アメリカの学校は今  その十九 Hiawatha Community School

mrt cargill-1459773566 ty8431926040023ミネアポリス市(Minneapolis) はミネソタ州(Minnesota)一の大都市。隣が州都セントポール市(St. Paul)でこれを併せて双子の町(Twin Cities)と呼ばれています。プロ野球のチーム名がTwinsですね。昔の氷河でできた多くの湖が点在しています。湖が多いので蚊が無数に飛んでいます。そんなわけで、「」ミネソタの州鳥はモスキートだ」という冗句があります。

ミネアポリスはミシシッピー川(Mississippi River)とミネソタ川(Minnesota River) が合流し、昔から穀物の交易で栄えてきました。この町はかってのノースウエスト航空 (Northwest Airline)や精密機械のハネウエル(Honeywell)等の本社がありました。ノースウエスト航空はデルタ航空(Delta Airline)となりアトランタ市(Atlanta) に本社があります。ミネアポリスはデルタ航空のハブ空港となっています。ハネウエル本社はニュージャージー州(New Jersey)に移りました。今は、穀物市場で有名やカーギル (Cargill)の本社がミネアポリスの郊外にあります。

町の中には大きな製粉工場などが目立ちます。1860年頃から主に北欧からの移民がやってきます。気候が似ていたからです。そのほか、オランダやドイツ、イタリアなどからも多くの移民が定住して発展してきました。その後アフリカ系やアジアの人々も職を求めて定住しました。

Hiawatha Community Schoolの話題です。「Hiawatha」は先住民族の一つであるモホーク族(Mohawk)の言葉で「戦士」という意味です。モホーク族は農耕民族ともいわれ、モホーク刈りと呼ばれる独特の髪型をしていたようです。さて、学校には幼稚部から5年生約300名が学んでいます。学校のあたりは、いろいろな民族の人々が住んでいます。貧しい家庭の子どもたちは、朝食と昼食の無料給食サービスを受けています。私たち見学者も朝食をいただく機会に恵まれました。大きなハンバーグ、フレンチフライ、牛乳です。ケチャップの袋が山盛りになっています。子供たちには、まずは腹を満たしてから学習させようとするのです。子供の中には白人もいます。服装も貧しく髪をとかしていないためか、すさんだ印象を受けました。
[contact-form][contact-field label=’お名前’ type=’name’ required=’1’/][contact-field label=’メールアドレス’ type=’email’ required=’1’/][contact-field label=’ウェブサイト’ type=’url’/][contact-field label=’コメントをお寄せください’ type=’textarea’ required=’1’/][/contact-form]

アメリカの学校は今 その十八 サクラメントの学校(2) A. Warren McClaskey Adult Center

mcclaskey_0 delta-king-old-sacramento static1-squarespaceカリフォルニアの州都サクラメント (Sacramento) の人口は47万くらい。中都市といった規模です。ここの学校区教育委員会はUnified School Districtと呼ばれています。周辺の小さな町を統合して教職員、施設設備、予算を管轄しています。今回紹介するサクラメント市内の学校は発達障害者の成人教育機関、「A. Warren McClaskey Adult Center」です。恐らく、Warren McClaskeyという市民が教育委員会に多額の寄付をして造られたものと思われます。

このセンターは教育委員会が運営する発達障害者の職業訓練教育機関です。高校教育の延長となっていて、生涯教育施設ともいわれています。アメリカでは幼児教育から職業訓練にいたる教育は全て教育委員会の管轄です。ほとんど無料で職業訓練のサービスを受けることができます。

障害のある生徒も通常の高校で学習するのですが、それだけでは職業上の自立に至らない場合が多いのです。そのためにこうした訓練機関が存在します。一市民として地域社会で生活するためのスキルを身につけ、仕事について自立的な生活ができるように支援されるのです。

