心に残る名曲  その百四十一 ハチャトリアン 「仮面舞踏会」

アラム・ハチャトゥリアン(Aram Il’ich Khachaturyan)は1903年にロシア帝国支配下にあったグルジア、現在のジョージア(Georgia)生まれの作曲家です。故郷の民族音楽を素材としたリズム感のある作品で有名です。アゼルバイジャン(Azerbaijan)やジョージアなどコーカサス(Caucasus)地方の民族音楽の影響がうかがわれます。代表的な作品に「仮面舞踏会」(Masquerade)やバレエ音楽「ガイーヌ」(Gayne)などがあります。

モスクワで音楽を学び、やがてレーニン賞など多数の賞を受け、自作の指揮者としても活躍します。映画音楽も手がけ、チェコスロバキア国際映画祭個人賞も受賞したこともあるようです。作品の中でも「ガイーヌ」から抜粋した演奏会用組曲がとりわけ演奏機会が多く、中でも「剣の舞」(Sarbere Dance)が、アンコールピースとしてしばしば演奏されます。民族的な伝統を大切にし、独自の価値観とエネルギーに満ちた楽風で、作品が異色の光彩を放っています。

「仮面舞踏会」は後に、ハチャトゥリアン自身の手によって、ワルツ、夜想曲(nocturne)、マズルカ(mazurka)、ロマンス(romance)、ギャロップ(gallop)の5曲を選んでオーケストラ向けの組曲となりました。中でも情熱的でダイナミックスな「ワルツ」は単独でも演奏されることも多い作品です。

アラム・ハチャトリアン