今回は映画作品を手掛けた監督を取り上げます。「アラビアのロレンス」(Lawrence of Arabia)は、1962年に公開されたイギリス・アメリカ合作映画です。監督はデヴィッド・リーン(David Lean)。この映画でアカデミー監督賞を受賞します。プロデューサーであるサム・スピーゲル(Samuel Spiegel)とタッグを組んだ戦争映画『戦場にかける橋』もそうです。この映画で日本軍の捕虜収容所の所長、斉藤大佐を演じたのが早川雪洲です。イギリスを代表する俳優アレック・ギネス(Alec Guinness)はニコルソン大佐を演じています。「ドクトル・ジバゴ」(Doctor Zhivago) というロシア革命の混乱に翻弄される人々を描いた映画の監督もデヴィッド・リーンです。主人公で医師のユーリー・ジバゴ(Yuri Zhivago)と恋人ララ(Lara)の運命を描いた大河小説が原作となっています。ノーベル文学賞を授与された作品を映画化したものです。
ヴィットリオ・デ・シーカ(Vittorio De Sica)というイタリア人の監督兼俳優をご存知でしょうか。「自転車泥棒」や「ひまわり」の監督として名作を作っています。「ひまわり」は戦争で出征した夫が戦争が終わっても帰らず、訃報も届かず行方不明扱いのままです。妻は生存を信じてやまず、彼を探しにロシアに向かうのですが。ようやく夫と再会したとき、ロシア人の女性と結婚していることを知ります。
デ・シーカが俳優としても出演した映画に「ロベレ将軍」(Generale Della Rovere)、「武器よさらば」(Farewell to Arms) があります。後者ではイタリア人軍医役として出演しました。映画「武器よさらば」はアーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway)の長編小説を基にしています。イタリア人監督といえば、フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)を忘れることができません。「道」(La Strada)「カビリアの夜」(Nights of Cabiria)「甘い生活」(La dolce vita)があります。どれも独特の映像感覚が発揮されているといわれます。フェデリコ・フェリーニの全作品のサウンドトラックを作ったのがニーノ・ロータ(Nino Rota)です。
イタリア人監督にセルジオ・レオーネ(Sergio Leone)がいます。強烈な個性の主人公を登場させ、これぞマカロニ・ウェスタンといわせた作品を世に発表します。「荒野の用心棒」(A Fistful of Dollars)、「夕陽のガンマン」(For a Few Dollars More)、「ウェスタン」(Once Upon a Time in the West)などです。「ウェスタン」ではチャールズ・ブロンソン(Charles Bronson)、クラウディア・カルディナーレ(Claudia Cardinale)など懐かしい俳優が登場しています。ピエトロ・ジェルミ(Pietro Germi) という監督もいました。「鉄道員」(The Railroad Man)という作品です。大戦後の初老の鉄道機関士とその幼い息子の喜怒哀楽を描いた名作です。この映画でジェルミは主人公の機関士を演じています。