は情け その12 ナパバレー

兵庫教育大学の院生とはあちこちの学校へ出掛けました。旅の主たる目的は視察ですが、別な楽しみは地元の有名なところを訪ねることです。カリフォルニア州の州都サクラメント(Sacramento)を目指しました。この学校区の職業教育を視察する旅です。

まずは東京からサンフランシスコ(San Francisco)へ行き、それからサクラメントへ行くのが通常の行程です。金門橋を渡りオークランド(Oakland)を経てサクラメントへ向かいます。途中、カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)があります。全米屈指の名門校です。

このあたりはSan Francisco Bay Areaと呼ばれています。飛行機もありますが、車で行くのが楽しいのです。ナパ郡(Napa County)を目指します。ナパ郡にはニューヨーク州とともにアメリカの一大ワインの産地、ナパバレー(Napa Valey)があります。全米でワインの90%がこのあたりで製造されています。ニューヨーク州ではたったの5%なのです。

ナパバレーを通過したのは丁度日曜日でした。沢山のワイナリーがありますが、週末は所々閉店となっています。観光客のために、業者が協定して開店するところと閉店するところを決めています。院生とで開いているワイナリーに飛び込みました。立ち寄ったところはE. & J. Gallo Wineryでした。

Gallo Wineはアメリカでは広く飲まれているワインです。1933年の設立とあります。カリフォルニア産ワインで最大の出荷を誇り、家族経営のワイナリーとして全米で最も大きなシェアを持つといわれます。このとき誰が運転していたかですが、もちろん私ではありませんでした。運転事故を起こさないよう、人々は注意してワインやビールを飲みます。

napa_area_map Napa-Valley-Balloon Napa Valley

旅は道連れ世は情け その11 モスクワの空港でワイン没収

再びワインの話題です。イタリアへ始めて行ったときです。成田空港とローマの郊外にある国際空港、フィウミチーノ空港(Fiumicino)を往復しました。この空港は、イタリアのフラッグ・キャリアであるアリタリア航空(Alitalia)の本拠地です。しかし、私と家内は安い料金を選んだのでアエロフロート航空(Aeroflot)としました。成田からモスクワ(Moscow)のシェレメーチエヴォ国際空港(Sheremetyevo)、そしてローマのフィウミチーノ国際空港という航路です。この旅ではこの選択は間違ったことをあとで知ります。

まずは、アエロフロート航空の機内の飲み物と食事などです。ジュースは氷もなくぬるいのがきました。珈琲も熱くないのです。ビールは有料です。食事は可もなく不可もなくといったところです。フライトアテンダントはぶっきらぼう。

シェレメーチエヴォ空港では、ローマ行きへの乗り換えに2時間半ありました。珈琲を頼むと5ユーロ、600円取られました。詐欺にあった気分です。ローマのフィウミチーノ空港に着いたのは夜の9時頃です。そこには長男が迎えにきているはずです。しかし、持参した2つの大きな荷物が出て来ないのです。

1時間あまりターンテーブルのところで待ちました。待つのを諦めて係員に、翌朝に再度来るといって荷物を保管してもらうよう頼みました。その間90分くらいかかり、待ち合わせ場所にいくと長男はいません。タクシーで空港近くのホテルに行くと、長男夫婦が「待っても来ないので、明日来るのだろうと思った」というのです。

翌朝空港に行くと家内のスーツケースが届いていましたが、わたしのは行方不明です。調べてもらうとまだモスクワにあるというのです。長男夫婦と一緒に来ていた孫に、用意してきた土産が渡せません。荷物が届いたのは3日後のフィレンツェ(Firenze)のホテルでした。

思い出深い中部イタリア旅行を楽しんだのですが、帰りローマからの経由地モスクワのシェレメーチエヴォ空港でまた嫌な思いをしました。購入したトスカーナ・ワイン(Tuscany wine)の免税品証明書が袋から剥がれてないのです。税関の女性職員が、厳しい顔をして「ワインをゴミ箱に捨てなさい」と、頑として持ち出しを許しません。再三懇願しましたが、結局没収となりました。ワインは職員にプレゼントしたことになりました。ローマやフィレンツェに圧倒されたのですが、後味が悪い旅となりました。いいことばかりが旅ではありません。

san-gimignano-tuscany-cycling  San Gimignano, TuscanyMontecarlo2

旅は道連れ世は情け その10 ワインは2杯までOK

ニュージーランド(New Zealand)は北島と南島から成ります。年間の旅行者が240万人以上という観光立国でもあります。友人を訪ねて北島の南端近くにあるパーマストンノース(Palmerston North )という町へ行きました。まだ大地震の前でした。ここにはマッセイ大学(Massey University)があります。その友人はインド系の研究者で、兵庫教育大学の客員研究員としてお世話した方です。彼女はマッセイ大学で働き家を建てていました。

