アメリカの学校は今 その十 人種のるつぼと公民権回復運動

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rosaparks_bus 11002062932一歩高校の建物に入りますと、そこは人種のるつぼといわれるほどいろいろな肌の色の生徒が闊歩しています。このような光景を見るには50年以上もかかったのです。

今週、南部のオクラホマ州(Oklahoma)で白人警察官が黒人男性を銃で撃って死亡させた事件が起こりました。「合理的な理由のない発砲」だったとして、女性警察官が過失致死の疑いで訴追されるという有様です。ノースカロライナ州(North Carolina)でも黒人の男性が警察官に銃で撃たれて死亡したことに対して激しい抗議行動が続いています。黒人や他のマイノリティの人権が未だに無視される傾向があるのを知ると過去の歴史的な出来事を思い出します。

かって黒人と白人の生徒は別々なバスに乗り別々な学校へ通っていました。1960年代、公民権運動やヴェトナム戦争が続くころです。運動の指導者はマーティン・ルーサー。キング牧師(Rev. Martin Luther King Jr.)でした。人種差別は憲法に違反するという主張を貫いたのです。アメリカでは今も非常に高い尊敬を受け、その功績を称えて一月の第三月曜日は祝祭日となっています。ジョージア州(Georgia) アトランタ (Atlanta)にあるMartin Luther King Jr. National Historic Siteは是非訪ねて欲しい歴史地区です。そこにキングセンター(King Center)があって公民権運動の歴史がわかりやすく展示されています。

キング牧師の提唱した公民権回復運動の思想は「非暴力主義」(Nonviolence) といわれています。インド独立の父、マハトマ・ガンディ(Mohandas Gandhi) の教えを受け継ぎました。この運動は1963年の首都ワシントンD.C.にあるリンカーン記念堂 (Lincoln Memorial) の前でおこなった“I Have a Dream”(私には夢がある)という演説で最高潮に達します。人種差別の撤廃と異なる人種の協和という高い理想を易しい言葉で訴え、広く共感を呼びました。今もこの演説は中学や高校の教科書でも取り上げられています。

「公民権運動の母」と呼ばれたのがローザ・パークス (Rosa Parks) です。彼女は白人専用のバスに乗り込みます。すぐに運転手に引きづり出されるのですが、これをきっかけにバス・ボイコット運動が始まります。やがて連邦最高裁判所からバス車内での人種分離は違憲であるという判決を勝ち取ります。

とまれ、話は先に人権の回復運動に及んでしまいました。折しも、9月24日に国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館 (National Museum of African American History and Culture) がワシントンDCの「ナショナル・モール」(National Mall) の一画にオープンしました。スミソニアン協会 (Smithsonian Institution) の19番目の博物館です。奴隷制度や公民権運動、著名なアフリカ系米国人にまつわる3万7000点の品々が展示されます。

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アメリカの学校は今 その九 卒業パーティ:プロム

89acd8b9ae6e71604fd9af7e71ff361c prom 13fff370-e618-0133-2423-0e1b1c96d76b高校の卒業が近づくと4年生には大きな行事が待っています。卒業パーティ:プロム(Prom)というものです。プロムナード(promenade)、舞踏会パーティですから、男子生徒は同伴するパートナーを探します。誰を誘おうか、どんな服装にしようかと思案します。シニア・プロム(Senior prom)とも呼ばれています。

プロムでは男子生徒が自分で選んだ女性と一緒にでかけます。この時、保護者もまた緊張します。「息子の相手は誰か」、「娘を誘ってくれる生徒はいるだろうか」。服装ですが、男子生徒はタキシード、女子生徒はドレスにコサージが一般的です。

プロムの内容はダンスや食事、会話です。飾り付けをした学校の体育館とかホテルを会場にします。ロックバンドやDJが登場してパーティを盛り上げます。プロムで誘った友だち同士は、大抵は一時のデート相手です。結婚相手はまだまだ先の話なのです。

プロムが終わると皆進学、就職に向けて準備します。遠く西海岸や東海岸、あるいは南部の大学などに向かいます。やがて楽しくも厳しい4年間のカレッジライフが始まります。

ついでですが、ロンドンの夏の音楽祭、BBC PROMSはPromenadeの複数短縮形です。Promenade Concertというものでしょう。2カ月にわたって開かれるというのですから豪華です。

