懐かしのキネマ その116 【地下室のメロディ】

フランス映画界の二大スター、アラン・ドロン(Alain Delon)とジャン・ギャバン(Jean Gabin)が共演し、カジノ襲撃計画の顛末をスリリングに描いた犯罪サスペンスの名作です。英語の題名は【 Baseball Melody】。フランス映画はこうしたサウスペンスものの名作があります。後に紹介する「太陽がいっぱい」もそうです。

5年の刑期を終えて出所した老獪なギャングのシャルル(Charles)は、生涯最後の仕事として、カンヌ(Cannes)のパームビーチ(Palm Beach)にあるカジノの地下金庫から10億フランを強奪する綿密な計画を立てます。かつての仲間マリオ(Mario)や刑務所で知り合った青年フランシス(Francis)と彼の義兄ルイ(Louis)も仲間に引き入れ、周到な準備の末に計画を実行に移します。

金持ちの青年を装い、カンヌのホテルに滞在するのがフランシスです。カジノの踊り子と親しくなることで、フランシスは一般客が立ち入れないカジノの舞台裏に出入りする口実を設けます。カジノのオーナーが売上金を運び出す日を狙って、一行は地下金庫を襲撃します。そして10億フランの札束をバッグに詰め、何食わぬ顔でホテルに戻ります。大金を奪い去り完全犯罪は成功したかにみえますが、予想外の事態からフランシスの正体が露見する危険性が高まります。

計画の急な変更を余儀なくされ、フランシスは仕方なく、隠し場所からバッグを持ち出します。そこへ更なる不運が重なり、盗んだ金が人々の目に触れる事態となります。騒ぎ出す人々の中でフランシスとシャルルは、もはや為す術もなく10億フランの札束が水面に浮かぶのを見つめていきます。

懐かしのキネマ その115 【レミゼラブル】

【レミゼラブル】(Les Misérables) は、ヴィクトル・ユーゴー (Victor Hugo)が1862年に執筆したロマン主義(Romanticism)フランス文学の大河小説です。この小説を長い時間をかけて読んだ記憶が甦ります。Misérablesとは「悲惨な人々」という意味です。は2012年12月に公開され、イギリス・アメリカ合作のミュージカル映画ともなりました。2時間半のそれを紹介することにします。

大勢の囚人たちが力を合わせて巨大な船を曳いています。船を曳き終わると、警部のジャベール(Javert)が1人の囚人の番号を叫びます。その囚人の番号は24601で、彼に仮釈放の紙を渡します。こうして囚人のジャン・バルジャン(Jean Valjean)は釈放されます。あてもなくバルジャンは、ある教会に入ると、ミリエール司教(Bishop Myriel) から暖かい食事と寝る場所を提供されます。彼は感謝もせず、無我夢中で食べたあと、食器を盗んでしまいます。翌朝、教会の人に捕まってしまったバルジャンに、司教は慈悲の心で彼を許します。その司教の態度に感動したバルジャンはその後、猛勉強の末、過去を清算し、多くの人が貧しさでごった返していたモントルイユ(Montfermeil)の市長になります。

その街に、かつてバルジャンが囚人時代に世話になったジャベールが訪れます。そしてバルジャンと面会した彼は、素晴らしい市長であると感じます。しかしある時、通行人の馬車を持ち上げたバルジャンの姿を見たジャベールは、囚人時代に丸太を持ち上げたバルジャンの姿を思い出し少し疑いを持ちます。

工場で働く1人の女性がいました。ファンティーヌは(Fantine)です。皆から隠し子がいることを噂されて、クビになってしまいます。そしてお金がなくなったため、自分の娘のために髪の毛、歯、さらには自分の体まで売って、身も心もずたずたになっていきます。バルジャンは貧民街を歩いていたときに偶然ファンティーヌを見つけ、ジャベールに逮捕されそうになっている彼女を助け、病院に連れていきます。ジャベールは、バルジャンを疑ったことを謝罪します。それを聞いたバルジャンは、良心の呵責にさいなまれ、自分が囚人24601であったとジャベールに告白します。

バルジャンは病院へ走り、ファンティーヌの最期を看取りながら、彼女の娘を保護することを約束します。その場に現れたジャベールは、市長がバルジャンだったことに驚きながらも彼を逮捕しようとします。そしてバルジャンは川に身を投げて逃亡します。安い酒屋で働かされているファンティーヌの娘コゼット(Cosette)は、養父母からの過度の虐待に耐えながらも必死に毎日を生きていました。水汲みへ行ったとき、偶然バルジャンがコゼットを見つけます。彼は酒屋の主人にお金を払うと、コゼットを連れていきます。そして夜、ジャベールに見つかったバルジャンは、すぐさま修道院へと逃げ込み、ジャベールをまきます。バルジャンを捕まえることができなかったジャベールは、必ず捕まえると決意を固めます。

時が経ち1832年、学生たちは自由を求めてフランス第一帝制打倒の組織を作ります。そんな学生の一人、マリウス(Marius)は、街で美しい女性を目にします。その女性は、ある男の人と一緒にいました。そこにジャベールが現れ、バルジャンはすぐさま姿を消します。マリウスはコゼットを探し当て、夜な夜な会いにいきます。その姿を悲しく見ていたのが、密かにマリウスに恋をしていた酒屋の娘、エポニーヌ(Eponine)でした。彼女はマリウスを愛することはできないと悟ります。革命の足音が近づくなか、弁護士となったマリウスは帝政との戦いに身を投じていきます。

そのマリウスのグループに、一人身分を隠して入る人がいました。その人はジャベールでした。侵入したジャベールは、逆に内部の子どもに正体を見破られ、拘束されてしまいます。マリウスはコゼットへの手紙を書いて送ります。その手紙を読んだバルジャンは、二人の真実の愛を知り、マリウスに会いにいきます。そしてジャベールと会い彼を許します。

帝政側の総攻撃が始まり、多くの若き革命戦士が死亡していきます。マリウスも銃弾に倒れ、バルジャンは下水道を伝いながら彼を担ぎ、逃亡します。ジャベールはバルジャンの崇高な精神に負けて、自らダムに身を投げます。バルジャンはマリウスを匿い、彼が回復するとコゼットに会わせます。バルジャンは二人の幸せを願うとともに、マリウスに、自分の過去を伝えます。コゼットに伝えることができない彼はその場を去ります。

そしてマリウスとコゼットは結婚式を挙げ、その場にいた酒屋の主人がバルジャンの居場所を知っているというので、すぐさまバルジャンのところへコゼットとともに行きます。そしてバルジャンは修道院で彼らと再会を果たします。再びコゼットと会えたバルジャンは涙し、コゼットに自分の過去を書いた手紙を渡します。そして彼は2人の結婚を見届けて静かに息を引き取り、コゼットとマリウスはバルジャンの言葉を固く守る誓いを立てます。

懐かしのキネマ その114 【真夜中のカーボーイ】

1969年公開のアメリカ映画「Midnight Cowboy」を紹介します。大都会の孤独に流される2人の男性の生き様を描いています。

男性的魅力で富と名声を手に入れようと、テキサス(Texas)からニューヨーク(New York)に出てきた皿洗いだった青年・ジョー・バック」(Joe Buck)。カウボーイスタイルに身を固めた彼は、女を引っ掛けて金を要求します。逆に金をふんだくられます。女こそ名うての娼婦です。

