『自閉症の息子たちのためにサービスを選ぶ』 その4 IV.サービスを自ら選択する時代 –親が必要とすること–

今回は、『自閉症の息子たちのためにサービスを選ぶ』の4回目である。保護者が子どもに適切なサービスを探す努力が語られる。

I.誰のためにサービスがあるのか –家族のごく普通の地域での生活のために–
II.最初に受けたサービス –米国でのサービス–
III.帰国後のサービスの現状 –米国での経験を生かして–
IV.サービスを自ら選択する時代 –親が必要とすること–
V.親がより良い選択を行うために –今後の課題–
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Ⅳ.サービスを自ら選択する時代 –親が必要とすること–

これまでの経緯は1980年代半ばから1990年代の我が家のサービスを選ぶ現状から述べたものです。これを踏まえて、親がサービスを選択するために何が必要とされているか述べたいと思います。

1. 子どもの障害、発達段階、ニーズについての説明
障害のある子どもの親は,子どもの障害についての専門家ではありません。子どもの障害名を知って、慌てて専門書や関連のホームページで調べたりするのが現状です。最近では、親が参加することができる様々な講習会などもあります。

親は、子どもに関わる専門家による、障害の内容と発達段階についての丁寧な説明を必要としています。しかし、親の子どもの障害についての受容過程の段階や、また親がおかれている居住空間や社会的条件により、親が子どもの障害について説明を聞いたり知ったりする機会に差異が生じます。子どもの障害について、どれだけ親が的確に理解しているか否かで、家庭生活への影響は変わってきます。このように,親の障害に対する受容過程や社会的な状況に対応できるように、専門家やセルフヘルプグループが障害についての説明をする必要があると思います。

2.専門家による具体的な援助、教育方法の説明と指導
多くの親は、障害のある子どもの子育てについての知識や経験はありません。私のように障害のある子どもが二人いても、子どもにより障害の特徴が違うので戸惑うことが多くあります。具体的には、文字や数などの学び方が違います。

親は、特に障害告知後から幼児期までは、子どもとの関わり方や家庭での生活スキルの教え方などの指導を必要としています。そのような指導を受けることにより、子どもとの関わり方や子育てに自信を持てるようになります。このような説明と指導は、継続的に必要とされています。

3.親が子どもの将来像を持てるサポート
親が子どもとの生活についての将来像を持ちながら、自分らの生活を組み立てることは重要です。それを可能にするようなサポートが必要です。そのようなサポートとは、子どもの将来や可能性について見通しを持てるような情報を親に与え、親が頑張ってみようという気持ちをおこさせるサポートです。

4.サービスについての正しい情報
サービスを選ぶ最終段階では、親が入手する情報の量と質がポイントとなります。公的でない私的なサービスについては、口コミと親同士の情報交換によるものが圧倒的に多いのです。また、学校、作業所関係の情報などは,第三者による客観的なものがあればよいのですが、親による口コミ情報が中心で、情報として客観的でないことも多々あります。公的そして私的なサービスについての,効率的で客観的な情報提供システムが必要とされています。

5.専門家と相談する機会
サービスを選択する最終段階において、その選択についてのメリットとデメリットを専門家や障害のある子どもの保護者などと話したり相談する機会は、そのサービスの選択が最善であるか、子どもに対して公平であるかを判断するために大切です。

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