ヨーロッパの小国の旅 その二 バルト海の歴史とハンザ同盟

北の地中海と呼ばれたバルト海(Baltic Sea)は、古代バルト文明、中世のヴァイキングの東征、ハンザ同盟(Hanseatic League)の通商の舞台となったところといわれます。地図を見ますと、スカンジナビア諸国(Scandinavia)、デンマーク、ドイツ、ポーランド、バルト三国、そしてロシアがこの周りに位置していることがわかります。古くから海上交通に利用され、沿岸には有力な海港都市が存在しています。

バルト海貿易を最初に開拓したのは、スカンジナビアに住む北ゲルマン人(ヴァイキング)です。やがてゲルマン人の東方進出に伴い、12世紀以降はヴァイキングに代わりドイツ人が貿易の担い手となります。そしてロシアとの交易を発展させていきます。ドイツ商人はロシアから毛皮、穀物、木材、海産物、コハク(Amber)を求め、ロシアには毛織物、食糧、ワイン、生活必需品などを輸出します。

ハンザ同盟都市ヴィスビー(スウェーデン)

王侯貴族を顧客にしていた地中海貿易とは対照的に、バルト海貿易は投機性に乏しかったといわれます。しかも冬のバルト海の航海は厳しく、航海が絶たれます。近世に入ると大西洋や太平洋航路が国際貿易の重要な舞台となるにつれて、バルト海貿易はやがて衰退していきます。

ハンザ同盟都市リューベック(ドイツ)