初めに言葉があった その10 「新たに生まれる」

世の中には、原理原則を後生大事にする人々がいます。例外を認めない、自由な解釈は認めない、忠実に決められたことにそって対応するという考えの人です。「法務大臣というのは二つのことを覚えておけばいい」と放言して辞めさせられた独善的な大臣もいました。誠にお粗末な話題でした。この人も原理主義者なのかもしれません。

ヨハネによる福音書3章1〜15節(Gospel according to St. John)の中にニコデモ(Nicodemus)という人物が登場します。ニコデモは、当時のユダヤ教社会のサンヘドリン(Sanhedrin)という七十人議会の一人でありました。サンヘドリンは、ユダヤ人の最高院で民事、刑事、宗教の裁判を司っていました。このようにニコデモは社会的地位のある人物で、宗教上の形式にこだわる人とされるパリサイ人(Pharisee)でもありました。地位も名誉もあるニコデモが夜、人目を忍んでキリストに会いに来ます。そして小さな論争を挑むのです。

ニコデモ 「年老いてしまって、一体誰が生まれ変われるというのですか?」
キリスト 「その通り、母の胎内に二度と戻ることは出来ません。」
キリスト 「霊的に生まれねばなりません(Born again)」

キリストはニコデモと自由で闊達な議論へと導きます。当然、保守的なニコデモとは対立します。ニコデモは古い自分を捨てて、新しい自分として生きることができない人物でした。

キリストはさらにのニコデモに云います。「風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞いても、それがどこから来て、どこへ行くかを知らない。」と語り新しい息吹や精神の意義を説きます。風は目に見えなくとも、音によって風の存在を知るのだと。被造者としての命の息を吹き込まれる必要があるとニコデモに説いていくのです。

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