留学を考える その 49  ペンシルヴァニア州—Keystone State

ペンシルヴァニア州は正式には「Commonwealth of Pennsylvania」と呼ばれます。マサチューセッツ州もCommonwealthを使うことをこのブログで紹介してきました。

合衆国の北東、大西洋岸中部に位置しています。五大湖の近くでもあります。東はニュージャージー(New Jersey)、南東はデラウエア州(Delaware)、南はメリーランド州(Maryland)、南西はウエストバージニア州(West Virginia)、西はオハイオ州(Ohio)、エリー湖(Lake Erie )、北西はカナダのオンタリオ州(Ontario)、そして北はニューヨーク州(New York)というように州に囲まれています。アパラチア山脈が州の中央を斜めに連なっています。

州都はハリスバーグ(Harrisburg)。最も大きい町はフィラデルフィア(Philadelphia)です。次いでピッツバーグ( Pittsburgh)となっています。州のモットーは「Virtue, Liberty, and Independence」です。

1631年の6月にオランダから最初の移民が Delmarvaという岬にコロニーをつくります。それ以降、北欧スエーデン人らも続々と移民してきます。デラウエア川一帯に定住し、いまのペンシルヴァニアを形成していきます。そのせいか、クエーカー教徒(Quaker)が多い州でもあります。Quakerは、キリスト友会(Society of Friends)というキリスト教団体の一般的な呼称です。友会は、17世紀にジョージ・フォックス(George Fox)らによってイングランドで設立されました。Quakerの信仰の伝統的な表明方法は証言といわれます。その中で「平和主義」はQuakerの証言としても最も知られ、暴力は常に誤りであるという信念を貫いています。

ペンシルヴァニア州は1802年に「Keystone State」(礎石となる州)とつけられました。これは独立に立ち上がった13州の一つであり、地理的に13州の中心にあったのがペンシルヴァニアです。ウィリアム・ペン(William Penn)はペンシルベニア州では忘れられない人物です。フィラデルフィア市を建設しペンシルベニア州を整備したとあります。ペンは元軍人であり地方の政治家でした。彼自身もまたクエーカー教徒であり、やがて開拓地のための自由憲章の草稿を書き上げます。フィラデルフィアなどの植民地におけるペンの権限は、英国の施政下にあって窮屈だったようです。ですが施政下の枠組みにあっても、信教の自由、公正な裁判、主権を持つ人民により選ばれた代表、三権分立による統治をうたったことで知られています。こうしたペンが示した民主主義の重視は、アメリカ合衆国憲法に多大な影響を与えます。

もう一つの州の呼び名は「Quaker State」。前述したようにペンシルヴァニア州にはクエーカー教徒が多いことに由来しています。

quaker  George Fox141 University of Pennsylvania pena

留学を考える その48 オレゴン州–Oregon Trail

オレゴン州は(Oregon)太平洋に面し、北はワシントン州(Washington)、南はカリフォルニア州(California)とネバダ州(Nevada)、東はアイダホ州(Idaho)で州境となっています。オレゴン州は西部開拓の歴史が色濃く残っています。合衆国を大西洋から太平洋まで拡げるという目標のために、1800年代には本格的な開拓が進み、幌馬車で東部から多くの入植者がオレゴン・トレイル(Oregon Trail)を経てがやってきました。当時、大陸横断には5–6ヶ月かかったようです。州都はセーラム(Salem)、最も大きい町はポートランド(Portland)です。

ポートランドは札幌市とほぼ同じ緯度にあり、姉妹都市関係を結んでいます。ダウンタウンですが、コロンビア川の支流ウィラメット川 (Willamette River) の川岸は公園となっています。その一角に日本人移民の歴史公園があります。そこに移民の足跡を記すレリーフが立っています。戦前、多くの日本人がオレゴン州に移民した経緯があります。レリーフには、農業と漁業で生計をたてながら子どもを教育する姿、アメリカに同化しようとした努力、大戦中の収容所での苦しい生活、そしてアメリカ人の差別に対する謝罪の言葉などが彫られています。

