エンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone)は 928年ローマ生まれの作曲家です。ローマのサンタ・チェチーリア音楽院(Conservatorio Santa Cecilia)で現代音楽の作曲家ゴッフレド・ペトラッシ(Goffredo Petrassi)に作曲技法を学んだ後、作曲家としてテレビ・ラジオ等の音楽を担当します。
1950年代末から映画音楽の作曲、編曲、楽曲指揮活動に入ります。1961年のルチアーノ・サルチェ(Luciano Salce)監督の「ファシスト」(Il Federale)が処女作となった映画音楽となります。1960年代はセルジオ・レオーネ(Sergio Leone)監督とのコンビで、いわゆる「マカロニ・ウェスタン」作品で存在感を増していきます。1965年には「荒野の用心棒」の「さすらいの口笛」を、「夕陽のガンマン」、1966年の「続・夕陽のガンマン」(The Good, the Bad, and the Ugly) は迫力あるサウンド・トラックとして知られます。
「マカロニ・ウェスタン」には善玉、悪玉、卑劣漢が必ず登場します。さしずめクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)、ジュリアーノ・ジェンマ(Giuliano Gemmma)、フランコ・ネロ(Franco Nero)などが善玉とすれば、リー・ヴァン・クリフ(Lee van Cleef)は悪玉でした。リー・ヴァン・クリフのような悪役がいてこそ盛り上がる映画です。彼の演技はしばしば語られるところです。
レオーネとのコンビはレオーネの遺作となった1984年の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」(Once Upon a Time in America)まで続きます。1986年のイギリス映画「ミッション」(The Mission)で新境地を開拓、それ以後はイタリア国外でも評価が高まり、1987年には「アンタッチャブル」(Untouchables)でグラミー賞を受賞します。映画そのものよりも、サウンドトラック音楽で映画の人気を高めたものがモリコーネです。「マカロニ・ウエスタン」は、もともとは「Spaghetti Western」からの造語です。