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アメリカの学校は今  その八 パラプロフェッショナルの存在

fit%e5%89%8d pttp_paraprofessional-teacher-training-program c0156996_431298今回は高校の教職者陣についてです。アメリカの高校には、各教科担当の教師の他に特別支援教育の教師がいます。その他に、進路相談を担当する「ガイダンス・カウンセラー(Guidance Counselor)」、心理や学力検査を担当する「スクール・サイコロジスト(School Psychologist)」、貧しい家庭の保護者のカウンセリングを担当する「ソーシャル・ワーカー(Social Worker)」、職業実習を担当する「ジョブ・コーチ(Job Coach)」、言葉の遅れを指導する「言語治療士(Speech Therapist)」もいます。看護師ももちろんいます。こうした人々は教員免許状を持っていません。教師以外の者は「パラプロフェッショナル(Paraprofessional)」といいます。給与も教師とは違う体系となっています。学校は教師だけの集団ではないのが日本とは違うところです。パラプロフェッショナルを認定するのは、資格要件を規定する民間の認定機構です。

こうした教職員の業務は分業であるということです。自分の専門分野のことを仕事としているのです。例えば生徒の非行があるとすると、教科担当や担任がそれを受け持つのではなく、ソーシャル・ワーカーかスクール・サイコロジストです。原則、教師は専門分野以外のことができない仕組みなのです。

教員もパラプロフェッショナルも必ずといってよいほど修士号を持っています。特にパラプロフェッショナルというの資格要件がそうだからです。教師もまた大学院へいって勉強し、教える知識や技術を高めると給与が高くなるのです。博士号をもつともっと給料が上がります。アメリカの教職員の待遇としては、定期昇給だけでは不十分なのです。

アメリカの学校がこのように様々な専門家から成るのは、生徒のニーズが幅広いということです。その源は貧困とか家庭環境の悪さなどにあります。特に大都市の街中にある高校は問題行動の生徒が多いといわれています。時には校内に警官が巡回するのはこのような理由によります。大都会の真ん中にある学校で教職者は厳しい環境で仕事をしています。

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アメリカの学校は今  その七 保護者の責任で団体旅行

fig_international_1 p1170137 as20160619002080_commlアメリカの学校には修学旅行という行事はありません。基本的に団体旅行というのないといってよいでしょう。例外とすれば、保護者が自主的に組織してスポーツのイベントや見学旅行を計画する場合があります。あくまで保護者が主体です。州内のカウンティのスポーツ大会や音楽会に参加するのがせいぜいのところです。この場合、教師が引率することはありません。保護者が生徒を引率します。

修学旅行ですが、かって人々が貧しいときに児童生徒が遠方へ行く機会が持てなかったため、学校が主催して「見聞を広めさせること」が修学旅行の大きな目的とされていました。しかし、生活の向上とともに、見聞を広めさせるという趣旨から大きくはずれて、テーマパークを楽しむことが多いです。

今年の初夏、孫娘がバスで首都のワシントンD.C.へ団体で旅行しました。保護者と貸し切りバス会社が企画したようです。こうした企画で教師が職務で参加することはありません。学校がそのような企画をたてるとすると保護者から「余計なお世話だ、、、」といいわれるのがおちです。自分のことは自分でするのが大事だと考えているのです。教師もまた、「そんな無聊な業務は契約にない」と一蹴するはずです。学校は旅行などを企画するところでないのです。

最近、国内では教育課程の上で特別活動の1つとして修学旅行で外国に出かける学校があります。お隣の韓国や中国へ行くのも聞きます。いろいろな違いとともに似たような生活習慣があることを学ぶ機会となるでしょうが、国外への修学旅行を学校の宣伝材料としている場合も多いと聞いています。誰のための旅行なのかと頭を傾げてしまいます。「修学旅行で国際感覚を養う」といううたい文句はどんなものでしょうか。