「オレゴン・トレイル」というコンピュータゲームも作られました。オレゴン州のライセンスプレートはいろいろなデザインがあります。そこにはオレゴン街道- Trail-が印字されています。札幌で育った私にはオレゴン州とポートランドは懐かしい響きがあります。州の愛称は「ビーバーの州」(Beaver State)でもあります。

ウィラメットバレー(Willamette Valley)という肥沃な農地を抱え、周辺の農産物が集まるところでもあります。広大な森林を背景に国内最大級の製材業と林業があります。ヘーゼルナッツ、クランベリー、葡萄の産地でもあります。酪農では牛、羊、酪製品、卵、鶏肉が盛んな地です。

ポートランドとユージンにはそれぞれ一度、会議で招かれて訪れたことがあります。学校もいくつか見学し、子どもが学ぶ姿に接することができました。DVを逃れ母子が保護されていることも知りました。その子どもたちが学ぶ教室もありました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

2108644-oregon_us A4A

留学を考える その47 オクラホマ州—Sooner State

オクラホマ州(Oklahoma)は合衆国の真ん中より少し南に位置する州です。東はミズーリ州(Missouri)とアーカンソー州(Arkansas)に、西はニューメキシコ州(New Mexico)、南はテキサス州(Texas)、北はコロラド州(Colorado)とカンザス州(Kansas)に接しています。州都および最大都市はオクラホマシティ市(Oklahoma City)であり、タルサ市(Tulsa)がそれに続きます。

この州のニックネームは”Sooner State”といいます。和訳すれば「早者勝ちの州 」とでもしておきましょう。号令とともに我先にと土地の権利を求めて幌馬車を駆って先陣争いをしたのだそうです。中には、公式の土地所有の解禁前に、移植してきた白人たちが「ここは俺の土地だ」と勝手に宣言した者が多かったようです。こうした駆け抜けの人は”The Sooner”と呼ばれました。可笑し味があります。

州名はチョクトー族(Choctaw)の言葉でokla(赤い) と humma(人間)を合わせたものであり、「赤い人々」という意味です。もともとチョクトー族は合衆国南東部のミシシッピ川河口域に住んでいた農耕民族であったそうです。Wikipediaによると、オクラホマ州は、全米のインディアン部族のほとんどを強制移住させる目的で作られた州です。そのため、他の州に比べネイティブアメリカンの居留地(Reservation)が際だって多いのが特徴です。オクラホマ州には沢山のネイティブアメリカンの部族が住んでいます。少なくても25の言語があるということは少なくても25の部族がいるということです。

オクラホマ州は天然ガス、石油および農業の生産高が高いのが特徴です。航空機、エネルギー、輸送機器、食品加工、エレクトロニクス、通信の各産業を経済の基盤とし、天然ガス、航空機および食品の重要な生産州です。天然ガスの生産では国内第2位の州となっています。国内でも経済成長率が高く、2007年度の統計によれば一人当たり収入成長率と州総生産の成長率では国内トップクラスとなっています。油田の発見により、石油精製工業、化学工業が発達しています。

オクラホマ州は、保守的な教義を信奉するキリスト教会が多いので、”Bible Belt”と呼ばれています。その意味は、合衆国の南東中心部には多くのプロテスタントの教会、しかも伝統的な教義を大事にする教会が多いということです。いわば保守的な教理を伝統とする教会です。その象徴は、1963年創立のオラル・ロバーツ大学(Oral Roberts University)でしょう。この大学は大衆伝道者だったオラル・ロバーツが創立します。カリスマ的な伝道師であったビリー・グラハム(Billy Graham)と双璧をなした宣教師です。

supercell geo_states_oklahoma Sooner-Schooner-CC-John-Silks-e1365406242403

留学を考える その46 オハイオ— Buckeye State

オハイオ州は別名「バッカイヤ州-Buckeye State」と呼ばれています。Buckeyeとは州の木のことです。針葉樹の一種で、なんとなく形といい大きさといい北海道に多いカシワに似たところがあります。ドングリも秋になると沢山落ちます。州都で最大の都市はコロンバス(Columbus)。他の大きな町はクリーブランド(Cleveland)、デイトン(Dayton)、トレド(Toledo), シンシナティ(Cincinnati)、アクロン(Akron)です。

