2007年に文部科学省の「先導的教育情報化推進プログラム」に「総合的な校務円滑システムの構築による特別支援教育の情報化」とい研究課題名で提案した。何度も文科省に呼び出されて、企画内容についてヒアリングを受けた。大型の研究費だったので審査は極めて厳しいものだった。
この研究を推進しようとする母体は、文科省の初等中等教育局内にある産業教育・情報教育担当情報推進係であった。この係は、学校における様々な業務、特に校務に関連する生徒情報を集積し、それを活用するための広域的なシステム作りを推奨し、校内はもちろん学校間で活用することを意図していた。特別支援教育課は、先導的な教育情報網の構築による生徒情報の有機的な活用という視点がなかった。
この研究課題が採択されることになった。採択された理由は3つある。第1は特別支援教育が上げ潮にあったことだ。相談から診断、指導にいたる過程で横断的な専門家がかわり、情報の共有と活用がもとめられるからである。第2の理由は、そうした過程における情報の共有と活用は、ネットワークの構築が求められることである。それは、学校内に留まらず学校外の専門家や保護者をつなぐ必要があったのである。第3の理由は、学校内がネットワーク化され、端末が設置されて校務の効率化や情報活用の機運が高まったことである。
情報化社会といっても我が国の学校はネットワークの利用に適していないことを知ったのはその後である。学校のネットワークというのはイントラネットのことであった。子どもの教育、医療、福祉などの関係機関の間での情報の共有という視点が全くないという現実に直面した。それを思い知ったのが、IEPをはじめとるする各種の校務情報を共有することを意図したツール開発過程であった。