認知心理学の面白さ その四十四  ノーム・チョムスキーと反覇権主義

アメリカの言語学者にして哲学者であるノーム・チョムスキー(Noam Chomsky)は心理学者でもあります。ペンシルヴァニア州(Pensilvania)でユダヤ人の両親のもとで生まれます。両親は、もともとはロシア帝国支配下のウクライナ (Ukraine) の出身だったのですが、迫害(ポグロム: pogrom)や戦乱を避けて1913年にアメリカへ移住します。

チョムスキーは子供時代、ユダヤドイツ語とも呼ばれるイディッシュ語 (Yidish)を使い、ユダヤ教の教えを受けたといわれます。やがて労働シオニズム(Labor Zionism) という建国思想に傾倒していきます。労働シオニズムとはユダヤ人がパレスチナ(Palestine)に入植し、農村部のキブツ (Kibbutz) などにおけるユダヤ人共同体の進歩主義的な社会を創り上げようとする思想です。

やがてペンシルベニア大学 (University of Pennsylvania)で言語学の博士号を取得します。その後、マサチューセッツ工科大学(MIT)の言語学および言語哲学の研究所教授 (Institute Professor) 兼名誉教授となり、その業績は言語学分野にとどまらず、政治・マスメディアなどに関する100冊以上の著作を発表します。

現代言語学の父の一人ともいわれたりしますが、政治的反体制者にして急進主義者ともいわれ、アメリカの外交政策に対する激しい批判を展開します。特にヴィエトナム戦争反対運動は有名です。