ジョーはスラム街に住むエンリコ・ラッツォ(Enrico Rizzo)という片足をひきずる小男に出会い、売春の斡旋人を世話してくれるという約束で10ドルを手渡しますが、斡旋人は男色を専門としていました。騙されたと知ったジョーは、エンリコを捕まえて問い詰めるのですが、既にエンリコの手には金がありません。その代わり、罪滅ぼしにエンリコは、カモ探しに協力する羽目になります。

二人はエンリコのねぐらである廃墟のビルで共同生活を始めます。ジョーとエンリコの間に奇妙な友情が芽生えます。しかし、エンリコの身は病魔に冒されていました。冬のニューヨークで暖房もない貧苦の生活。エンリコは温暖なフロリダ移住の夢を語ります。ひょんな切っ掛けからジョーの稼業がうまくいきそうになるも、エンリコの病状は次第に悪化していきます。ジョーはゲイの紳士から強奪した金で、エンリコとマイアミ行きのグレイハウンドバス(Greyhound bus)に乗ります。既に身体の自由の利かなくなっていたエンリコは、車中で小便を漏らしていきます。ジョーはバスの停車中に二人の新しい衣服を購入して、自分のカウボーイ装束とエンリコの汚れた衣服をゴミ箱にぶち込み、フロリダの明るい服装に着替えます。しかしエンリコはバスのマイアミ到着を目前に息絶えるのです。

懐かしのキネマ その113 【ハタリ!】

『ハタリ!』(Hatari)とはスワヒリ語(Swahili)で「危ない!」という意味だそうです。1962年に公開された野生動物生け捕りチームの物語です。アフリカのタンザニア(Tanzania)舞台に、雄大な山々を背景に猛獣を生け捕り、動物園やサーカスに売るプロの狩集団と野生動物たちとの駆け引き描きます。

1950年代にアフリカのタンガニーカ(Tanganyika)地方で、モメラ(Momella Game Company)という芸能会社が、高速のトラックや投げ縄、檻を使って動物を捕獲し動物園や動物蒐集家を相手に供給しています。モメラ会社の社長はジーン・マーサー(Sean Mercer)で、他一行は、闘牛士のメキシコ人、ライフル銃の名手ポケット(Pockets)、引退したドイツ人のカーレースドライバーのクルト(Kurt)、元タクシー運転手そして現地人です。

狩の季節がやってきたので、早速メスのカバを捕獲しようとします。クルトとインド人の二人は、カバを追いかける車に乗り、ジーンとその助手はピックアップトラックで投げ縄を用意します。カバが車に追突しインド人の足に大怪我をさせます。一行は治療のためにアルーシャ(Arusha)という街まで5時間の旅をします。

病院に着くと、そこにいたフランス人のチャールズ(Charles “Chips” Maurey)ともめ事になります。彼は、モメラ会社に雇ってもらいたいと言い張るのです。そして自分がインド人に輸血で救える血液型の持ち主であると主張します。ジーンは結局、チャールズを雇うことにします。

宿営地に戻るとそこにイタリア人女性カメラマンのアンナ(Anna-Maria Dallas)がいます。翌日、アンナはバーゼル動物園(Basel zoo)からの手紙をジーンに渡します。バーゼル動物園(Zoo Basel)は、モメラ会社の大の得意先であると主張します。ジーンは不承不承でアンナの滞在を認めるのです。

アンナは二頭の子象を見付けてきます。一人の少年を雇って子象を飼い慣らしたいといいます。子象が彼女を追いかけるニュースがワアルーシャ(Wa-Arushas)の街に広がり、人々はある儀式を催し、そこでアンナを子象の母という意味の「ママテンポ」(Mama Tembo)という名で呼ぶようになります。ようやくアンナとジーンは和解していきます。

ポケットは、ロケットと網を使って猿の群れを捕らえる機器をつくります。その試みは大成功します。残るはカバを捕らえることです。怒り狂うカバを追跡し、数回の失敗のあと、ようやくカバを捕獲するのに成功します。

アンナは、ジーンが自分を一人の女だとしか思っていないと気になります。そしてポケットに手紙を託し,自分はアルーシャを去ることを伝えます。しかし、ジーンは彼女を愛していたので、二頭の子象を連れて、ジーンはアンナのいるホテルにやってきます。その昼下がり、二人は結婚を決めます。ジーンは初夜を迎える部屋を用意すると、そこに二頭の子象が飛び込んできて、部屋をメチャメチャにするのです。二人の驚きはいうまでもありません。

懐かしのキネマ その112 【デルス・ウザーラ】

1975年に公開されたソ連の映画です。監督は黒澤明がつとめた作品です。原題は【Dersu Uzala】といいます。年老いた猟師が酷寒のシベリア(Siberia)のなかで生きる姿を描く名作です。見逃したくない映画です。

1902年、ロシア人探検家で作家のアルセーニエフ(Arsenyev)は、コサック兵(Cossack)6名を率いて当時ロシアにとって空白地帯だったウスリー地方 (Ussuri)の地図製作の命を政府から受け、探検隊を率いることとなります。調査の途中で、森林の中で自然と共に暮らしている天涯孤独のゴリド人(Goldi) 猟師、デルス・ウザーラ(Dersu Uzala)と出会います。翌日から、デルスは調査隊のガイドとして先頭に立ちます。

探検の中、デルスの自然に対する驚くべき体験と知識と六感、独特の哲学に触れたアレクセーエフや隊員達は、次第に彼に心が惹かれ、深い信頼を寄せていきます。デルスは、捨てられた帽子を修理し旅人のために白樺で作った容器に生き延び方のメモを入れておいたりするのです。ある時、二人の隊員が凍った湖で迷い、そこに雪嵐がやってきたとき、彼は二人の命を救います。迅速に藁をくんでシェルターの作り方を教え避難させるのです。疲れ切ったアルセーニエフはシェルターに運び込まれ隊員とともに凍死を免れます。

調査隊はツンドラ(Tundra)の大地で苦しい旅を続けます。そこで出会ったナニ(Nani)という家族の家に招かれ食事や暖を与えられます。次ぎにどこへ行きくのかをデルスはアルセーニエフに尋ねます。「街へ戻るが、一緒に行かないか」とデルスに問いかけます。彼は自分の住み家は森であるとして断ります。翌日、隊員達を鉄道まで送るとデルスは森に消えて行きます。

5年後、新たな調査で再びウスリー地方訪れたアルセーニエフは、地図を作成しながら昔の友に出逢いたいと考えています。ある夜、隊員が老猟師に出逢ったことを伝えます。猟師は調査隊のことを訊いたというのです。アルセーニエフが森の中を探していると、森に入ろうとする猟師を見つけます。喜び勇んで叫ぶと、デルスも応えます。二人は駆け寄りひしと抱き合うのです。二人はキャンプ地で焚き火を囲みながら、別れて以来のことを語り合います。

再びデルスはガイドとして調査隊に加わります。大きな川を筏で横切ろうとしたとき、一行は離ればなれとなります。馬を引き連れた隊員も川を渡ろうとします。アルセーニエフとデルスは筏に捉まりますが、他の隊員は急流に流されていきます。 デルスはアルセーニエフを押して、岸へ向かって泳げと叫びます。川はいっそう急流となります。デルスと筏が急流に呑み込まれそうになったとき、彼は木の枝に飛び移ります。そして一行に木を切り倒し、アルセーニエフを救えと指示するのです。暫くして一行はようやく全員が助かり一息つきます。デルスの写真を撮り、皆が安堵するのです。アルセーニエフは、秋が近づく頃、日記の中でこうした出来事を書き留めデルスとの記憶を残すのです。

一行がさらに森を調査しているとき、デルスは一頭のシベリア虎(Siberian tiger)が忍び寄ってくるのを察知します。隊員は銃で撃とうとするのでデルスは虎を威嚇しようとしますが、さらに近寄ってきます。仕方なく、デルスは虎を撃ち殺すのです。しかし、彼は自分が射殺したことで心を取り乱します。それは、カンガ(Kanga)と呼ばれ人々が敬う森の中の霊が悲しみ、さらに別の虎を差し向けるだろうというのです。デルスは苛立ち、アルセーニエフや隊員たちに、自分に近寄るな、と叫ぶのです。彼は歳とともに視力や感覚が衰え、もはや狩は無理になり森で一人暮らしは出来なくなります。

アルセーニエフはハバロフスク(Khabarovsk)という街にデルスを同行させようと決心します。しかし、街では規則によって木を倒したり、公園で焚き火をしたりすることができません。街の境界付近でも狩はできないのです。アルセーニエフとその家族から慕われるデルスですが、もはやハバロフスクは自分の住む所ではないとアルセーニエフに告げ、森へ戻る決心をします。アルセーニエフは真新しいライフル銃を彼に持たせます。

その後、アルセーニエフは警察から電報を受け取り、一人のゴリド人の死体が見つかったことを知らされます。身分証明になるものはなく、ただアルセーニエフからの手紙だけが見つかったという知らせです。急いでその場にアルセーニエフが着くとデルスが横たわっています。警官がいうのには、誰かが銃の欲しさにデルスを殺したに違いないといいます。墓堀人がデルスを埋葬したとき、彼が使っていた杖を見つけます。そしてアルセーニエフは墓の脇に杖を立てるのです。

懐かしのキネマ その111 【灰とダイヤモンド】

原題は【Ashes and Diamonds】といいます。ポーランドの名匠、アンジェ・ワイダ(Andrzej Wajda)がメガホンをとっています。ドイツ軍が降伏し、ロンドン亡命政府系のゲリラとソ連の後押しを受けるポーランド労働者党との内戦が始まろうとしていた1945年5月の4日間、とある地方都市に集った人々を描写することによって、第2次世界大戦末期のポーランドの姿を映し出す作品です。

時代は第二次世界大戦の最中です。1945年5月7日、ドイツ軍が遂に降伏。物語の始まりは、5月8日のポーランドでのことでした。国内軍系列のテロリストとして活動しているマチェク(Maciek)、アンジェイ(Andrzej)、ドレノウスキ(Drewnowski)は、ソビエトから帰国した共産党地区委員長シュツーカ(Konrad Szczuka)の暗殺を計画していました。

マチェクとアンジェイは、街はずれの礼拝堂で車が通るのを待ち伏せします。そこに少女が現れて礼拝堂の扉を開けてくれと頼まれます。しかし、どうしたことか扉は開きません。そこに車がやってきます。二人は車の前に飛び出し、銃撃します。逃げた男を礼拝堂の前まで追い詰め一気に射殺します。

開かなかった礼拝堂の扉がゆっくりと開いていきます。闇に浮かび上がるマリア像が青年たちを見つめています。その後、ホテルでの戦勝祝賀会を訪れた二人は、なんと殺したはずのシュツーカを目撃するのです。銃撃は人違いだったことをマチェクとアンジェイは知ります。

マチェクは、自分には待っている者もこの世に未練もないと思い込みます。そしてマチェクは再び暗殺へと乗り出します。暗殺の機会を待つマチェクは、ホテルのバーで給仕として働くクリスティーナ(Kristina)と恋に落ちます。戦争で家族を失い、刹那的な生活を送っている彼女です。クリスティーナとしばしの逢瀬を楽しんだマチェクは、暗殺業から足を洗い、彼女と新しい人生を歩んでいくことを決意します。この女性との出会いがマチェクの人生を揺さぶり、一時の幸せを味わわせます。

新年度迎え、ホテルではショパン(Frederic Chopin)の大ポロネーズ(grande polonaise) が演奏され人々は踊ります。シュツーカには長年会っていない17歳になる一人息子マレクがいます。彼はマチェクによく似た国内軍系列のゲリラ兵グループの一員となっていますが、保安隊に捕まります。その息子マレクに会いに行くのをマチェクが後をつけ射殺するのです。マチェクは逃げようとしますが、労働者党のポーランド兵に撃たれます。そしてゴミ捨て場で倒れるのです。

懐かしのキネマ その110 【地下水道】

原題は【Kanal】といいます。地下の下水道のことです。ポーランド(Poland)の名匠、アンジェ・ワイダ(Andrzej Wajda)監督の作品です。次回紹介する【灰とダイヤモンド】とともに、レジスタンス運動を描いで世界に紹介され、名声を博した作品です。ワイダは、16歳のころから反ナチズム抵抗運動に参加し、父親は「カチンの森虐殺」(Katyn Forest Massacre)に巻き込まれ亡くなります。

第二次世界大戦末期、1944年のワルシャワ(Warsaw)が舞台です。ポーランド国民軍とワルシャワ市民の抵抗運動=ワルシャワ蜂起(Warsaw Uprising)は、ドイツ軍による容赦ない攻撃で追い詰められ、悲惨な最終段階に追い詰められています。その中の一つ、ザドラ中尉(Lieutenant Zadra)の率いる43名の中隊は事態打開のため、地下水道を通り、市の中心部に出て活動を続けることにします。

夜になって隊員は地下水道に隠れようとしますが、やがて離ればなれになり、ある者は発狂し、自殺したり、またある者は暗闇と悪臭と恐怖心に耐え切れず、マンホールから外に出てドイツ軍に発見され射殺されていきます。

負傷した将校のコラブ(Officer Cadet Korab)と、彼を助けて道案内してきたデイジー(Daisy)の2人も、やっと出口を見つけたと思ったのもつかの間、そこは河へ注ぐ水路でした。一方、先を行くザドラと二人の隊員は遂に目的の出口を見つけますが、出口には頑丈な鉄柵が張られ、爆薬が仕掛けられています。

コラブは、一緒の仲間であるクラ(Kula)は破壊された街外れの下水道から抜け出します。他の隊員達がどうなったのか、とコラブはクラに問いただすと、ずっと前に隊員達を置き去りにした、と答えます。怒り狂ったコラブはクラを撃ち殺し、隊員達を探すために下水道に戻っていきます。

懐かしのキネマ その109 【ホロコーストの罪人】

原題は『Betrayed』です。珍しいノルウェー(Norway)で製作された作品です。ノルウェー秘密国家警察がホロコースト(Holocaust)に加担した実話を題材にしたドラマです。ナチス・ドイツ(Nazis)に協力するノルウェー秘密国家警察によって運命を狂わされていくユダヤ人一家の姿を描いた作品です。ホロコーストはナチス・ドイツで引き起こされただけではないことが分かっています。

第2次世界大戦下のノルウェー。ユダヤ人のブラウデ家(Braude)は、ボクサー(boxer)で息子のチャールズ(Charles)が結婚し幸せをかみしめていました。しかし、大戦が勃発しナチス・ドイツが中立を宣言していたノルウェーに侵攻してきます。

チャールズを始めユダヤ人男性はベルグ(Berg)強制収容所へ連行され過酷な労働を強いられます。残された母とチャールズの妻は、チャールズの帰りを待ちながらも、身の危険を感じてスウェーデンへ逃亡しよう動き出します。1942年11月、ノルウェー秘密国家警察はアーリア系(Aryan)ノルウェー人やドイツ人などと結婚している人を除くすべてのユダヤ人をオスロ(Oslo)の埠頭へと移送します。全部で776名です。停泊していたのは、アウシュヴィッツ(Auschwitz)強制収容所のあるポーランド行きの「ドナウ号」(Donau)という秘密警察の貨物船です。

一行はアウシュビッツの強制収容所へ連行されます。到着したその日にガス室送りになった人たちも少なくなく、この時送られた776名中、生存できたのはわずか38名といわれます。

懐かしのキネマ その108 【ナバロンの要塞】

原題は「The Guns of Navarone」という戦争活劇映画です。英国海軍と独軍との要塞の攻防をめぐる実話に基づく映画です。

第二次大戦下の1943年、エーゲ海(Aegean Sea)は独軍の制圧下にあり、ギリシャ(Greece)ケーロス島(Kheros)の英軍2,000の生命は全滅の危機にありました。英軍救出の試みは度々なされますが、睨みをきかすナバロン島(Navarone)の断崖の洞窟に据えられた独軍の巨大な2門の大砲のため失敗します。

そこで英国海軍(Royal Navy)の幕僚フランクリン少佐(Major Roy Franklin)は1つの提言をします。ナバロン島南部の400フィートの絶壁をよじ登り基地に潜入するという計画です。直ちに必要人員が集められます。登山家のキース・マロリイ大尉(Captain Keith Mallory)、元ギリシャ軍大佐スタヴロウ(Colonel Andrea Stavrou )、科学者のミラー伍長(Corporal Miller)、ナイフ遣い手の名人で無線兵のブラウン(Butcher” Brown)、ナバロン島生まれのパパディモス1等兵(Spyros Pappadimos)の5人です。一行を率いたフランクリン少佐は漁船に乗り嵐の夜、ナバロン島に向います。

漁船は途中で独軍の哨戒艇に見つかりますが、これを沈没させます。一行は絶壁から島の上陸に成功します。これを知った独軍は追求を始めますが、一行は要塞めざして潜行し、山頂の古城に辿り着きます。そこで一行は男装の2人の女を捕まえます。1人はマリア(Maria)といいパパディモスの姉、もう1人の若い女はアンナ(Anna)です。2人ともレジスタンス運動に従事していましたが、アンナは1度独軍に捕まり拷問され口がきけなくなっていました。彼女たちを加え一行はマンドラコス(Mandrakos)という街に入ります。しかし、全員が捕まってしまいます。

スキを見てゲシュタポの隊長を捕らえ、これを囮りに独軍の制服を着込み脱出します。しかし重傷のフランクリン少佐はそこへ残されます。いよいよ要塞攻撃の日、一行は要塞の間近かに迫ります。要塞破壊と同時にケーロス島の英軍救出に向かう英国艦隊が要塞の下を通ることになっていました。猶予は許されない中、ミラーはいざというとき爆弾のヒューズが何者かの手で破壊されていることを発見します。一行にスパイがいることをわかり、それは意外にもアンナでした。それを知ったマリアはアンナを銃殺するのです。

一方、独軍は急ぎ海岸線に防備を固めます。要塞攻撃の手はずが整い、スタグロウとパパディモスが要塞近くの町で陽動作戦として騒動を起こすのです。そのスキにマロリイとミラーが大砲に爆薬をしかけます。そしてアンナとブラウンがモーターボートを奪って、断崖の下で逃げてくる4人を助け計画は首尾良く進みます。英国の駆逐艦が近づいたとき2門の大砲は轟然と爆発します。しかし、ブラウンとパパディモスは帰えらぬ人となります。そしてスタヴロウとアンナは再び抵抗運動を続けるためケーロス島へ戻るのです。

懐かしのキネマ その107 【テレマークの要塞】 

原題は【The Heroes of Telemark】ですが、「テレマークの英雄達」の戦争活劇映画です。1934年にノルウェー(Norway)の企業ノルスク・ハイドロ(Norsk Hydroelectric)がヴェモルク(Vemork)に、肥料生産の副産物として世界で初めて重水を商業的に生産できる工場を建設します。第二次世界大戦勃発とともにナチスはノルウェーに侵攻し、この工場を占拠します。そして重水を生産しようとします。連合国はナチス・ドイツの核兵器開発を阻止するために、重水工場を破壊して重水の供給を絶つことを決定します。テレマーク県(Telemark)のリューカン(Rjukan)の滝にある60 MWのヴェモルク水力発電所が攻撃目標となります。

連合軍は、ナチスがこの工場を利用して兵器開発計画のための重水を生産することを心配します。1940年から1944年にかけて、ノルウェーの抵抗活動による破壊活動と、連合軍の空襲が計画されます。これらの作戦は、「グルース(Grouse)作戦とか「ガンナーサイド(Gunnerside)作戦」と呼ばれました。

グルース(Grouse)作戦では、イギリス特殊作戦執行部(Special Operations Executive: SOE)が、工場の上にあるハダンゲルヴィッダ(Hardangervidda)の地域に先発隊として4人のノルウェー人を送り込むことに成功します。後に1942年に、イギリスの空挺部隊によりフレッシュマン(Freshman)作戦が実行されますが、失敗に終わります。彼らはグルース作戦で送り込まれたノルウェー人たちと合流し、ヴェモルクへと向かう予定となっていました。しかしこれは、軍用グライダーがそれを牽引していたハリファックス(Halifax)爆撃機とともに目的地手前で墜落したために失敗します。他の爆撃機は基地に帰還しますが、それ以外のすべての搭乗者は墜落の際に死亡するか捕えられ、ゲシュタポにより処刑されてしまいます。

1943年に、イギリス特殊作戦執行部が訓練したノルウェー人の特殊部隊が2回目の作戦「ガンナーサイド作戦」(Gunnerside)で重水工場を破壊することに成功します。ガンナーサイド作戦は後に、イギリス特殊作戦執行部から第二次世界大戦でもっとも成功した破壊工作であると評価されます。こうした破壊工作によって、ナチスは重水生産工場の操業中止を決め、残りの重水をドイツに輸送することにします。ノルウェーの抵抗活動は、水深430mというティン湖(Lake Tinn)において鉄道連絡船「ハイドロ(Hydro」を沈め、重水の輸送阻止に成功します。

懐かしのキネマ その106 【麗しのサブリナ】

原題は【Sabrina】といいます。1954年に公開されたロマンティック・コメディです。主演のオードリー・ヘップバーン(Audrey Hepburn)は『ローマの休日』で一躍スターとなりますが、このときはまだ新進女優です。やがて人気を不動のものとしたのがこの『麗しのサブリナ』といわれています。ハンフリー・ボガート(Humphrey Bogart)やウイリアム・ホールデン(William Holden)と堂々と共演しています。

サブリナは、大富豪ララビー家(the Larrabee Family)のお抱え運転手のひとり娘で、ララビー家のすぐ隣りに住んでいます。ララビー家には、貿易会社を営む長男ライナス(Linus)、3度の結婚暦のあるプレイボーイの次男デイビッド(David)という兄弟がいます。サブリナは長年憧れていたデビッドの心を射止めたことに満足げな表情を浮かべていました。しかし、これはサブリナの片思いで、デイビッドはサブリナのことなど眼中にありません。

デビッドのは別の女性との恋愛が進んでいます。しかし、兄ライナスにとって、その恋は許容できるものではありませんでした。弟の結婚によって、ライナスの企業はビジネスパートナーとの合併が実現することとなっていたからです。傷ついたサブリナは排ガス自殺をしようとしますが、ライナスが助けてくれます。サブリナは心を入れ替え、自分を磨くためコードンブルー(Le Cordon Bleu)というパリで有名な料理学校へ留学して料理を学びます。

2年後にすっかり垢ぬけた美女となったサブリナは帰国します。彼女の魅力に今さら気づいたデイビッドは、サブリナをパーティに誘います。デイビッドの父は、プレイボーイの次男にかんかんで、 父とデイビッドは大げんかになります。そんな中、デビッドはパーティーで臀部を負傷、これを好機と見たライナスはサブリナに接近し、自分に気を引かせようと動き出しまします。

パーティーの裏で二人きりになると、ライナスはデビッドの代わりと言ってサブリナにキスをしました。サブリナはライナスの行為に驚きつつも、ライナスの紳士的で優しい態度に徐々に惹かれていきます。ライナスの思惑を知らず、弟のデビッドは回復するまでの間サブリナの相手をライナスに頼み、サブリナもライナスとの時間を楽しむようになります

懐かしのキネマ その105 【女王陛下の007】

英国秘密情報部(MI6)から宿敵ブロフェルド(Blofeld)を捕らえることを目的としたベッドラム作戦(Bedram Operation)を命じられたボンドは、ポルトガルで偶然テレサ(Contessa Teresa)という若い女性と知り合います。美しく、そして車の運転やギャンブルなどで大胆な行動力を見せる彼女にボンドは興味を抱きます。このあたりまでくると、「またボンドはやるなー、」という気分になります。彼女は犯罪組織(crime syndicate)ユニオン・コルス(Unione Corse)のボスであるドラコ(Draco)の一人娘ですが、不安定な生活を送る彼女の身を案じたドラコは、ボンドにテレサと結婚してくれるよう頼み込むのです。ボンドはこの機会を利用し、ドラコからブロフェルドの情報を得ようとしますが、いつしかテレサに本心から惹かれていくのです。

ロンドンに戻ったボンドは、ベッドラム作戦から外されてしまいすが、ドラコの情報からブロフェルドの行方を探り出し、ついに彼がアルプス(The Alps)に構えたアレルギーの研究所で謎の計画を企てていることを突き止めます。変装して研究所に潜入したボンドは、ブロフェルドの計画が12人の被験者となっている女性たちに催眠術をかけ、殺人ウイルスを世界中にばら撒かせることだと知ります。

正体がばれて監禁されたものの、ボンドは隙をついて研究所から脱出します。しかし、ブロフェルドとその部下達による執拗な追跡によって、あわやという所でボンドはテレサに助けられます。アルプスをスキーで逃走する途中、ブロフェルドが人為的に起こした雪崩に巻き込まれたあげく、テレサは研究所に拉致されます。ボンドはようやく脱出してロンドンに戻ります。

MI6より、ブロフェルドの犯罪組織を壊滅するように指示されたボンドはアルプスに戻ります。本部を破壊しテレサを救出します。ブロフェルドはボブススレイでボンドを追跡してきますが、木に激突します。ボンドとテレサはポルトガル(Portugal) で結ばれて新婚旅行に車ででかけるのです。そこに一台の車が近づき自爆します。テレサは亡くなり、ボンドは助かります。その車には首にコルセットをつけてたブロフェルドが乗っていました。

懐かしのキネマ その104 【ゴールドフィンガー】

007の映画は実に痛快です。「ダブル・オー・セブン」と発音します。いくつか観ていますが、どれも奇抜でしかも妖艶です。スパイ小説家、イアン・フレミング(Ian Fleming)が書いた007の第7作目の映画【Goldfinger】の紹介です。

中南米の麻薬工場を破壊した英国秘密情報部(MI6)のジェームズ・ボンド(James Bond)は、マイアミ(Miami)のビーチで休暇を楽しんでいます。そこに上司のMとCIAのエージェントであるライター(Felix Leiter)が、ホテルに泊まる富豪のオーリック・ゴールドフィンガー (Auric Goldfinger)を見張るようにボンドに指示します。ボンドはカードゲームをしているゴールドフィンガーとその相棒のジル(Jill Masterson)が望遠鏡とイアホンを使ってイカサマをしているのを見つけます。ゴールドフィンガーは大負けをします。その夜、ジルと一緒の部屋にゴールドフィンガーの手下で韓国人のオドジョブ(Oddjob)がボンドを襲います。ジルは裏切り者として金箔の絵の具を全身に塗られて窒息死させられます。

ロンドンに戻るとイングランド銀行(Bank of England)の頭取とMは、埋蔵されている黄金が誰かによって国際的に密輸されるかをボンドに伝えます。ボンドには、ゴールドフィンガーがその金をいかにして盗み出すかを調べることです。ボンドにはスポーツカー(Aston Martin DB5)と電波探知機が与えられます。ボンドはケント(Kent)にあるゴルフクラブで再開します。ゴルフをやりながら、ボンドはMI6から手渡されたナチスの金塊とゴールドフィンガーの5000ポンドを賭けようとします。ゴールドフィンガーは騙そうとしますが、ボンドは巧妙にボールをすり替えて逆にゴールドフィンガーをルール違反で負けさせます。

ボンドはゴールドフィンガーを追ってスイスに向かいます。そこでジルの妹、ティリー(Tilly)に会います。彼女はゴールドフィンガーの命を狙っています。ボンドはゴールドフィンガーの精油所に忍び込み、中国人核物理学者のリング(Ling)との会話を盗み聞きします。リングは金をイギリスからこっそり持ち出すために、ロールスロイス (Rolls-Royce)の車体に金を埋め込むのを手助けします。ボンドはさらに、「グランドスラム作戦」(Operation Grand Slam)というのを盗み聞きします。

「グランド・スラム計画」とは、アメリカ連邦政府が大量の金塊を保管している合衆国金塊貯蔵庫(U.S. Bullion Depository)のあるケンタッキー(Kentucky)のフォート・ノックス (Fort Knox)陸軍基地上空で、空中サーカスがゴールドフィンガーより手に入れたガスを散布します。金塊を盗むのではなく、核物質をまき散らす一種の「汚い爆弾」を中で爆発させることです。金塊は放射性物質で汚染されて58年間は搬出不可能となり、西側諸国の金価格は暴騰します。ゴールドフィンガーが保有している金の価格も急上昇し、彼に協力する中国も世界的経済混乱から何らかの利益を得る、という奇々怪々のストーリーです。

【ゴールドフィンガー】の野暮な解説はこの位にして、後は観てのお楽しみといきましょう。

懐かしのキネマ その103 【モロッコ、彼女たちの朝】

ステータス

原題【Adam】といいます。台詞はフランス語です。モロッコ(Morocco) はカサブランカ(Casablanca)の旧市街メディナ(Medina)に、幼い娘ワルダ(Walda) を育てながらアブラ(Abla)という女性がいます。アブラは夫を事故で亡くし、小さなパン屋を営みながら、娘と二人で働いています。

あるとき、店のドアを叩く音がしてアブラが出ると、お腹の大きい若い妊婦が玄関先に立っています。彼女はサミア(Samia)と名乗ります。未婚の妊婦と関わり合えば周囲から後ろ指差されるイスラム教のモロッコです。アブラはサミアを追い返します。しかしどこか見捨て切れない気持がありました。やがて、怪しみながらもアブラはサミアを迎えいります。

アブラにとってサミアの存在は非常に危険でもありました。モロッコでは、未婚の妊婦は最大の禁忌だからです。それでも、サミアは孤独だったアブラとワルダ親子の生活に明るい変化をもたらします。パン作りが得意なサミアは、美味しいパンを作り街の人々から大評判になります。そしてパン商売は波に乗ります。互いに孤独を抱えていた二人は徐々に打ち解け、お互いの心を開きあっていくのです。

サミアは子が産まれれば即座に養子へ出し、なにも無かったふりをして実家へ戻るとアブラ話していました。モロッコでは婚外交渉と中絶が違法です。未婚の妊婦はすなわち「逮捕されていない犯罪者」であり、病院で出産しようとすれば警察に逮捕される危険があります。故郷に戻れば疎まれます。 産まれた子どもは「罪のある子」として周囲から虐げられるというのです。

町中が祭りの興奮に溢れる時、サミアに陣痛が始まります。サミアは、生まれ来る子の幸せを願い養子に出す覚悟をしていました。彼女は無事出産し、母親になっていきます。彼女と赤ん坊の間には絆が生まれています。そしていよいよ、赤ん坊を養子に出す日がやってきました。彼女は取り乱すことなく、じっと感情を抑え尊厳に満ちた表情なのです。

懐かしのキネマ その102 【バック・トゥ・ザ・フューチャ】

【Back to the Future】は1985年のアメリカのSF(Scientific Fiction)映画です。空想科学物語ですが「可能な未来の出来事に関する現実的な推測」を含んでいる内容です。SF小説の先駆といえば、既にこのブログの92話で取り上げた「八十日間世界一周」を書いたジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)を挙げることができます。人間の想像力の素晴らしさを示し、今日の社会現象や多くの文学作品や映画に影響を与えているのがSFです。

1985年のカリフォルニア州(California)ヒルバレー(Hill Valley)に住む高校生マーティ・マクフライ(Marty McFly)は、複雑な家庭の事情やバンドコンテストに落選したりして普通の人生を過ごしていました。ガールフレンドにジェニファー(Jennifer Parker)がいました。

ある日、マーティは、年輩の科学者で親友でもあるエメット・ブラウン博士 (Emmett “Doc” Brown)(通称ドク)から、念願のタイムマシンが完成したことを聞かされ、その実証実験の手伝いをすることになります。深夜のショッピングモールの「ツインパインズ」(Twin Pines)の駐車場にて、スポーツタイプの乗用車デロリアン(DeLorean)を改造してドクが開発したタイムマシン(time machine)の実験を1985年10月26日午前1時20分にするのです

デロリアンによって、1分後の1時21分にタイムトラベルさせる実験は無事成功します。ですがタイムマシンの肝である燃料のプルトニウム(plutonium) を調達するためにドクが騙したリビア(Libya)のテロリストの襲撃に遭い、ドクは凶弾に倒れてしまいます。命を狙われたマーティはとっさにタイムマシンに乗ってモールの駐車場内を逃走しますが、シフトレバーを動かす際に肘で次元転換装置のスイッチを入れてしまいます。そのため1955年11月5日にタイムスリップしてしまうのです。

マーティは1985年10月26日に戻ろうとしますが、燃料のプルトニウムを使い果たし、タイムスリップすることができません。そこでマーティは1955年のドクと会い、未来に帰る手助けをしてもらうことを思いつきます。ドクは、持っていたビデオカメラに残っていたタイムトラベル理論を思いつき、当時の自分しか知らないはずの事情をマーティが知っていたことから彼を信じ、協力することにします。しかし1955年当時は、容易にプルトニウムなど手に入るはずもないので途方に暮れてしまいます。マーティーがたまたま1985年から持ってきたチラシに、1955年11月12日22時4分にヒルバレー裁判所の時計台に落雷が起こることが書いてあるのを読みます。そこで落雷の電力を利用し、タイムマシンの次元転換装置を稼動させる工夫を考えます。

大きな問題がありました。1955年はマーティの父、ジョージ(George)と母ロレイン(Lorraine)が結婚のきっかけとなった年です。ロレインの父がジョージを車ではね、交通事故の救護のため自宅に運び込まれたジョージにロレインがひと目惚れするはずだったのです。しかし、はねられそうになったジョージを助けようとしてマーティがはねられてしまいます。そのため運び込まれたマーティに若き母のロレインは未来の息子に恋をしてしまうのです。

このままでは父と母が結婚せず、マーティが生まれなかったことになってしまいます。自分が存在しなくなる危険をドクから示唆されたマーティはジョージとロレインを結びつけるために奮闘しますが、首尾良くいきません。1955年11月12日に行われたプロム(prom)で、マーティは臆病者のジョージが不良のビフを退けてロレインとキスをする手助けをします。かろうじて自身の消滅を免れ、時計台に落雷する22時4分ギリギリにタイムマシンに乗り込み、ドクの命がけの助力で1985年10月26日のドクが銃撃される11分前の1時24分への帰還に成功します。

時計台にマーティが駆けつけますが、再度テロリストの銃撃を受けドクは倒れます。しかし、悲しむマーティですが目の前でドクはゆっくりと起き上がります。1955年から帰還する直前にマーティが残した手紙で、自分が銃撃される未来を知っていたドクは防弾チョッキを身につけていたのです。1985年10月26日にドクとの再会を喜んだ後に自宅に戻ったマーティは、家族が裕福になっていることに驚きます。父親のジョージは夢だった小説家として大成し,母親のロレインも元気に暮らしています。

幸せになったマクフライ家に満足したマーティの目の前に、再びドクがデロリアンに乗って現れます。そしてマーティに、多くの苦しむ子ども達を救うため未来へ同行して欲しい頼みます。マーティとガールフレンドのジェニファーを乗せ、未来の技術で改良されたデロリアンは走り去っていきます。

懐かしのキネマ その101 【大脱走】

原題は【The Great Escape】となっています。戦闘シーンのない戦争映画といえばこの作品です。連合国軍人捕虜(Prisoner of war: POW)の集団脱走を描いた異色の戦争映画です。出演はスティーブ・マックイーン(Steve McQueen) 、ジェームズ・ガーナー(James Garner)、チャールズ・ブロンソン(Charles Bronson) 、ジェームズ・コバーン(James Coburn,)、リチャード・アッテンボロー(Richard Attenborough) 、デヴィッド・マッカラム(David McCallum)などそうそうたる俳優です。

第二次大戦下のドイツ。一群の軍用トラックが新設されたスタラグ・ルフト(Stalag Luft)北捕虜収容所に到着します。この捕虜収容所に英軍中心の連合軍捕虜が送られてくるのですが、これらの捕虜の中に脱走常習犯が多数含まれていました。ドイツ軍は絶え間なく発生する脱走に手を焼き、常習犯を集めて脱走がきわめて難しくしたこの収容所を作ります。

トラックが収容所に到着すると、フォン・ルーガー所長(Colonel von Luger)は、連合軍捕虜の先任将校ラムゼイ大佐(Captain Ramsey)に対して「この収容所から脱出することは不可能だ。無駄な試みは辞めておとなしくせよ」と訓告します。しかし、大佐は「脱走して敵軍を混乱させるのは将兵の義務である」として所長に迎合しません。

捕虜収容所の中にはX集団という脱走組織が作られます。この組織はラムゼイ大佐の元にあり、そのリーダーはゲシュタポによって捕らえられたロジャー・バートレット(Roger Bartlett)という英国空軍の将校です。この脱走組織は、トンネルを掘り250名の捕虜を脱走させるという大胆な計画です。脱走兵を捕らえるために独軍は多くの兵を割かなければならないのです。組織は、三つのチームを作り、トム(Tim)、ディック(Dick)、ハリー(Harry)という3つのトンネルを掘り始めます。

アメリカ兵のバージル・ヒルツ(Virgil Hilts)は、監視台と監視台との間の鉄条網に盲点があることを見抜き、グローブとボールを持ってきて、さり気無くボールを鉄条網の傍に投げ入れて、立ち入り禁止区域に入ったが見つかり、機銃掃射を受けますが助かります。その大胆不敵な振舞いからさっそく所長に目をつけられて独房に放り込まれる始末です。

何回も脱走を繰り返しトンネルを掘りますが、見つかります。それでも三つのチームは諦めません。鉄条網から森までは100m位あります。それでも捕虜達はハリーというトンネルを掘り続けようやく76名が脱走します。脱走に成功した捕虜達は、様々な手段で逃走を続けます。しかし、追っ手によって次々と捕まり、結局脱走に成功したのは3名といわれます。

懐かしのキネマ その100 【史上最大の作戦】

この映画の題名は「The Longest Day」といいます。第二次大戦末の1944年6月6日に、米英仏加の連合軍がノルマンディ(Normandy)に上陸した日が「最も長い一日」、Dデイ(D-Day) といわれます。ヨーロッパにおいてナチスドイツはロシア東部戦線(Eastern Front)が膠着状態の中で、連合軍がフランス北部に上陸するとの予測が強まり、大西洋沿岸に地雷や障害物などを埋めて上陸作戦に備えていました。北アフリカから戻ってきたドイツ陸軍B軍団団長ロンメル元帥(Erwin Rommel)は、イギリスに面した海岸線で地雷の敷設が400万個と聞いて、600万個に増やすよう檄を飛ばしていました。その時ロンメルは「大軍を水際で撃滅させること、上陸する最初の24時間が極めて重要で、その時は連合軍にとっても我々にとっても一番長い日となるだろう」と語ります。

ドイツ軍情報部は、占領下のフランスにイギリスのBBC放送が送っている各メッセージの分析を行いながら、ヴェルレーヌ(Paul Verlaine)の詩『秋の歌』が放送されたことに注目していました。その一節「秋の日のヴィオロンの ためいきの」が数日間にわたって放送されて、次の後半の一節が放送された時は24時間以内に連合軍の上陸が始まる事を、レジスタンスから捕獲した資料で知っていました。そして西部軍参謀総長ブルーメントリット大将(Günther Blumentritt)から西部軍最高司令官ルントシュテット元帥(Gerd von Rundstedt)に警戒情報を出すように要請しますが、元帥はラジオから流されるヴェルレーヌの詩だけでは警戒情報は出せないと却下します。ロンメルは6月に入ってから悪天候が続きで連合軍の上陸はないと判断してベルリンに戻ります。

6月6日午前0時、ノルマンディ上陸作戦は、英軍第6空挺師団率ハワード少佐(Major Howard)が率いる部隊によるグライダー降下で始まります。オルヌ川(Orne)にかかる橋を確保するため、橋を夜襲で無傷で確保して、昼に海岸からやって来る本隊が合流するまで死守するのが任務でした。レジスタンスのメンバーはフランス国内の通信網の破壊活動に入ります。 空挺師団が降下を開始します。その中には自由フランス軍の部隊もおり、レジスタンスと協力して走って来た軍用列車を爆破します。兵士人形を吊り下げたパラシュートが降りてきたことが伝えられ、マルクス大将(Erich Marcks) は、この兵士人形は陽動作戦ではないかと疑うのです。ここではノルマンディー上陸作戦の戦況は詳しくは記しません。

後に、ノルマンディ上陸作戦を予想できなかったのがドイツ敗因の根本であるといわれます。Dデイとノルマンディ上陸を予想できず、臨機に処すべき機甲師団の移動は、ヒトラー睡眠中のために具申さえできませんでした。ロンメル元帥も、北アフリカのエルアラメイン(El Alamein)おの時と同じく、悪天候を理由に休暇をとっていました。ルントシュテット元帥も陰に回るとヒトラーをボヘミア(Bohemia)の伍長(corporal)よばわりしながら、表では正面からの衝突を避けます。連合軍の上陸地点がカレー(Calais)でなくノルマンディが主力だと最初から見抜いていたのは、第7軍参謀長のマックス・ペムゼル少将(Max-Josef Pemsel)とノルマンディ全体を統括する第84軍団長のエーリッヒ・マルクス大将(Erich Marcks)くらいといわれます。

懐かしのキネマ その99 【ハドソン川の奇跡】

原題は【Sully】といいます。Sullyとは、機長のニックネームです。 2009年1月15日、ラガーディア空港(LaGuardia Airport) 発、シャーロット(Charlotte)空港行きのUSエアウェイズ1549便は離陸直後、巡航高度に向かう途中に鳥の群れに遭遇し(bird strike)、鳥がエンジンに吸い込まれ、両エンジンが停止してしまいます。1549便の機長サリー・サレンバーガー(Chesley “Sully” Sullenberger)(愛称サリー)と副操縦士のジェフ・スカイルズ(Jeff Skiles)は、推力を失った機体を出発地ラガーディア空港に引き返えそうと試みます。しかし、高度が低すぎたために、近くにあるテーテボロ空港(Teterboro)にも着陸は不可能と考えます。やむを得ず眼下に流れるハドソン川(Hudson River)に不時着水することを決断します。

サリーの巧みな操縦によって着水の衝撃で機体が分解することもなく、乗務員の迅速な避難誘導や救助が早かったことなどもあり、大型旅客機の不時着水という大事故ながら、1人の死者も出さなかった奇跡的な出来事となります。このニュースは全米はおろか世界中で「ハドソン川の奇跡」と呼ばれ、サリーは一躍ヒーローとなります。しかし後日、National Transportation Safety Board:NTSBという事故調査委員会の調査によりシミュレートを行った結果、1549便はラガーディアにも他の空港にも着陸が可能だったという報告を突き付けられるのです。サリーとスカイルズは「あり得ない」と否定しますが、二人は疑惑の人物となってしまいます。議論の場は公聴会で行われることとなります。果たして機長の行動は正しかったのか、それとも乗客の命を危険に晒す行為だったのかが明かされていきます。

調査委員会の報告によれば、機体の左エンジンは僅かに動作しており、理論上はラガーディア空港に戻ることは出来たと主張します。いくつかのコンピュータによるシュミレーションでも同様な主張です。機長と副操縦士は、それに反論し、二つの意見が対立していきます。事故調査委員会は、二人のパイロットのミスが事故原因であると考えます。もしそうなれば、機長の資格は剥奪されます。そこで機長は、再度公の前でシュミレーションを実施するように求めます。シュミレーションでは機体は空港に戻ることができました。しかし、機長はシュミレーションの操作者が事前に事故を想定し、緊急事態に備えることが出来ていたので、非現実的なシュミレーションだったと反論します。

事故調査委員会は、機長の反論を受けて再検証します。そして、不時着までの35秒間、機長等がとった対応を加えるとラガーディア空港への引き返しでは、滑走路の手前で落下すること、さらにテーテボロ空港への緊急着陸も不可能で、手前のビルなどに激突したかもしれないと結論づけます。ハドソン川より引き揚げられたエンジンを調査した結果、バードストライクによって、エンジンが損傷していたことが判明します。機長等の判断は正しく、機長の「衝撃に備えて(brace)」の放送で緊急事態であることを即座に告げ、乗客に安全姿勢をとるよう促し、また着水後は迅速な避難誘導を行ったことで、全ての乗客の命が救われたと結論づけます。

懐かしのキネマ その98 【足ながおじさん 】

原題は【Daddy Long Legs】。億万長者と孤児の恋を描いたジーン・ウェブスター(Jean Webster)の同名小説を、フレッド・アステア(Fred Astaire)とレスリーキャロン(Leslie Caron)による華麗なダンスとともに描いた名作ミュージカルです。

【足ながおじさん 】は幾度も映画化、舞台化されますが、その中でもとりわけ愛されているのが本作といわれます。ミュージカル映画最大のスターとして戦前から君臨してきたフレッド・アステアが、『巴里のアメリカ人』(An American In Paris) でデビューした女優レスリー・キャロンをエスコートします。アステアは衰えを知らぬキレの良いダンスと大ベテランならではの風格を表しています。

フランスを訪れたアメリカの富豪ジャービス・ペンドルトン三世(JervisPendleton III)は、車の故障でジャンヌダルク(Jeanne d’Arc)という孤児院で助けを求めます。そこで出会った快活な少女ジュリー(Julie Andre)は、子どもの相手の仕方が非常に上手なので、ジャービスは彼女の能力に興味を持ちます。そして友人の駐仏大使を通して、彼女をマサチューセッツ州(Massachusetts)のウォルストン大学(Wallstone College)で勉強させるよう手配します。しかし、ジャービスは、ジュリーには自分の正体を明かさず、彼女が卒業までの生活を手紙に書いて匿名の「ジョン・スミス」(John Smith)宛てに送らせることにします。

大学ではフランス人留学生として好成績をおさめるジュリーです。彼女は学園生活を満喫し、まだ見ぬ紳士スミスを「足ながおじさん」と呼んで憧れます。沢山の手紙をスミス氏宛に書くのですが、一度も返事が来ないのです。ようやく数年後に、ジャービスは自分の本名を隠したまま大学を訪れてジュリーに会います。父親と娘のような年の違いなのですが、やがて二人は恋に陥ります。

懐かしのキネマ その97 【チャイナ・シンドローム】

原題は「The China Syndrome」といって、原子力発電所の取材中に事故に遭遇し真実を伝えようとする女性リポーターの活躍サスペンス映画です。1973年7月に公開されますが、たったの12日後にスリーマイル島(Three Mile Island)原子力発電所事故が発生します。ずさんな発電所管理の実態に気づき、事故を防ぐために命を懸ける原発管理者や不祥事を揉み消そうとする利益優先の経営者との対立を描いた問題作でもあります。「チャイナ・シンドローム」とは、 冷却装置の事故で、核燃料が高熱によってメルトダウンして放射能などが原子炉の外に漏れ出すことを意味する用語です。

アメリカの地方テレビ局の女性リポーター、キンバリー・ウェルズ(Kimberly Wells)は、原子力発電所のドキュメンタリー特番の担当となり、カメラマンのリチャード・アダムス(Richard Adams)とともにベンタナ(Ventana)原子力発電所の取材に赴きます。中央制御室を二人が見学中、原子力発電所は何らかのトラブルを起こしたような振動を発します。そこは撮影禁止の場所だったのですが、アダムスは密かにそのときのコントロールルームの様子を撮影していました。

後日、そのフィルムを原子力の専門家に見せると、専門家からはこれは重大な事故が起きる寸前であったと伝えられます。技師で制御室の責任者のジャック・ゴデル(Jack Godell )が計器の表示間違いに気づき、危ういところで大惨事を免れていました。ゴデルは過去の安全審査資料を調べ直し、トラブルに繋がる重大な証拠を発見します。検査にかかる費用を削減するため、定期検査の結果に不正が施されていたのをゴデルは発見するのです。

危機感を訴えるゴデルですが、原発管理者側は原子力発電の安全性を信じて疑わず、多額のコストがかかる検査など不要であるとして、ゴデルの訴えをはねつけます。そこでゴデルはキンバリーを通じ、検査に不正が施されていることをマスコミを通じて世間に告発しようとします。しかし、会社側から自分がねらわれていることをカーチェイス(car chase) で知ります。

ゴデルは追手を振り切って原子力発電所に駆け込みますが、原子炉が一刻の猶予もない状態まで進行しているのを知ります。そして制御室からテレビ中継を通じて原発事故に繋がるトラブルを世間に告発するか、制御室からの操作で汚染物質をばら撒き発電所を使用不能にすると叫びます。原発管理者側は警察の突入部隊を呼び出し、またいつでもテレビ中継を中断できるよう、電力供給を断つための工作活動を開始します。キンバリーによるテレビ中継が始まった直後、原発管理者側によって電力供給が絶たれ、原発事故が発生します。警報の作動により深刻な事態を悟ったゴデルは死に物狂いで原子炉の停止を試みますが、彼は警察の突入部隊によって射殺されます。しかし、ゴデルの努力で原子炉は停止します。

原発管理者側は駆けつけたテレビ中継の取材に対し、一連の騒動はゴデルが酒に酔って錯乱して起こしたものであると主張し、原発が安全であることを強調して事故の隠蔽を図ります。しかしゴデルの同僚のテッド・スピンドラー(Ted Spindler)はテレビ中継の前でゴデルを擁護する発言を行い、キンバリーも視聴者に対してゴデルの正当性を訴えるのです。