ヨーロッパの小国の旅 その五十七 スロバニア

外交面でも内政面でも日本では余り知られていない国がヨーロッパにあります。その一つがスロバニア(Republic of Slovenia)です。首都は人口29万人のリュブリャナ(Ljubljana)です。中央ヨーロッパの地図を見ますと、大国に挟まれ歴史的にさまざまな変遷を辿ってきたことが伺える国がスロバニアです。

スロバニアは、北はオーストリア(Austria)、東はハンガリー(Hungary)、南はクロアチア(Croatia)、そして西はイタリア(Italy)に隣接しています。かつては20世紀にいたるまでユーゴスラビア(Yugoslavia)の一部であった国です。中世以来、神聖ローマ帝国の皇帝位を保持してきたオーストリアのハプスブルグ(Habsburgs)によって統治されてきました。

1945年にスロバニアは、社会主義体制となったユーゴスラビアに復帰し、ユーゴスラビアの構成国であるスロベニア人民共和国となります。ユーゴスラビアでは戦後一貫して政治・経済の分権化が進められます。それを指導してきたのが、有名な指導者チトー(Josip Broz Tito)です。チトーは1945年 から1963年までユーゴスラビア社会主義連邦共和国の首相となり、その間、スターリン(Joseph-Stalin)と断絶します。

1990年に旧ユーゴ内スロベニア共和国において初の複数政党制による選挙が実施されます。そして1991年6月独立を宣言し2004年にはEU及びNATOに加盟します。スロベニアには、多数を占める政党がなく、中道の右派や左派の諸政党が存在しています。長い間、連立政権が政権を担っているという珍しい国といえます。2004年にはNATO及びEUへ加盟し,2007年より通貨としてユーロを導入しています。