センターではいろいろな訓練プログラムを観察できます。例えばレストランのウエイターやウエイトレスになるための訓練です。清潔な服装、テーブルの用意、あいさつの仕方、座席への案内、注文の取り方、サービスの声かけ、チップの受け取り方、レジの扱い方などなど興味ある訓練を受けています。私たち教員一行もテーブルに座らされて訓練に参加し、おかげで無料の昼食をいただきました。訓練の成果でしょうか、生徒の対応も堂に入っておりました。チップも渡しました。

訓練の合間に余暇時間を過ごす空間があります。センターの側にある住宅を借りています。生徒は三々五々集まっては、珈琲を飲んだり、本を読んだり、ゲームをして余暇を楽しみます。そこの事務室には、訓練生一人一人の訓練プログラムのファイルがあります。個別の就労計画といった内容です。複数の教職員が訓練生の能力やスキルに合ったプログラムを作りそれに基づいて指導しています。ジョブコーチ (Job coach) はこうしたセンターでは欠かせない存在です。
[contact-form][contact-field label=’お名前’ type=’name’ required=’1’/][contact-field label=’メールアドレス’ type=’email’ required=’1’/][contact-field label=’ウェブサイト’ type=’url’/][contact-field label=’コメントをお寄せください’ type=’textarea’ required=’1’/][/contact-form]

アメリカの学校は今  その十七 サクラメントの学校(1)

b95ac3fa61460082b560e1ba0bb8cf3cbcf487ba_600 maxresdefault sacramentoサンフランシスコ (San Francisco)から車で金門橋 (Golden Gate Bridge)を渡り北上するとブドウ畑が広がるナパ・バレー(Napa Valley)があります。景色は素晴らしくワインも美味しいです。そこから東へ向かうと州都のサクラメント(Sacramento)に着きます。サクラメントは元々ゴールドラッシュで人々が集まって発展したといわれます。穀物の集散地としても栄え、今も教育、文化、商業の中心となっています。西部開拓時代の街角は保存されていて、そこの店に入ると映画の世界のような気分を味わえます。

サクラメントの学校を兵庫教育大学の教師である大学院生10名とで訪問したことがあります。お世話になったのはカリフォルニア州最高裁の判事をしていたチャールズ・コバヤシ(Charles Kobayashi)という方と奥様です。お二人とも日系2世です。

西海岸に移民した日本人は皆懸命に働き、子どもたちに教育を授けて今の地位を獲得したことが伺えます。コバヤシ氏はその見本のような方です。今も多くの日系アメリカ人が活躍しています。コバヤシ氏はサクラメントの日系メソジスト教会 (Sacramento Japanese United Methodist Church) の長老をされたり、日系人のためのグループホームの建設で尽力されていました。奥様の兄弟は、かつてヨーロッパ戦線でハワイの日系アメリカ人で構成された第442連隊戦闘団(442nd Regimental Combat Team)にて活躍したそうです。

コバヤシご夫妻の娘であるLaura Ashizawaさんは、かって私が勤めていた国立特殊教育総合研究所を訪ねてこられたことがあります。それから今までご両親とも交際が続いています。彼女は隣の郡の特別支援教育の教師をしていました。お二人の息子さんが発達障害の診断を受けています。

[contact-form][contact-field label=’お名前’ type=’name’ required=’1’/][contact-field label=’メールアドレス’ type=’email’ required=’1’/][contact-field label=’ウェブサイト’ type=’url’/][contact-field label=’コメントをお寄せください’ type=’textarea’ required=’1’/][/contact-form]

アメリカの学校は今  その十六  フェアファックス学校区

special-needs the-long-history-of-fairfax-county-public-schools-bojbakg still0706_00017_1467848904722_1518378_ver1-0首都ワシントンDC(Washington D.C.)の西南を流れるポトマック川 (Potomac River) を渡るとヴァジニア州(Virginia)に入ります。ポトマック川はチェサピーク湾 (Chesapeake Bay) に流れます。ヴァジニアの州都はリッチモンド(Richmond)といいます。もともとアメリカ南部連合 (Confederate States of America), 南軍の首都です。ヴァジニア州最大の学校区フェアファックス郡(Fairfax County Public School: FCPS)の学校が今回の話題です。

