文部科学省の「先導的教育情報化推進プログラム」になぜ課題が採択されたかを考えると少々感慨深いものがある。応募にあたって大事なことは、なによりも特別支援教育にも学校にも保護者にとっても、弾けるような企画を考えることだった。ヒアリング毎に、綜合的な校務支援システムが特別支援教育の現状に即して、いかに大切なものかを倦まず、そして弛まず説明した。特別支援教育の分野で課題を提出したのが我々の一件だけだったことも幸いした。
2007年度から始動した特別支援教育では、個別の生徒の教育指針となるIEPの策定と運用が期待された。そのために、複数の関係者や関係機関がその作成や実施等の過程でさまざまな情報を共有する必要があるということである。
乳幼児期において福祉や医療機関、学齢期では保護者、特別支援学校や学級、進路指導では就労支援機関の連携が重要となってくる。障がいや発達に関する診断情報、教育相談情報、保護者が寄せる家庭での成長記録情報が綜合されて、個々の児童生徒に相応しい教育的支援を行うことができる。
このように今や特別支援教育は、早期の障がいの発見から就労に及ぶ校務情報の一元化と継承性が課題となっており、そこにICTの果たす役割が大いに期待されている。本研究がねらうネットワーク上での個別の教育計画策定と運用を中心とする校務円滑システムの構築と検証は欠かせない課題であると確信していた。
このような特別支援教育の展望のなかで、本課題は採択された。取り組みの方向が文科省の方針に沿うこと、特別支援教育の現状と課題を強調したことが役人の琴線に触れたからだと信じている。