休日を利用して車で北島の最南端に位置する首都ウェリントン(Wellington)の観光に出かけました。落ち着いた港町です。観光後、クック海峡をカーフェリーで渡り、南島にあるクライストチャーチ(Christchurch)にあるカンタベリー大学(University of Canterbury)を訪れました。

大学でインタビューを受けてから、ホエールウオッチング(whale-watching)ができるという情報を得ました。鯨が出るという湾のある町に車をとばしました。船に乗ると数頭の鯨が湾を回遊していました。この湾の鯨は年中この湾に留まるので、地元の人は親しみをこめて鯨に名前までつけています。

帰りのドライブは快適でした。葡萄畑が道の両側に広がります。ワインを飲みたくなる光景です。休憩がてらワイナリーに立ち寄りますと、旅行者らしき一行がワインを楽しんでいます。店の人に聞くと看板を指しました。それには次のように書いてあります。「運転手はグラス2杯までは飲んでよい。」なんと粋なはからいなのだろうと感心しました。

真っ暗な帰りの途中、車を停めて満点の星空、南十字星(Southern Cross)とケンタウルス座(Centaurus)を眺めました。”もの凄い星座”でした。

Wine Vineyards Near Marlborough Sounds Region Blenheim New Zealand Dark_Rift_2012

旅は道連れ世は情け その9 匂いのトラブルはややこしい

スカンクの他に、匂いにまつわるトラブルで忘れられないこともあります。

週末、院生は友達を招いて芝生でBBQをしたりパーティをします。日頃勉強で絞られているので、つかの間の時間をくつろぐのです。

これも管理事務所に勤めていたときです。電話がかかってきました。「隣の部屋から悪臭が流れてきて耐えられない、なんと止めさせてくれ」という内容です。出掛けると確かに強烈な魚油の匂いです。「くさや」やスルメとは違った「凄い」匂いです。中西部のアメリカ人は干物などを食べませんから、こうした魚の匂いには慣れていません。

高校時代稚内で暮らしたことのある私は、魚の匂いには慣れていました。しかし、この部屋からの匂いは格別なものでした。「隣近所から悪臭で苦情がきているので料理を控えて欲しい」と伝えるので精一杯でした。

臭いものといえば、韓国の「ホンオフェ」(홍어회)という「エイ」を醗酵させたもの、スエーデンの塩漬けされたニシンの缶詰「シュールストレミング(surestromming)」、そしてくさやです。「ホンオフェ」はアンモニアの匂いが強く涙がでるといいます。ハングルでホンオ(홍어)とはエイ、フェ(회)とは刺身のことです。Wikipediaによれば、ホンオフェは韓国では高級食品のひとつであり、冠婚葬祭に欠かせないご馳走だそうです。私は幸か不幸かまだ食したことはありません。

923eb978fb3000b59c1cf0cfd10be9dd  홍어회sur02 surestromming

旅は道連れ世は情け その8 スカンクは厄介者

スカンクは実に厄介ものです。人間関係をぶち壊すこともあります。

日本人と韓国人がウィスコンシン大学のイーグル・ハイツ(Eagle Heights)と呼ばれる院生の家族世帯宿舎の同じ棟に住んでいました。一棟には八世帯が住みます。私はこの両者ともよくつきあっていました。韓国人留学生とは管理事務所で一緒に働いていました。

ある時、この二人がスカンクをめぐって口論となったのです。私は仲介する立場におかれました。事情をきくと、日本人夫婦が近くに住んでいたスカンクを脅かし、強烈なスプレーを辺りにかけたのです。匂いは棟全体に広がりこの日本人に非難が起こったのです。私は仲介することに竦み、両者で決着させるのが一番だと考え手を引きました。しかし、一度喧嘩しては仲直りは無理でした。私はこの両者とも今は交流が途絶えてしまっています。

スカンクは脅かされない限り、分泌液を噴射しません。スカンクの匂いを知るアメリカ人は通常は近寄らないようにして共存しています。日本人留学生はそうした知識がなかったようです。

悪臭は風向きによっては1km近くまで届くそうです。一度衣服に付着した粘液はとれないので廃棄するのが普通です。スカンクの匂いは知っていますか?言葉で表現できませんが、鼻孔にその「香り」は今もあります。なんとも形容し難い匂いです。

aerial_Eagle_Heights05_8553 Eagle Heights

26504687
fun-dog-bath-pic