フェアファックス学校区の生徒数は186,000人。全米の学校区で12番目に大きな規模です。生徒の人種背景ですが、白人とそれ以外の民族は約半々となっています。28%の生徒が無料か割引の給食を、17%の生徒が英語補助授業を、13%が特別支援教育を受けています。矯正教育を含むオータネティブ・スクール(Alternative schools)が3カ所、そして特別支援教育センターが8カ所あります。

首都の隣だけにフェアファックスには、日本企業も沢山進出しています。そのせいか日本語教育も盛んに学校で行われています。時には、企業からの寄付がこうしたプログラムを支えています。企業や地元の団体などから金品の寄付を受けて、学校のプログラムを展開するのはアメリカの学校の特徴の一つです。校長の役割も大です。校長というのは、校務の統括の他に地域にある企業、ライオンズ(Lion’s Club)やロータリークラブ(Rotary Club)などをまわって学校の活動を紹介し寄付を集めるのも大事な仕事です。

どの学校にもコンピュータは整備されて、授業や個々の生徒の学習に使われています。しかもあらゆるコンピュータも無線ランでつながっています。電子黒板やプロジェクタを使うのも日常的な姿です。どのクラスにも電子黒板が設置されているのは、この機器の効用を教育委員会は知っているからです。黒板がコンピューターのタッチパネルとなるのですから便利です。

校長などからの連絡は、メールや電子掲示板でやってきます。いつもネット上での記事を確認するのがフェアファックスの教師です。職員室というのはありません。

[contact-form][contact-field label=’お名前’ type=’name’ required=’1’/][contact-field label=’メールアドレス’ type=’email’ required=’1’/][contact-field label=’ウェブサイト’ type=’url’/][contact-field label=’コメントをお寄せください’ type=’textarea’ required=’1’/][/contact-form]

アメリカの学校は今  その十五 ニューヨーク市立第165小学校

report-complaints-about-violence-in-new-york-schools-are-at-an-all-time-high larger 1280px-friends_meeting_house_-_new_york_city兵庫教育大学にいたとき、教員の大学院生を連れて北米のいろいろな学校を視察してきました。ニューヨーク市にも行きました。ニューヨーク市立大学 (Queens College of The City University of New York: CUNY) の近くにある市立第165小学校が今回の話題です。

ニューヨーク市は、「4人に3人が移民であり2人に1人が英語を母国語としない」といわれています。その大半は移民がです。ニューヨーク市は、アメリカ最大の生徒数を擁する巨大な学校区 (New York City Department of Education: DOE)です。学校は小学校から高校まで1,800校位あります。ニューヨーク市教育委員会のサイトは12か国語で作られています。日本語のはありませんが、、、

第165小学校は塀に囲まれ、警官が常時巡回しています。このような光景は珍しくはありません。大都会のダウンタウンにある学校はたいていの場合、公立学校です。そして多くの子どもは複雑で貧しい家庭環境にあるようです。

ほとんどの小学校で英語の補習授業プログラムが用意されています。第165小学校もそうです。アメリカ社会で最低限必要とされる基礎能力を習得させるためです。そのための予算や教員の確保がいつも話題となります。学校内にはネットワークに接続されたコンピュータが揃っています。ITリテラシーは小学生にも強調されるカリキュラムです。どんなに貧しい子どもが通っている学校でもIT関連の設備はしっかりしています。ITのスタッフも必ず常駐しています。それと図書館の充実も目立つことです。

第165小学校の生徒数は760名。教師と生徒の割合は10対1。アジア系が53%, ヒスパニック系が19%となっています。無料か割引の給食を受ける生徒は69%とあります。教師も様々な民族の背景を有しています。案内してくれた一人の教師は自信に溢れた態度でした。このとき残念ながら生徒の姿は写すことができませんでした。