オハイオは、五大湖の一つエリー湖(Lake Erie)に面して、その岸は500キロに及びます。この地の利を使って製造業や海運業が盛んです。東はペンシルベニア、南はケンタッキー、イリノイ、西はミシガンに接しています。

州都コロンバスにはオハイオ州立大学(Ohaio State University: OSU)があります。この州の学術研究の中心的な大学です。多くの人材を輩出しています。宇宙飛行士のジョン・グレン(John Glenn)、ニール・アームストロング(Neil Armstrong) もオハイオの出身です。中西部には「Big Ten」という大きな大学の連合があります。ウイスコンシンやミシンガン、イリノイ、ミネソタ、ノースウエスタンなどの大学とともにBig Tenの一つとして、オハイオ州立大学は他大学とで研究開発を競っています。スポーツもまた然りです。

デイトン市はライト兄弟が初めて有人動力飛行機を組み立てたところで知られています。そのために、ライセンスプレートには「Birthplace of Aviation」(飛行機発祥の地)とあります。以前このブログでノースカロライナを紹介したとき、世界で初の有人動力飛行に成功したのがノースカロライナと紹介しました。デイトンは、その飛行機をライト兄弟が自分たちの自転車屋で製造したのが我が町であると主張しているのです。造った所と飛ばした所が違うというのが両方の主張のようです。可笑味があります。

オハイオ州の製造業は総生産高で50州のうちの第3位となっています。シンシナティには、世界最大の一般消費財メーカーのプロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble) の本社、アクロンにはタイヤ会社のグッドイヤー(Goodyear)の本社があります。

university_hall-592x374 buckeye_newohio-map

 

留学を考える その45 ノースダコタ州—Peace Garden State

ノースダコタ州(North Dakota)は合衆国中西部の最北部、グレートプレーンズ(Great Plains)にあります。州の北側はカナダ国境であり、サスカチュワン州(Saskatchewan)およびマニトバ州(Manitoba)に接しています。西側はモンタナ州(Montana)に、東側はミネソタ州(Minnesota)との州境にレッド川( Red River)が流れ、南側はサウスダコタ州(South Dakota)と接する州です。州都はビスマーク市(Bismarck)。人口最大の都市はファーゴ市(Fargo)となっています。ノースダコタの名前は、スー族(Sioux)であるダコタ族(Dakota tribe)から由来しています。

最近の10年以上、全国平均よりも低い失業率、雇用数と人口の増大、および低い住宅空き家率など経済的な好調を持続してきた。これには州西部のバッケン・オイルシェール田(Bakken shale gas)の開発が大きく貢献しています。それに関連する技術やサービス産業の成長も好調な州経済に寄与しているようです。ノースダコタ州は、バッケン・オイルシェール田の採掘によって多くの雇用を生み出しています。すでにアラスカの石油の産出を上回り、テキサス州について第二位となっています。

興味ある話題としては、ノースダコタ州は人口比における教会数の多さでは全米一となっていることです。人口の35%がルーテル信者、30%がカトリック信者、メソジスト信者が7%などとなっています。ドイツや北欧からの移民が多いのです。ドイツ系が47%、ノールウエイ系が31%、アイリッシュが8%、スエーデン系が5%という配置になっています。

