「シンドラーのリスト」(Schindler’s List)という映画には、見応えのある印象的な手法が随所に散りばめられています。監督スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)がいかに創造的な映画制作者であるかを考えさせられる作品でもあります。
登場するシンドラー(Oskar Schindler)はドイツ人の実業家です。ドイツ軍への食器類を製造しています。決して死の商人ではなく、ドイツ人将校を賄賂で手玉にとり、ビジネスを発展させるのです。ですがユダヤ人に対するナチスの苛酷な対応に次第に疑問を持ち、少しでも彼らを救おうと決心します。シンドラーの改心ともいえるところがこの映画の一つの見所です。
シンドラーは、ポーランドのクラカウ・プラショフ(Krakow-Plaszow)という街で琺瑯食器工場を造り、軍に納めるのです。そこで闇マーケットで活躍するスターン(Itzhak Stern)というユダヤ人を会計士として雇い、ビジネスを展開します。シンドラーとスターンは工場経営のために、いろいろなところから融資を受けます。そして多くのユダヤ人を工員として採用するのです。これによって強制収容所行きを免れるのです。
クラカウ・プラショフ強制収容所の所長としてエーモン・ゲート(Amon Goeth)という将校が赴任すしてきます。残忍な手法でユダヤ人を苦しめるのですが、シンドラーは巧みに振る舞い、賄賂によってゲートからいろいろな譲歩を引き出します。シンドラーはゲットーや収容所での恣意的な拷問や殺害を目撃します。一人の少女が赤い服を着てナチスから逃れようします。だが、シンドラーはやがてこの赤い服を着て冷たくなった少女が手押し車に積まれて運ばれるのを目撃するのです。