「幸せとはなにか」を考える その7 「良き人生とは」についての調査

ハーヴァード大学で行われた調査の続きである。

「幸せな」人生といっても、個々人がどうしても直面しなければならない要因もある。それは自分が制御できないことである。親の社会的なステータス、家族の絆の度合い、祖先の寿命歴、子供の性格などである。これらはいかようにも抗うことができない。だが、こうした要因はもはや重要ではなくなった。50代になる前の高いコレステロール値も70代になると重要性が下がる。むしろ50代の体の健康や神経衰弱とかうつ状態が、その後の人生に影響する。

調査によると50代の大学卒の人で健康な66名は、教育、飲酒、喫煙、安定した結婚、運動、体重、問題解決力といったことにはあまり関心がなかった。しかし80代になると66名中50名は悲嘆や病気に襲われ、未成熟ながら死んだような状態になっていた。一人として幸せな状態の者はいなかった。

他方、自分で処することのできる要因に向き合ったいた44名の大学卒の中で、25名は幸せで健康であるということが判明した。44名中たった一人が悲嘆や病気の状態であった。恵まれない環境で育った若者もハーヴァード大学卒と同じような傾向を示した。自分で処することができることを実践することが幸せで健康さを維持するのに重要であることを物語っている。

人は、自分のホームドクターと定期的に相談することによって、あるいは自分ができることを心掛けることによって、幸せで豊かに齢を重ねることができることが判明している。齢を重ねるにつれ、こうした「メインテナンス」といった日常の心掛けは遺伝子よりも重要なのである。

Dr. Vaillantはハーヴァード大学での卒業式辞で次のように訴える。
「幸せな人生をおくるには、50歳前で幸せな結婚をし、知恵のある問題解決能力を身につけ、利他的な(altruistic)行動に喜びを感じ、禁煙を励行し、運動を欠かさず、体重を管理する。そして絶えず学び続け、退職後も創造的な生活や新しいことへ挑戦していくことが大事である。」

109355-107106 altruism1