日本ほど全国大会と銘打ったイベントを企画する国は知りません。野球や俳句の甲子園大会、少年サッカーや囲碁の全国大会、駅伝大会など素晴らしいものです。ですが学校や教師への負担も考えなければならないでしょう。スポーツでは生徒の能力を高めるために倶楽部チームでの専門家による指導が欠かせないように思われます。
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アメリカの学校は今  その六 プナホウ・スクール (Punahou School)

punahou_logo_thumb obama_ss5 punahou-copyハワイの私立学校の双璧はカメハメスクール、もう一つがプナホウ・スクール(Punahou School)です。プナホウ・スクールの創立は1841年。ミッションスクールとして会衆派 (Congregational church)と呼ばれるプロテスタントの教会が運営しています。今もキャンパスの一角には1851年に建てられた校舎の一部が残っています。「Punahou」とは現地語で「泉」という意味だそうです。

この学校は、ハワイ大学の基幹キャンパスであるマノア校(University of Hawaii, Manoa) のすぐ近くにあり、閑静な住宅地を控え実に良い環境にあります。一歩校内に入ると、そこは大学にいるかのような雰囲気です。バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が卒業したことがこの学校を一層世の中に知らしめました。そのほか、全米一位となったゴルフのミッシェル・ウィ(Michelle Wie)もこの学校を卒業したことで知られています。幼稚園から高校までの生徒数は3,750名、高校(Academy)は1,750名です。授業料は年間平均して22,950ドル。日本円で230万円くらいです。

カメハメハ・スクールはハワイの原住民を優先的に入学させますが、プナホウ・スクールは誰でも入学することができます。ミッションスクールの伝統を引き継ぎ、礼拝や聖書の勉強が課せられています。日本語教育もしっかり行われています。多民族の子どもが学ぶせいか、グローバール教育(国際理解教育)が盛んで、アメリカ本土の大学へ進学する者も多いことで知られています。

この学校のスポーツ活動は全米で知られています。初等科には空手部もあります。最も読まれているスポーツ雑誌、Sport Illustrateは2008ー2009年度の全米ナンバーワン学校としてとプナホウ・スクールを評価しています。21のスポーツの種類、参加する生徒数、そして州や全米の大会実績などが評価されています。ハワイの政治や経済、文化、教育の分野に多くの人材を送り出している学校です。

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アメリカの学校は今 その五 カメハメハ・スクールズ(Kamehameha Schools)

bishop-memorial-chapel-old-kamehameha-schools-campus-1 untold_story_pic_1_1 kamlogo 28025-slq_0「アメリカの学校は今」という話題になりますと、大学の予備校でもある高校の姿をとりあげたくなります。最初はハワイ(Hawaii) はホノルル(Honolulu)にある由緒のある学校です。ハワイは1959年に合衆国としての最後の州となりました。50番目です。州都はホノルル。ハワイは先住民がハワイアンと言われています。他に日系、中国系の人々が大勢住んでいます。先住民は州内人口の民族構成で3位になっています。

1885年2月に最初の日本人集団153名がハワイにやってきます(Japanese settlement in Hawaii)。1868年以降、労働者として日本からハワイへ移住していった人びとはサトウキビ労働に従事します。サトウキビ労働者の70%が日本人で、その規模は27,000人といわれます。移住といっても、当初は出稼ぎ労働者だったようです。契約期間が終わり沢山の人がハワイに残りました。

日系アメリカ人の活躍がハワイの政治や経済を支えています。政治の面では、ハワイ州選出でアメリカ初の連邦上下院議員となったダニエル・イノウエ(Daniel  Inouye)とかアメリカ全土の州知事で最初のアジア系知事となったジョージ・アリヨシ(George Ariyoshi) らが有名です。日本の文化は、仏教徒の比率が高いこと、寺院や神社が州内のあちこちでみられることにあらわれています。

ハワイの学校で目立つのは、私立学校が非常に人気があることとです。その代表がカメハメハ・スクールズ(Kamehameha Schools)です。1887年に創立といいますから歴史は古いです。かってハワイを治めていたカメハメハ一世(Kamehameha I) の直系の子孫であるバーニス・ビショップ (Bernice Pauahi Bishop) という人が設立した学校です。この学校には、先住ハワイアンの血筋を引く者が優先的に入学できるようになっています。

カメハメハ・スクールズの創立は1887年。学校はハワイ全土で展開し、早期教育から高校教育までの課程に5,416名の子どもが学んでいます。単独の学校としては全米一の生徒数を誇っています。カメハメハ・スクールズはカメハメハ一世の遺産を継承して、豊かな資金を誇っています。そのため施設はもちろん、教育内容がきわめて充実しているという評判です。ホノルル市街の丘陵にメインのキャンパスがあります。メディア教育センター(Media Education Center) の充実は特に目を奪われるほどです。予約をすれば見学ができます。