[contact-form][contact-field label=’お名前’ type=’name’ required=’1’/][contact-field label=’メールアドレス’ type=’email’ required=’1’/][contact-field label=’ウェブサイト’ type=’url’/][contact-field label=’コメントをお寄せください’ type=’textarea’ required=’1’/][/contact-form]

アメリカの学校は今  その十四 チャーター・スクール(Charter Schools)

charter-schools

WASHINGTON, DC - FEBRUARY 20:   (FILE PHOTO)  Shannon Woisnet, 7-years-old, from Cleveland, Ohio, holds up a sign in support of school vouchers in front of the U.S. Supreme Court February 20, 2002 in Washington, DC. The U.S. Supreme Court, in a 5-4 ruling, upheld the Cleveland, Ohio school voucher program June 27, 2002 which allows families to use publicly financed vouchers to send children to religious schools.  (Photo by Mark Wilson/Getty Images)

WASHINGTON, DC – FEBRUARY 20: (FILE PHOTO) Shannon Woisnet, 7-years-old, from Cleveland, Ohio, holds up a sign in support of school vouchers in front of the U.S. Supreme Court February 20, 2002 in Washington, DC. The U.S. Supreme Court, in a 5-4 ruling, upheld the Cleveland, Ohio school voucher program June 27, 2002 which allows families to use publicly financed vouchers to send children to religious schools. (Photo by Mark Wilson/Getty Images)

charter 08charter-600今回は、幼児から15才の児童生徒を対象とした教育をしているチャーター・スクール(Charter Schools)のことです。チャーター・スクールというのは、いわば半官半民のような運営の学校です。民間の人々が学校の設立に関わり、州政府がこれを認可するのが普通です。カリキュラムは独自で特色のあるものとするのが売りです。州政府が決める教育課程や規定に拘束されないという特徴があります。いわば特区の学校といえます。「Charter」とは「契約」といったような意味です。

コロラド州にあるNew Visions Charter Schoolのモットーは「Chance to Grow」。成長への挑戦とでもいいましょうか。現在は州からの援助を受けています。公立学校の場合、生徒一人当たりの州からの補助は9,000ドル、チャーター・スクールの場合は6,000ドルあまりとなっています。従って、多くのチャーター・スクールは地元からの寄付にも頼っています。この学校の授業料は幼稚園を除いて無料となっています。カリキュラムに特色があるために、公立の校区にあってもこの学校を選ぶ市民多く、入学はくじ引きとなっています。

この学校のカリキュラムは、子供に高い学力をつけさせるということに尽きます。そのため、Core Knowledgeというアメリカ史を中心としてアメリカの地理、歴史、文化を系統的かつ総合的に教えることを謳っています。しかも一クラスサイズは20名以下で運営されています。市民の学校に対する期待も高く、ボランティアも多く学級に入っています。自分たちで創った学校という市民の意識の高さが感じられます。

通常、チャーター・スクールは3年毎に教育成果が評価されます。成果の評価は、教職員に対して、教育の質の向上という動機を与えています。評価が低いと州からの補助が減らされたり改善勧告がでたり、廃止に追い込まれたりします。

[contact-form][contact-field label=’お名前’ type=’name’ required=’1’/][contact-field label=’メールアドレス’ type=’email’ required=’1’/][contact-field label=’ウェブサイト’ type=’url’/][contact-field label=’コメントをお寄せください’ type=’textarea’ required=’1’/][/contact-form]

アメリカの学校は今  その十四  Queen Lydia Lili’uokalani Elementary School

big_thumb titlei 220px-liliuokalani_holding_parasol_at_washington_placeハワイの州都はホノルル(Honolulu)。オアフ(Oahu)島にあります。ホノルルの東郊外にある公立学校、Qween Lydia Liliwakalani Elementary Schoolが今回の話題です。ハワイ王朝のかつての女王Lydia Liliwakalaniという人が寄付して1912年に創立されたとあります。この学校の付近はやや寂れた感じがするところです。

