旅のエピソード その24 「マウントバーノン」

「マウントバーノン」。なんとものんびりする響きです。英語ではMount Vernonというスペルです。全米各地にマウントバーノンという街が沢山ありますが、その中でも最も知られているのが、ワシントンDCの南、車で1時間のバージニア州(Virginia)のアレクサンドリア(Alexandria)にあるマウントバーノンです。

マウントバーノンは、合衆国初代大統領ジョージ・ワシントン(George Washington)の農場(Plantation) や邸宅があります。邸宅は、新古典主義ジョージア調建築様式と呼ばれる木造の建物です。ジョージア調建築とは、建物がシンメトリー(左右対称)を基本としていることです。その東側にはポトマック川 (Potomac River) が控え、周りは広い農場が広がります。いまは国が定めた歴史的建造物として保存され、全米からの観光客が訪れるところです。

マウントバーノンは年中無休。祝日やクリスマスでも開放されています。わたしたちはワシントン家の邸宅、納屋、物置、奴隷用宿舎、台所、厩、温室など見てあることができます。案内人がついています。この農場内の庭園や森の小道を散策することができます。当時は100人あまりの黒人奴隷が働いていて、この農場を開拓したことがわかります。

ここにワシントン夫妻の墓所があります。奴隷の記念碑や墓地もすぐそばにあります。2度目にこの墓所を訪ねたときです。なにか、得体の知れない匂いがこのあたりに漂っていました。もしかして、ワシントンのお墓から、、、などという不遜なことを考えました。実のところ、この匂いは農場に撒いている鶏糞かなにかの腐った匂いなのです。

アメリカ合衆国とニックネームの由来 その47 Old Dominion

ヴァジニア州(Commonwealth of Virginia)の歴史です。16世紀にスペインのイエズス会(Society of Jesus)などヨーロッパ人遠征隊の幾つかが、チェサピーク湾(Chesapeake Bay)を探検していたといわれます。1583年、イングランド女王エリザベス1世が、スペイン領フロリダより北の地域に植民地を建設する権利をウォルター・ラレイ卿(Sir Walter Raleigh)に与えます。1584年、ラレイは北アメリカの大西洋岸に遠征隊を派遣します「ヴァジニア」という名前は、生涯独身であったエリザベス1世の「ヴァージン・クイーン」(Virgin Queen)から由来します。

1608年,イギリス人が最初に建設した街がジェームスタウン(Jamestown),ウィリアムスバーグ
(Williamsburg)、ヨークタウン(Yorktown)などです。1699年にウィリアムズバーグ(Williamsburg)が植民地の首都となり、少しさかのぼり1693年には、ウィリアム・アンド・メアリー大学(College of William & Mary)が設立されます。

ヴァージニア州はイギリスから最初に独立した13州のうちの一つです。1861年4月17日、ヴァジニア州はアメリカ合衆国からの脱退を票決します。4月24日にはアメリカ南部連合国(Confederate States of America)に加盟し、リッチモンド(Richmond)がその首都に選ばれます。

アパラチア山脈(Appalachian Mountains)の一部の山々にあるのがシェナンドー国立公園(Shenandoah National Park)。ワシントンDCから最も近いところにある国立公園で多くの観光客で賑わいます。DCから南に車で一時間のところにあるマウント・ヴァーノン(Mount Vernon)はジョージ・ワシントン(George Washington)のプランテーション(Plantation)や邸宅で知られています。建物や墓地は国定歴史建造物に登録されています。開拓時代から独立革命にかけての史跡が多いのが特徴といえます。