農業生産高では全米で菜種油(カノーラ油)は92%、カラシ油が62%、ひまわり油は53%、べに花油が18%を占めています。食用油の精製は一大産業となっています。

ikg2tkUc3ZQQ TraillCountyND NorthDakota

留学を考える その44 ノースカロライナ州– First in Flight

大西洋岸にあるノースカロライナ州(North Carolina)は、周りをバージニア州)Virginia)、テネシー州(Tennessee)、ジョージア州(Georgia)、そしてサウスカロライナ州(South Carolina)に囲まれています。首都はラレイ(Raleigh)、最大の都市はシャーロット(Charlotte)です。チャペルヒル(Chapel Hill)という町には、実に綺麗なノースカロライナ大学(University of North Carolina) のキャンパスがあります。どの町も樫の木(oak)の緑が豊かです。

ノースカロライナ州は科学技術の研究開発が非常に盛んなところです。その中心はResearch Triangleと呼ばれる ラレイ、ダーム(Durham)、チャペルヒルの三つの町です。三つはちょうど三角形のように点在しています。

農業生産品は鶏卵、豚、牛、牛乳の他にタバコ、大豆が主要なものです。他にも織物、化学工業、電子機器、製紙も知られています。意外なことですが、ノースカロライナ州はカリフォルニア州以外で最大の映画制作を行っている州の1つでもあります。

ノースカロライナ州といえばライト兄弟(Wilbur Wright & Orville Wright)です。1903年、世界で初の有人動力飛行に成功したのがノースカロライナです。ライセンスプレートには「First in Flight」と記されています。

スポーツも盛んな地です。特に大学バスケットボールとフットボールは全米でも有数です。大学間での競争が激しいことにもよります。デューク大学(Duke University)、ウェイクフォレスト大学(Wake Forest University)、ノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)、ノースカロライナ大学が競っています。

1280px-Wrightflyer IU-01 nc10

留学を考える その43 ニューヨーク州—-The Empire State

ニューヨーク州の紹介です。なにをとりあげても話題の尽きない州です。最大の都市はニューヨーク(New York)ですね。州都はニューヨークから300キロも離れた人口10万人足らずのアルバニー(Albany)。州の西端にはナイアガラ瀑布(Niagara Fall)があるのをご存じですか。

ニューヨーク州は正三角形に近い形をしています。ニューヨーク州の境界には5大湖のうちの2つのエリー湖(Lake Erie)とオンタリオ湖(Lake Ontario)があります。カナダのオンタリオ州とケベック州と国境を接し、コネチカット州、バーモント州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、そしてペンシルベニア州と隣接しています。

誰でもご存じのニューヨークは世界経済、商業、コミュニケーションの中心地です。多くの企業の本社がここにあります。またショービジネスなど娯楽産業の中心でもあります。年間4,700万人の観光客が訪れます。国際連合はじめ公共機関も沢山あります。9・11の影響がいまだに続いてはいますが、急速な回復はニューヨークのバイタリティを感じます。公共交通網も張り巡らされ、地下鉄網の総延長は世界一。多くの交通機関は24時間運行となっています。

ニックネームはBig Apple。その由来は、大恐慌時代に失業者が市内ででリンゴ売りをしていたとか、ジャズマンが使い出したとか、1800年代に街には一番いい「リンゴ」(隠語で売春婦)があったという説などです。

ニューヨークの由緒ある所の紹介です。エリス島(Ellis Island)は忘れることができません。ニューヨーク湾内にあって、19世紀にヨーロッパからの移民が到着したのがこの島です。かつての移民管理局は今は博物館となっています。1800年頃から1954年まで使われていたとあります。その近くには自由の女神(The Statue of Liberty)が建っています。合衆国の独立100周年を記念してフランスより贈呈され、1886年に造られました。ヨーロッパからやってきた人々が船上からこの像を眺めて、新天地への憧れを抱いたところです。自由の象徴ともなっています。

ニューヨーク州のライセンスプレートには「The Empire State」と印字されています。戦後しばらく、世界一高い建物といわれたEmpire State Buildingの影響があるようです。なんでも世界一が好きなアメリカのことです。ニューヨークは確かにそのような風格と内容を備えてはいるようですが、少々厳つい印象もぬぐえません。9.11の後遺症と教訓は長く続くと思われます。

