ヨーロッパの小国の旅 その二十八 スナフキン

ムーミンの本は、日本では始めて1964年に講談社から出版されます。1969年に日本でアニメ『ムーミン』が放映されます。さらに1990年にアニメシリーズ「楽しいムーミン一家」として、暖かく親しみのある主題曲とともにテレビ放送が開始されます。

ムーミン谷に住むスナフキン(Snufkin)についてです。彼がムーミンと家族に出会うのは、1946年に出版された第2作となる「ムーミン谷の彗星」(Comet in Moominland)です。スナフキンは主人公ムーミントロールの親友であり、芸術家であり哲学者のような孤高の存在で描かれることが多いようです。嫌いなものは「~禁止」の看板です。スナフキンは、暖かい季節には川辺にテントを張って暮らし、秋が来るとムーミン谷の住人たちが冬眠に入る11月頃に南へと旅立ちます。春が来ると皆が冬眠から目覚めるのです。そしてスナフキンはムーミン谷へ戻ってきます。

いつも灰色でつばの長い帽子を被り、古びたコートをまとっています。月の明るい夜に1人で徘徊する時が好きです。思索を好む放浪者です。人との交わりは避けることはないのですが、1人で考え旅することをこよなく愛します。作者のヤンソン(Tove Jansson)も自由と孤独に向き合い続けた芸術家だったといわれます。1914年、彼女は彫刻家の父と挿絵画家の母のもとに生まれます。幼少期は第1次世界大戦の渦中で、弱冠14歳で雑誌のイラスト掲載でデビューします。そして、1945年にムーミンシリーズの最初の物語「小さなトロールと大洪水」(The Moomins and the Great Flood)を発表します。