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アメリカの学校は今 その四  奨学金にはROTCかPell GrantかGI Billを

rfdfdr-sfspan images rotc-image2「どこの大学で勉強しようか」と思案するのは高校生には一つの関門であり特権でもあります。大学能力評価試験であるSAT、またはACTの成績が良い生徒は99%、志望するところへ入ることができます。高校には進路相談の専門員、Guidance Counselorが必ずいます。自分の学力と大学の評価基準を秤にかけ大学を推薦してくれます。

多くの生徒は地元の州立大学へ行くのが普通です。授業料が比較的安いからです。私立大学も人気があります。自分の家系の宗旨によって決めるのです。例えば、カトリック系、ルーテル系、バプテスト系、モルモン系などの大学です。こうした大学の多くは4年間勉強する単科大学(college)となっています。カリキュラムは、よくいわれるリベラルアーツ(Liberal Arts)です。学生数でいえば1,500人から2,000人くらいの規模です。

宗教系の大学には家庭が裕福な高校生が進学するのが多いです。4年間のカリキュラムがしっかりし、個別の指導が徹底し、規律のよい大学生活が魅力のようです。カレッジを卒業すると総合大学の大学院へ進むのが一般的です。私立の大学も高校も、人々から高い評価を受けるのがアメリカです。

州立でも私立でも成績がよいと奨学金を貰ったりローンを組んで勉強します。アメリカの大学は、資産 (endowment) が公表されています。多くは企業や地元からの寄付や同窓会からの支援金、教会信徒からの献金のことです。奨学金はこうした資産が基となっています。有名大学ほど資産が多いのは当然です。

ほとんどの大学には、陸海空軍および海兵隊の将校を養成する予備役将校訓練課程 (Reserve Officers’ Training Corps: ROTC)もあります。在学中は学費の一部か全額が支給され、加えて数百ドルの奨学金が与えられます。こうした学生は軍服姿で校内を歩いています。ただ卒業後は2年間の兵役義務があります。経済的に貧しい学生や将校となりたい学生は、兵役と引き替えにROTCプログラムで勉強するのです。日本政府もROTCを参考にした仕組みを作ろうとしたことがありますが実現しませんでした。韓国ではソウル大学など全国16大学でROTCプログラムを導入しています。

「Pell Grant」という連邦政府が支出する学部学生向けの返還不要の奨学金もあります。最高限度額は5,815ドルとなっています。「GI Bill」という一種の奨学金もあります。一定期間以上兵役について退役すると大学や職業学校の授業料や生活費として貰える資金のことです。なお「GI Bill」とは「復員軍人再復帰法」 (Servicemen’s Readjustment Act)という法律のことです。

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アメリカの学校は今  その三 国際バカロレアとは

img_0212-250 images eb国際バカロレア(International Baccalaureate: IB)の歴史です。創立は1968年というのですから、意外と歴史は浅いです。この組織はスイス民法典に基づく財団法人国際バカロレア事務局で、スイス(Switzerland)のジュネーヴ (Geneva) にあります。

IBとは、本質的には単なる大学への入学資格をとるものでも、教育プログラムでもありません。「教育を通してよりよき世界を創造することにある」と謳っています。創設以来、世界共通の大学入学資格として広まり資格認定書であるディプロマ(Diploma)を使って、若者へ海外の大学へ進学することの門戸を広げてきました。現在、IBプログラムを有する高校は世界で4,527校、IBプログラムの種類は5,865に及んでいます。日本は今なお、たったの28校という寂しさです。

IBプログラムの分布を地理的にみれば高校の61%が、IBプログラムの57%が南北アメリカ大陸にあります。その大半は北米にあるといわれ、そのせいでしょうかアメリカやカナダの大学は、IB-Diplomaを受験生の選抜に使っています。