LP-3507-2 New-York-A-Room-with-A-View-Long-Exposure

33906 .tif

33906 .tif

留学を考える その42  ニューメキシコ州—Land of Enchantment

この州の最大の都市はアルバカーキー(Alburquerque)です。今では伝説的となりましたが、かってビル・ゲイツ(Bill Gates)がパソコンのOSを開発した町です。もともと大部分がネイティブ・アメリカンの居留地だったところです。部分的にメキシコ領土だった経緯もあります。現在、人口の45%がヒスパニック(Hispanic)。加えて、今でもネイティブ・アメリカンが全米で第三位を占める位多く住んでいます。ですが面積からするとアメリカで最も人口密度が低い州といわれています。
州都は、かってメキシコの総督府が置かれていたサンタ・フェ(Santa Fe)です。観光はサンタ・フェの経済を支えています。温暖な気候や、冬のスキー、夏のハイキングなど野外活動の機会に恵まれています。歴史・芸術・文化の豊かな州都です。ジョージア・オキーフ美術館(Georgia O’Keeffe Museum)はその中心といえましょう。オキーフは特にアメリカ人に人気のある女性画家です。自然の景観や動植物などの自然を題材としています。オキーフはウィスコンシン州の農家に生まれ、マディソンで高校時代をすごしたこともあります。

ダウンタウンの歴史地区、特に総督府に隣接するプラザ(Plaza)にはメキシカンフードの人気レストランが立ち並んでいます。町並みは日干しの土で作られた建築物アドービ(Adobe)です。砂、砂質粘土とわらなどの素材でつくられる建材です。熱を吸収してもゆっくりと放出するので建物の中は涼しく、ニューメキシコのような暑くて乾いた地に適しているといわれています。

ニューメキシコ州のライセンスプレートには「Land of Enchantment」(魅了してやまない地)とあります。今もナバホ(Navajo)、プエブロ(Pueblo)、アッパチ(Apache)インディアンが住む居留地があります。そこで作られる民芸作品、各地にある大小の博物館の展示物、そして大自然が観光客を魅了しています。ネイティブ・アメリカンとメキシコの文化と芸術を最も身近に接することができる州といえましょう。

ニューメキシコは日本にとって忘れることのできない州です。ロスアラモス(Los Alamos) という所があります。砂漠のど真ん中に国防総省が管轄するロスアラモス国立研究所(Los Alamos National Laboratory)があります。ここで造られた原子爆弾Little Boyが博物館に展示されています。複雑な思いのする場所です。

ニューメキシコ州立大学(New Mexico State University)、ニューメキシコ大学(University of New Mexico)、サンタフェ大学(Santa Fe University of Art and Design)が主要な高等教育機関です。

map_of_usa_nm Taos-Pueblo-New-Mexico Stieglitz,+Alfred.+Photograph+of+Georgia+O'Keeffe.+1918,+Beinecke+Libarary,+Yale.Georgia O’Keeffe

留学を考える その41 ニュージャージー州—Garden State

ニュージャージー州(New Jersey)は、ニューヨークのハドソン川(Hudson River)の対岸、そしてデラウエア(Delaware)の北東、西はペンシルバニア(Pennsylvania)に接しています。州都はトレントン(Trenton)となっています。ニューヨークの隣なので、多くの人が電車で通勤しています。フィラデルフィア(Philadelphia)へもそうです。最大都市はニューアーク(New Ark)、アトランティックシティ(Atlantic City)は東海岸随一のカジノシティとして知られています。

イギリスから最初に独立した13州のうちの一つでもあり、その歴史は古いです。ニュージャージーに最初にやってきた人々はオランダ人、そしてスエーデン人です。やがてイギリスからの移民が増加し、1649年に名前がNew Jerseyとなります。そこから長らくイギリスの植民地となります。独立戦争の頃、ニュージャージーは依然としてイギリスの支配下にあります。植民地軍とイギリス軍がこの州をまたいで大きな戦いが繰り広げられます。そのため、州のニックネームはやがて「革命への交差路)」The Crossroads of the Revolutionといわれます。