もともと貧しい家庭の子供に対する教育、という理念をこの女王は抱いてきたといわれます。今日、こうした子供への教育は連邦政府が膨大な資金を各州に提供しています。このプログラムを通称「Title I 」(タイトル・ワン)と呼びます。全米の90%以上の学校がこの支援を受けています。例えば、移民の子供への英語教育、障害が予想される、あるいは障害がのある子供への教育や給食サービス、虐待を受ける子供への支援、未婚の母親教育などがこの基金によって支えられています。Qween Lydia Liliwakalani Elementary Schoolもこの「Title I 」によって教育サービスを受ける子供が大勢います。

現在Qween Lydia Liliwakalaniでは120名くらいの子供がが学んでいます。そのうちハワイアンの子供がが80%を占め白人が13%という構成になっています。全生徒の45%が無料あるいは減額費用での給食サービスを受けています。教師と生徒の割合ですが、正規教員一人あたり平均12名となっています。ハワイ全体の平均は16名ですから結構いい割合です。手のかかる生徒が多いのが少人数学級の理由と考えられます。ワイキキ・ビーチ(Waikiki Beach)やアラモアナ・ショッピングセンター(Ala moana Shopping Center)の賑わいの陰に、貧しい家庭の子どもが学ぶ姿が隠れています。

[contact-form][contact-field label=’お名前’ type=’name’ required=’1’/][contact-field label=’メールアドレス’ type=’email’ required=’1’/][contact-field label=’ウェブサイト’ type=’url’/][contact-field label=’コメントをお寄せください’ type=’textarea’ required=’1’/][/contact-form]

アメリカの学校は今  その十三 タマス・プリンス学校 (Thomas Prince School)

bragghall town_common_princeton_ma mamap今回はアメリカの田舎の学校です。マサチューセッツ州(Massachusetts)の州都ボストン(Boston)から西へ車で90分のところにあるプリンストン(Princeton)という小さな町の学校です。すぐ近くには広大なワチューセッッツ(Wachusette)州立公園があり、夏はハイキングやキャンピングで人々が憩い、スキー場が隣接していて冬の週末はたいそうな賑わいです。

プリンストンの人口3,700人。アメリカによくある田舎町です。プリンストンは豊かな森林資源を誇り、製材業、家具製作などで栄えた歴史があります。1800年代には鉄道も開通し、材木や製品の運搬に使われました。商人や旅行客も押し寄せホテルも繁盛しました。ですがこうした賑わいは戦後の自動車の普及ですっかり終わり、いまは静かな町となりました。農業は小麦が中心です。ブルーベリーやブラックベリー、リンゴなどのフルーツ農園があちこちに点在しています。

左上の写真は町役場の建物です。誠にもって風情のある姿です。このような規模の町ですから、学校や図書館は近隣の4つの町と一緒に運営しています。この学校区教育委員会はWachusett Regional School Districtと呼ばれ、二つの小中学校と一つの高校があります。Thomas Prince Schoolの学校名は、赴任してきた初代キリスト教会牧師の名前です。地域発展の黎明期は、多くの場合教会活動が活発な頃です。

Thomas Princeには、幼児から中学生までたったの150名くらいの子どもしかいません。ですが、言語治療士、障害児教育教師、発達障害教育教師、リソースルーム教師、図書館司書が常駐しています。私事ですが、二人の孫息子がこの学校に通い、発音の不規則さを指摘されて治療を受けました。校長は、自ら面接して教師を採用します。野外の運動場はすべて芝生。野球とサッカーが別々にできる広さがあります。芝の手入れはすべて機械でやります。数日毎に芝刈りをするのです。週末は試合があって保護者はチームの応援に駆けつけます。コーチは上手な子ども苦手な子どもも試合に出れるように配慮しています。お年寄りも折りたたみの椅子に座り、長閑に夕方の時間を過ごします。そして孫達の走り回る姿に目を細めます。

