ウィスコンシンで会った人々 その40 スピードと馬力

ワールド・カップのフィーバーも終わり日常の静けさが戻ってきた。虚構新聞にあった「なでしこの勝利」はやはり誤報であった。「なでしこの選手はおしとやかで、清々しく、礼儀正しく、控えめな女性でなく、肉食系の怖い存在だった」というの虚構新聞の調子だった。だが、決勝まで勝ち進んだからには、相当に肉食系であるのもあながち虚構ではないといえそうだ。編集長も少しは溜飲を下げたかもしれない。

外国の選手、特にアメリカやドイツの選手のように「なでしこ」にはもっと背丈と横幅が欲しいという印象である。いくら組織的でチームワークを大事にするといっても個々の力に差があるとチームワークはずたずたに裂かれる。それが決勝戦の前半であった。組織の力は個々の強さ、スピードがあってはじめて活きる。敏捷さがあって縦のドリブルと突破力が欲しい。ネイマール、メッシはこうした技を持ち、相手を引きつけてラストパスを出す。彼らはボールの納め方やコントールが正確だ。ゴールに向かったボールを保持し、ゴールエリア内でドリブルを仕掛ける。相手はうかつに近寄るとPKをとられる。まるで獲物を狙うようである。

一度FCバルセロナの試合を観た。メッシには二人のディフェンダーがついていた。反則をとりフリーキックを成功させた。イニエスタとシャビといった選手も個人技、早さと敏捷さが凄かった。こうした選手とパス回しをするとスペースができて相手は置き去りにされる。

さて、素人ながら「なでしこ」の今後に期待することである。まずは世代交代によるFW、DFに背の高い大柄な選手が欲しい。彼らにスピードがあればもっとよい。ヘッディングが強くルーズボールを味方が拾う展開が欲しいのである。このような場面では相手はミスキックをしがちなのである。そしてオウンゴールを献上する。相手を押し込むにはスピードと縦の突破ができる選手が欲しい。

来年のリオでのオリンピックでは、世代交代によるスピードと馬力のある「新生なでしこ」をみたいものである。

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