ナンバープレートを通してのアメリカの州  その五十四 ワイオミング州–Equal Rights

車のナンバープレートに印字される州のモットーを取り上げてきました。このモットーからそれぞれの州の歴史や特徴が分かってきます。今回はワイオミング(Wyoming)州です。北にモンタナ州、東にサウスダコタ州とネブラスカ州、南にコロラド州、西にユタ州とアイダホ州と境をなしています。州都はシャイアン市(Cheyenne)です。全米で最も人口が少ない州都でもあります。

ワイオミング(Wyoming)とはインディアンの言葉で「大平原」を意味するそうです。州の東側3分の1はハイプレーンズと西側3分の2はロッキー山脈東部の山岳地帯と丘陵の牧草地帯が広がります。州の主要な産業は鉱業と農業。鉱業ではウラニウム、天然ガス、メタンガス、農業では小麦や大麦、馬草、サトウキビが主たるものです。

Yellowstone National Park

イエローストーン国立公園(Yellowstone National Park)がこの州の北西部に広がります。年間600万人が訪れます。合衆国で最古の国立公園で、シンボルになっている間欠泉や温泉の見所で有名です。同じく最初の国定記念物として指定されているのが、デビルスタワー(Devil’s Tower)です。アメリカ先住民族から神聖視される岩山で登ることができます。

Shane

州のモットーは、「Equality State」という少々地味な名称です。1869年に合衆国の地方議会で最初に女性に参政権 (Suffrage) が認められます。ほどなくして1870年2月に、エスター・モリス(Ester H. Morris)が州判事に任命されます。ララミー(Laramie)という街で、参政権によって最初に投票したのは、ルイザ・スエイン(Mrs. Louisa Swain)です。1894年には、エステル・リール(Estelle Reel)がアメリカで最初の州教育長官(State Superintendent of Public Instruction)になります。さらに、1924年にネリー・ロス(Nellie T. Ross) が合衆国で最初の女性知事として選ばれます。男女同権を意味するのが「Equality 」です。

アメリカ合衆国とニックネームの由来 その58 The Equality State

ワイオミング州(State of Wyoming)の簡単な歴史です。北にモンタナ(Montana) 、北東にサウスダコタ(South Dakota),東にネブラスカ(Nebraska)、南にコロラド(Colorado) 南西にユタ(Utah)、西にアイダホ(Idaho)に囲まれています。「ワイオミング」という言葉はマンシー族(Munsee)の言葉で「大きな河床」を意味します。州都はシャイアン(Cheyenne)となっています。

1770年代に現在の州南西部はスペイン帝国の領土となり、後にはメキシコのアルタ・カリフォルニア(Alta California)の一部となります。さらに同年代後半にはケベック(Quebec)やモントリオール(Montreal)からフランス系カナダ人の猟師が入ってきて、ティトン(Teton)、ララミー (Laramie)などフランス語を語源とする地名を残します。アメリカ・メキシコ戦争(Mexican-American War)が終わった1848年、合衆国がこれらの地域をメキシコから譲り受けます。

同州と周辺州にまたがる「イエローストーン国立公園(Yellowstone National Park)」には現在、バッファロ(buffalo)が多数繁殖飼育され、多くの観光客を呼び寄せています。バッファロー・ビル(Buffalo Bill)という伝説的な人物もいました。 本名はウィリアム・コディー(William Cody)。ガンマンであり興行主として活躍します。バッファロー・ビルは1880年ころからカウボーイの拳銃さばきや駅馬車襲撃などを実演してショー化した「ワイルド・ウェスト・ショー」(Wild West Show) を立ち上げ大人気を博します。

1869年12月、準州知事ジョン・キャンベル(John Campbell)が普通選挙法に署名して、投票権が女性に拡大されます。その後、女性陪審員や治安判事、女性知事が登場します。これら女性に与えられた権利の故に、ワイオミング州は「平等の州」 (The Equality State)とか「参政権の州」(The Suffrage State)と呼ばれるようになります。またの名を「カウボーイ州 」(Cowboy State)ともいわれています。