弘田龍太郎は1892年に高知県安芸市に生まれます。1914年に東京音楽学校器学部ピアノ科を卒業します。そして1928年に文部省留学生としてベルリン大学で学び、作曲とピアノを研究します。帰国後は、東京音楽学校教授となります。その後は、母校を去って作曲活動に専念していきます。ラジオの子ども番組の指導や児童合唱団を指揮したりしていきます。
晩年は幼児教育に携わり、歌曲と童謡を多く作曲します。リズム遊びの指導などもやります。作品にはヨナ抜き長音階の旋律が圧倒的に多いのが特徴です。ヨナ抜き長音階とは、日本固有の五音音階のことです。例えば、「ドレミソラ」のように「シ」の音がないという具合です。西洋音楽ではドで終止するという考え方がありますが、ヨナ抜きではラとかレで終わります。「君が代」もそうです。
「浜千鳥」のような感傷的なものから「雀の学校」のように単純明快まであります。その他、「靴が鳴る」 「叱られて」 「雨が降ります」など短調の曲ですが、叙情溢れる作品です。北原白秋らとの共作も目だちます。