旅のエピソード その7 「パスポートは腹まきに」

旅をしていて最も困るのは、物を忘れたり紛失することです。特にパスポート(旅券)やクレジットカードの紛失は深刻です。かつて院生がサンフランシスコ(San Francisco)のホテルのロビーにバックパックを置いたまま手洗いに行き、無くなっていたことがあります。幸い、領事館に駆け込んでパスポートを再発行してもらい帰国できたました。

ニューメキシコ州(New Mexico)のアルバカーキー(Albuquerque) でもパスポート「事件」がありました。アルバカーキー一帯にはプエブロ(Puebro)・インディアンの人々がたくさんいます。その歴史を伝える博物館(Indian Pueblo Cultural Center)に行ったときのことです。博物館を見学をして帰りの車中で、一人の院生が「パスポートがない」というのです。

仕方なく博物館に戻って探すことにしました。受付にいたプエブロ・インディアンの男性に事情を話しましたが、案の定遺失物として届けられていません。パスポートがないと出国も帰国もできないという事情を話ますと、男性が爽やかな笑いを浮かべて 「兄弟よ、心配することはない、ここに永住すればいいんだよ」というのです。これは慰めというか、一種のジョークです。

仕方なく連絡先を告げて別の場所を探すことにしました。結局パスポートは出てきません。ホテルに戻ると院生から 「スーツケースにあった」という報告です。院生はさすがにバツが悪かったのか、「お詫びのしるしに今夜の夕食は皆さんにおごります」と宣言しました。皆、歓声を上げて「また頼むよ、、」と冷やかします。

旅のエピソード その4 「スピード違反で捕まる」

院生との研修旅行には必ずレンタカーを使います。主たる目的は学校訪問ですが、それが終わると観光、レストランでの夕食などの楽しみが待っています。そして面白いエピソードです。

ニューメキシコ(New Mexico)のアルバカーキー(Albuquerque)へ行ったときです。ここは砂漠のど真ん中にあるような街です。ビルに上がると360度の地平線が見えます。メキシコの香りが建物、土産品、食べ物などに感じられます。郊外にはロッキー山脈(Rocky Mountains)の南端が見え、そこは指折りのスキー場となっています。アルバカーキーの北には、州都のサンタフェ(Santa Fe)、原爆を製造したロスアラモス(Los Alamos)の街があります。河川、渓谷、山岳などの地形は大陸生成の歴史を見るようです。

さて、アルバカーキー市内を日本製のレンタカーで走っていますと、オートバイに乗った警官に呼び止められました。運転していたのは大阪からきた院生です。警官は制限速度を15マイルもオーバーしているとか言うのです。そこは25マイルが制限速度でした。院生は実にたどたどしい英語で応対し始めました。乗っている者は皆、始めてアメリカに来たような気分でしたから、警官とのやり取りに興味津々です。

院生は国際免許を見せながら、「アイアムソーリー、アイアムソーリー、」です。「アメリカで始めて運転した、、、」などなどたどたどしく説明します。そして、「25マイルだから40キロくらいだ、この車は、日本製だからメーターはキロメーターだろうと思った」と説明するのです。警官は、半分あきれたような顔で「この国はマイルだ。気をつけていきなさい」といって無事解放してくれました。観光客にとっては粋な計らいです。

あとで院生に聞くと「警官とのやりとりは演技でなく、真剣にやったんだ」そうです。皆、迫真の演技に感心することしきりでした。