どうも気になる その12 フリーカメラマンと旅券

フリーカメラマンと自称する人が、外国人記者クラブでの記者会見をしたとか。席上、「旅券返納で仕事を失い、人生そのものが否定された」、「これがあしき前例になり、報道や取材の自由が奪われることを危惧している」と訴えたそうである。

報道陣は殺到していたのに日本のメディアでほとんど扱われなかった点が気になる。なんらかの報道規制などの圧力が官邸などから入ったいるのだろうか。圧力をもろともせず、自由に報道しているのは外国人記者クラブくらいなのかもしれない。

われわれ多くの者は政府から旅券を与えられていると思っている。だが外国人には、渡航や移動の自由や権利を保証するのが旅券だという考えがあるそうだ。その権利を国家が奪うなんてあり得ないと指摘している。英国の記者も政府に迷惑をかけてはいけないという日本人の自制心に首をかしげているようである。

どの戦場にも従軍記者というのが同行した。ベトナム戦争もそうだ。そしてロバート・キャパ(Robert Capa)や沢田教一が命を落とした。かれらは、危険を承知で取材にでかけたのである。外務省が、危険だから取材に入らないようにという勧告をしたとすれば、一体誰が報道するのかという疑問は残る。

今回のフリーカメラマンのシリア行きがどうしてわかったのか。旅券申請のとき、誰が「シリアへ行く」なんて書くだろうか。真面目にそう書いたのだとしたらずいぶんと間抜けな話である。本当にシリアへ行くつもりなら、渡航先を「フランス」とでも書いておけばいいことだ。報道の自由なんぞをわざわざ振り回す必要もない。どうもこのフリーカメラマンの出自が気になるのだが。

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