アメリカの学校は今  その十二 メディアセンターの充実ぶり

zentai2 kakari-mori1 02b0a2_f2f7a0b34192483393810bfbe55d1c65-jpg_srz_278_185_85_22_0-50_1-20_0アメリカの図書館は学校の華。学習の場として大きな役割を果たすのが図書館です。多くの学校は図書館を「メディアセンター(Media Education Center)」と呼んでいます。インターネットでつながった図書館は、印刷された本だけでなく電子情報で一杯なのです。メディアセンターはネットワークにつながるパソコンで満ちています。

メディアセンターには必ず図書館司書(librarian) が常駐しています。司書は教師と一緒になって授業もします。本の読み聞かせなどもするのです。小中学校のメディアセンターはいつも生徒で賑やかです。センターの入り口は沢山の飾り付けがあり、「なにか楽しいことがありそうだ、、」という雰囲気です。学校で一番行きたくなるところ、と宣伝するのがメディアセンターなのです。高校のメディアセンターは大学以上の設備を誇るところもあります。

情報を集めそれを活用することの大切さを知っているのはアメリカの学校です。そのせいか、図書館に多額の予算を付け、充実させる伝統があります。司書の能力の高さはそれを証明しています。いつか機会がありましたら、一度図書館に足を運んでみてください。その内部の底抜けの明るさと司書らの専門的な対応に驚きます。
[contact-form][contact-field label=’お名前’ type=’name’ required=’1’/][contact-field label=’メールアドレス’ type=’email’ required=’1’/][contact-field label=’ウェブサイト’ type=’url’/][contact-field label=’コメントをお寄せください’ type=’textarea’ required=’1’/][/contact-form]

アメリカの学校は今  その十一 教育委員と学校長

692433ebd961fda36d1ffadc3d9758b1 school-budget-vote superintendent_sign-1067x600アメリカでは高校は義務教育です。学校はどのようにして支えられているかをご存じでしょうか。アメリカの学校の大半は市町村立か私立です。市民の税金が学校を支えています。州立高校というのはありません。

小さな町や村は、郡単位となって学校を運営します。人々の税金によって学校の建物を維持し教師を雇っています。もし、中途退学者が増えようものなら、市民は「学校は一体なにをやっているのか、教育長 (superintendent)や校長を代えよ、」と叫ぶのです。こうした記事は地方の新聞でよく見られます。市民には税金の使いみちと教育の成果は最も関心の高い話題の一つです。教育委員は公選です。教育委員会を統括するのですから、教育長や校長は教育委員会の下で教育行政に従事しなければなりません。教育長は教育委員が選ぶ仕組みとなっています。振り返って、日本では教育委員長(board of directors) や教育委員はなんの権限もなく、教育長の下に位置するという体たらくです。

学校税(school tax)というのがあって、自分たちの税がどのように使われているかがガラス張りとなっています。校長は、「スクールカウンセラーを雇いたい、PCを買い換えたい」などの提案を市民集会(Town Meeting)で説明します。ビジョンを持つ校長は市民にたいして、もう少し学校税を負担して欲しい、必ず教育の質を高める、と訴えるのです。

それでも資金が不足すると、校長は学校債権(school bond)の発行を提案して市民に学校への支援をとりつけます。債権ですから満期になると元金と利息を市民に返します。教育委員会から予算を獲得できるかが、校長の能力なのです。さらにロータリークラブ(Rotary Club)やキワニスクラブ(Kiwanis  Club)といった地域の経営者団体や福祉団体から寄付を集めるのも校長の仕事なのです。校長は地元の営業マン、ウーマンです。校長の権限と責任は大きいこと、市民の期待が高いのがアメリカの学校なのです。

[contact-form][contact-field label=’お名前’ type=’name’ required=’1’/][contact-field label=’メールアドレス’ type=’email’ required=’1’/][contact-field label=’ウェブサイト’ type=’url’/][contact-field label=’コメントをお寄せください’ type=’textarea’ required=’1’/][/contact-form]