次に、「Baccalaureate」の意味です。もともとは、17世紀にフランスで始まった国家公務員になるための行政学院の最終試験のことです。今は、フランスの大学入学資格および試験のことを指します。Baccalaureateはフランス語では「学士」という意味です。ラテン語の「baccalureatus」が語源で、学士ーbachelorというように使われました。ちなみに、「laureate」とは知的で創造的な業績に対する賞を意味します。ノーベル賞受賞者(Nobel Laureates)はその代表です。Baccalaureateのもう一つの意味は、卒業式直前の日曜日に挙行される卒業記念礼拝ということです。

IBディプロマを取得するためには以下の3つの分野での単位が要求されます。
1  課題論文 (Extended Essay)
2  知識の理論 (Theory of Knowledge)
3  創造性・活動・奉仕 (Creativity, Action, Service)

ディプロマの試験で、「個人と社会」のうちの「歴史」の問題の一例を紹介します。これを英語で回答するのには、日頃の時事問題の理解と英語力、特に修辞が要求されます。

●What were the most frequent causes of persecution of minorities? Support your answer with specific examples.
(少数民族を迫害する最も多くの原因はなにかを、いくつかの具体的な例を挙げて答えてください。)

さて、ディプロマの試験45点満点で24点以上をとるとディプロマを取得することができます。志望するアメリカの大学に受験申し込みをするには、ディプロマの他にTOEFLなどの英語能力試験の結果を添えなければなりません。

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アメリカの学校は今 その1 海外留学の説明会

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An aerial view from a helicopter highlights the central portion of the UW-Madison campus including the historic Bascom Hill area during a sunny autumn day on Oct. 7, 2006. Clockwise from lower left is Music Hall, the Law Building, South Hall, Bascom Hall, North Hall, the Education Building and Science Hall. In the background is Picnic Point and the Lake Mendota shoreline. ©UW-Madison University Communications 608/262-0067 Photo by: Jeff Miller Date: 10/06    File#:   D200 digital camera frame 1178

An aerial view from a helicopter highlights the central portion of the UW-Madison campus including the historic Bascom Hill area during a sunny autumn day on Oct. 7, 2006. Clockwise from lower left is Music Hall, the Law Building, South Hall, Bascom Hall, North Hall, the Education Building and Science Hall. In the background is Picnic Point and the Lake Mendota shoreline.
©UW-Madison University Communications 608/262-0067
Photo by: Jeff Miller
Date: 10/06 File#: D200 digital camera frame 1178

img_0572今回から暫く海外留学を巡る大学や高校教育の内容を、アメリカに焦点をあてて紹介することにします。

今やどの大学も学生の募集に躍起となっています。人口の減少とか貧困の蔓延などによって大学進学者が減少傾向にあることが起因しているようです。

先日、在日アメリカ大使館主催のUS Education Fairという留学説明会に参加しました。説明会に出展する多くは私立の単科大学(College)やコミュニティカレッジ(Community College)です。出展する中には、州立大学もあります。私は昨年に続き東京と大阪の説明会にボランティアとしてでかけました。アメリカの大学も海外からの留学生の獲得に奔走しています。世界中にある同窓会組織を通して大学のPRに努めているのです。

留学生集めに忙しいのは単科大学(College)だけではありません。ハーヴァード大学(Harvard University)、プリンストン大学(Princeton University)、コロンビア大学Columbia University、スタンフォード大学(Stanford University)、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology:MIT)も積極的です。以上の超一流の大学は私立大学です。ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin-Madison)は州立ですが、留学生募集活動に積極的なのは例外ではありません。

海外からの優秀な学生や院生、研究者を取り込み、教育や研究の質を高めようとしているのが大学の実情です。留学生の能力が高いことは大学関係者なら皆知っています。ですからこうした頭脳を一人でも集めたいのです。

今回、東京大学でアメリカ史を研究しているという博士課程の院生がウィスコンシン大学のブースにやってきました。東大で博士号を取得するか、ウィスコンシン大学で取得するかで迷っているという贅沢な志望の女性でした。既にウィスコンシン大学の歴史学の研究内容や師事したい教授を調べていて留学の動機は極めて高い人です。多くの論文も読んでいることが十分に伝わってきました。

私の助言は、推薦状やレジメ、志望動機のエッセイをきちんと作ることくらいでした。英文での修辞に注意を払うように伝えました。こうした志望生がブースに立ち寄ってくれるときは、こちらもついつい熱がはいります。同時に気楽でもあります。

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