Wikipediaによれば、ニュージャージー州の一人当たり州総生産は国内第2位、一人当たり年収も国内第3位と裕福な州のようです。軍需品生産の中心であり、海軍艦艇の建造が盛んなのが州の雇用と経済を支えているようです。ニューヨーク大都市圏とフィラデルフィア大都市圏を控えていることも州の発展を支えているといえます。

ニュージャージーが生んだ有名な人物としてトマス・エディソン(Thomas Edison)が挙げられます。生涯で1,093の特許登録をしたといわれます。州のモットーは「自由と繁栄, Liberty and Prosperity」とあります。ライセンスプレートには、自然豊かな地を示すGarden Stateとあります。平等の州 (Equality State)とか、なぜかカウボーイ州 (Cowboy State)というニックネームを持っている州です。

NewJersey2 newJersey-lic inspirational-quote-failure-thomas-edison-2

留学を考える その40 ニューハンプシャー州–Live Free or Die

ニューハンプシャー州は大西洋側の東海岸にあります。綴りはNew Hampshierです。いわゆるニューイングランド地域の一部で、北部及び北西部でカナダのケベック州(Quebec)、東部はメイン州(Maine)、南部はマサチューセッツ州(Massachusetts)、そして西部はバーモント州(Vermont)と隣しています。

アメリカにはNewが付く州や町がたくさんあります。州ではNew Mexico, New Jersey, ご存じNew York, 街ではNew London, New Berlin, New Heavenというのもあります。イギリスやヨーロッパ各地からの移民が開拓したことを物語ります。ニューハンプシャーの州都はコンコード(Concord)という小さな街です。コロニアルスタイルといわれる町並が絶佳です。植民地時代の木造家屋のデザインを示します。

この州で忘れられないところがポーツマス(Portsmouth)という街です。日露戦争(Russo-Japanese War)が終わり、当時の大統領ルーズベルト(Theodore Roosevelt)の仲介で講和条約(Treaty of Portsmouth)が締結された街、それがポーツマスです。Portsmouth Naval Shipyardという海軍施設が交渉の会場だったとあります。実に小さな港町です。こんなところで条約が結ばれたのか、と頭をかしげたくなるような長閑な所です。

日本の代表は外務大臣の小村寿太郎、ロシアは元大蔵大臣のセルゲイ・ウイッテ(Sergei Witte)です。ポーツマスの博物館に当時の交渉の様子を報道した写真や新聞記事が飾られています。大男のウイッテが小男の小村を威圧するイラストがあります。当時ロシアはヨーロッパの大国、日本はアジアの小国でした。アメリカは太平洋の利権があって日本に同情的な姿勢であったことを伺わせます。

ニューハンプシャーのライセンスプレートには「Live Free or Die」。「自由を与えよ、さらば死を」という意味です。ニューハンプシャーは最初にイギリスの統治を離脱し独立への歩みを踏み出します。独立宣言後、最初の13州の一つともなります。さらに特筆すべきことは合衆国の州として最初に憲法を制定した州となったことです。この歴史を踏まえているせいでしょうか、大統領選挙において最初に予備選挙が実施されるのがこの州でもあります。その後の各州での大統領選挙を予測するうえで重要な選挙となっています。二大政党にとっての重要な試金石です。

大学教育ですが、なんといっても私立のダートマス大学(Dartmouth College)が有名です。アイビーリーグ(Ivy League)のメンバーで、全米の大学の中で13番目に長い歴史を持っています。さらにニューハンプシャー大学(University of New Hampshire)やコミュニティカレッジ・システム(Community College System)もそれぞれ分校を有していますPatrickHoule_summer2012_1  20309-004-A87CB099 Portsmouth

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA