クリスマス・アドベント その5 クリスマスのいわれ

クリスマス(Christmas)は、ChristとMassの連語であることを前回述べました。「キリストの誕生を祝うミサ礼拝」ということです。クリスマスの歴史を振り返りますと、比較的新しいことがわかります。そのことに触れてみるのが今回の話題です。

クリスマスは、もともと”Yule time”と呼ばれ、特にゲルマン(Germanic)の”jul”やアングロサクソン(Anglo Saxson)の”geol”からきたのだといわれます。YuleとかYuletide(Yule time)というのは冬至の日を意味します。昔は、冬至がくると人々はその日を祝うのが習慣だったようです。ヨーロッパの人にとっては日がだんだん長くなることを待望して祝ったののです。Encyclopaedia Britannicaによれば、Yuleは非宗教的な祭りだったのが、いつのまにかChristmasに吸収されていったとあります。

北欧のスウェーデン(Sweeden)、デンマーク(Denmark)、ノールウエイ(Norway)でいまもクリスマスを”Yule”と呼んでいます。フィンランド(Finland)は”Joulu”と呼びます。クリスマスを意味する”Yuletide”という英単語のことです。”tide”の語源は期間とか時間という意味です。通常、tideは潮という意味です。Yuletideは12月24日から1月6日までの期間を指します。クリスマスの期間ということです。ですがこのYuleは今は古英語になってしまいました。

ラテン語で誕生は”natalis”です。クリスマスを意味する言葉ですが、このラテン語からクリスマスの言葉が生まれます。イタリア語は”Natale”、スペイン語は”Navidad”、フランス語はノエル(Noel)です。そしてドイツ語は”Weihnachten”です。”Weihは”聖なるかな”、そして”nachten”は”夜”という意味です。”Heilige Nacht”も同じ意味です。今回は、クリスマスとは世俗的な祝いや祭りから生まれたということを読者にお伝えしました。

クリスマス・アドベント その4 The First Noel

クリスマス(Christmas)の季節が今年もやってきました。キリスト教会では待降節(Advent)とか降臨節を迎えています。クリスマスまでの4週間のことです。礼拝堂では日曜日の礼拝毎にローソクが1本ずつ点火されます。所属するルーテル教会を例に挙げながら、クリスマスの内容や意義を記してみます。

Christmasは二つの単語から成ります。Christ(キリスト)とMas(マス)です。後者のMasはもともとはMassであり、礼拝とかミサを表します。従ってChristmasは「キリストの礼拝」となります。古事によるとChristmasは、元々12世紀頃の古い英語ではCristesmassと綴られていたそうでです。

ベブル語(Hebrew)の聖書にはMessiah(メシア、またはメサイア)が登場します。Messiahとは王様とか聖職者を意味します。王様はやがてキリストがMessiah=救世主として崇められるようになるのです。Messiahは特別に油や香料をそそがれたもの(anointed)、それが「救いをもたらす者」というようになります。Christmasは別名、ラテン語(Latin)から派生した誕生(Christ Natalis)ともいわれます。スカンディナビア半島では11世紀頃からChristmasの祝いが始まったとされ、その誕生祝いのことを「Old Norse Jol」と呼んでいました。スカンジナビアの人々(Scandinavian People) という意味だそうです。

時代がくだり、14世紀になると古いフランス語でノエル(Noel、または Nael)がChristmasとして使われます。Noelとはもともとは誕生という意味です。18世紀になるとこれが「The First Noel」という讃美歌に登場し世界中で親しまれるようになります。「初めてのクリスマス」という讃美歌です。我が国では「牧人ひつじを」という題名で讃美歌103番、聖歌27番として歌われています。

The first Noel, the angels say
To Bethlehem’s shepherds as they lay.
At midnight watch, when keeping sheep,
The winter wild, the light snow deep.
Noel, Noel, Noel, Noel
Born is the King of Israel. (American version)

クリスマス・アドベント その3 イマヌエル

今日は、アドベント、別名降臨節に関する記事を聖書から見てみることにします。それは旧約聖書のイザヤ書(The Book of Isaiah)です。預言者イザヤ(Isaiah)の名によって残される旧約聖書中最大の書といわれます。その成立は複数の者によって書き起こされ,内容からみて2部に分けられます。

最初は、1〜39章は前8世紀頃、主に預言者イザヤによって書かれ、主の懲らしめと裁きが中心に描かれています。40章で「慰めよ。慰めよ」という言葉がでてきます。次ぎに40章から66章は、慰めと回復のメッセージといわれています。具体的には、ユダ(Judea)とエルサレム(Jerusalem)に対するメッセージです。ユダが主から離れていくので、懲らしめを受けるのですが、最後には癒され、救われるという展開になっています。

北イスラエル王国(Northeran Israel)は、紀元前7世紀頃中東のオリエントを統一して最初の世界帝国であったアッシリア(Assyria)の攻撃を目前に控えていただけでなく、南ユダ王国(South Judea)も崩壊するのは時間の問題でありました。そうした緊迫した情勢を背景に、イスラエルの民の多くは一国も早く国外へ脱出することを望んでいました。アッシリア帝国による侵略の脅威に曝される中、神のみ告を信じていたのもユダヤ人です。

イザヤは「神が我らとともにおられる」を意味するイマヌエル(Emmanuel)という言葉を使います。イマヌエルとは、驚くべき指導者であり、力ある神の象徴であり、彼によってイスラエルが救われて平和の道を歩むことができると預言するのです。イマヌエルは新約聖書のキリストを示唆しています。イザヤは、「救いは主のもの」、あるいは「ヤハウェ(Yahweh、Jehovah)は救いなり」と教えます。人間が救われるのは、人間からでも行いからでも富からでもなく、主からなのだ、ということを最初から最後に至るまで一貫して教えています。

クリスマス・アドベント その2 樅の木

アドベント・リース(Advent wreath)には樅の木(Tannenbaum)の枝が使われます。しなやかなので丸いリースを作りやすいのです。樅の木は、「Christmas Tree」とも呼ばれます。そしてクリスマスのデコレーションに使われます。有名なのは、ニューヨーク市のロックフェラーセンター(Rockefeller Center)前に立てられるものです。毎年その点火がニュースとなります。高さ20メートルを超え、2007年からはLEDが使われています。今年は明日12月2日に点火式が行われます。

樅の木に戻ります。この常緑樹は強い生命力の象徴とされます。また「知恵の樹」とも呼ばれます。沢山の種類の飾り物がとりつけられます。子どもたちはそれを楽しみにしています。もともとはリンゴとかナッツなどの食べ物が枝にくくられたそうです。そしてロウソクとなり今は豆電球で飾られます。ベツレヘムの星(Bethlehem)やガブリエルの天使(Gabriel)の飾りもつけられます。

樅の木がクリスマスの木として使われるようになったのは15世紀頃といわれています。ドイツのゼレシュタト(Selestat)にある St. George’s Churchがその起源とか。ブリタニカ百科事典(Encyclopedia Britannica)によると, 樅の木は常緑樹(evergreen trees)として、エジプト人(Egypt) や中国人、ヘブル人(Hebrew)などが永遠の命を象徴する木として崇めていました。こうした信仰はヨーロッパの非キリスト教徒(pagan)らにも広まり、やがてスカンジナビア(Scandinavia)や西ヨーロッパに広まり、家々や納屋に立てられた樅の木は魔除けとしても、また鳥の止まり木としても飾られるようになったといわれます。

樅の木の代わりに”Paradise Tree”という常緑樹もクリスマスでは飾られたといわれます。中世のミステリ劇に登場する木です。それによると12月24日はアダムとイブ(Adam & Eva)と命名された日として祝われます。そこに飾られる木には禁断の実とされたリンゴが供えられました。さらに、種なしの薄焼きパン(Unleavened bread)も付けられました。種なしパンには聖餐(Eucharist)とか贖罪、救済(Redemption)の意味があったようです。

クリスマスアドベント その1 クリスマス・リース

この季節になると、ところどころの玄関にリース(wreath)とかクランツ(cranz)と呼ばれる飾り物をつけているのを見かけます。こうした家はクリスチャンの家族なのだろうと察します。


このリースは常緑樹である樅の木の枝を丸めて作ります。祭壇に置くときは、柊(ヒイラギ)の葉があしらわれてそこにろうそくを立てるのです。「柊」は季節にふさわしい漢字であり、緑々しい木です。柊が玄関の側に植えられるのは邪鬼を払うという言い伝えがあります。教会で飾られるリースは特別な意味があります。リースにある先の尖った柊の葉ですが、柊は十字架上で処刑されたキリストの冠の棘を表します。柊は英語で”holly tree”と呼ばれています。

リースは、クリスマス・リース(Christmas wreath)とも呼ばれ11月最終日曜日からキリスト教会で飾られます。今年のアドベントは11月29日から始まりました。燭台となるリースの上には4本のろうそくが立てられます。この日からキリストの誕生を待ち望む期間、待降節といわれるアドベント(Advent)が始まるのです。アドベントはキリストの誕生までの4週間を指します。

アドベント期間の礼拝に出席すると目に飛び込んでくるのが色。例えば、ろうそくの色は悔い改めや望みを表す紫とか青でです。聖職者の祭服や祭壇布、礼拝堂のタペストリーなどにも用いられます。典礼色に倣い、第三週のみピンクやローズカラーのろうそくを用いる場合が多いようです。ルーテル教会やメソジスト教会、聖公会などはそうです。アドベントの礼拝や祈祷での賛美歌は、救世主メシア(Messiah)の到来を待ち望むものが歌われます。

「久しく待ちにし、主よとく来たりて」 “O come, O come, Emmanuel” は、アドベントの時期に広く歌われる讃美歌です。詞・曲とも中世の聖歌だったとされます。旧約聖書のイザヤ書(The Book of Isaiah)第7章14節にある預言から由来しています。

Oh come, Oh come, Emmanuel
And ransom captive Israel
That mourns in lonely exile here
Until the Son of God appear
Rejoice! Rejoice! Emmanuel
Shall come to thee, O Israel!

アメリカの州鳥 その58 アメリカ領プエルト・リコの鳥: シトドフウキンチョウ

アメリカ合衆国の州の鳥の紹介はこれが最後です。プエルト・リコ(Puerto Rico)はカリブ(Calib)海域北東部にあり、西にハイチ(Haichi)とドミニカ(Dominica)共和国があります。住民の大半はスペイン系の白人で、アフリカ黒人の血をひく人々です。他のカリブ海の島々に比べ、奴隷制が発達しなかったので白人が多いのです。文化的にはスペインの植民地時代からの伝統が色濃いのが特色です。

1493年に本島のプエルト・リコにクリストファー・コロンブス(Christopher Columbus)が上陸します。1508年にスペインからの総督としてフアン・ポンセ・デ・レオン(Juan Ponce de Leon)らのコンキスタンドール(Conquistador)という征服者がやってきて、植民地化します。それ以来、プエルト・リコと名付けられます。Puertoとは、スペイン語で美しいとか豊かな、Ricoとは港という意味です。

1898年にアメリカ・スペイン戦争により合衆国領となり1952年にアメリカの自治領となります。1946年に合衆国はプエルト・リコ人を知事に任命し、1948年には初の民選知事が誕生します。現在の政治ですが、現体制を維持し、自治権を拡大しようとする勢力、完全な州制へ移行しようとする勢力、そして独立しようとする勢力からなります。独立派は少数派となっています。

プエルト・リコは農漁業やラム酒、観光、製薬などが主たる収入源で、サトウキビ、コーヒーの栽培が盛んです。高い失業率をかかえ、経済は製造業、金融サービス業、観光業、そして連邦政府からの援助に頼っています。

プエルト・リコの鳥は、シトドフウキンチョウ(Tanagers)です。ガラパゴス諸島を含む南北アメリカの熱帯に生息します。オスは色鮮やかな羽色が多いのですが、メスは地味です。9枚の風切羽を持つのが特徴といわれます。熱帯林の樹冠に住み、食性は多様で、昆虫食、花蜜食などを求める雑食の鳥です。アルバムを見るととても美しい姿の鳥です。

アメリカの州鳥 その57 アメリカ領グアムの鳥: グアムクイナ

グアム(Guam)は太平洋西部、ミクロネシア (Micronesia)のマリアナ諸島(Mariana Islands)の南端に位置しています。面積は日本の淡路島より少し小さい位です。ポルトガル人航海者マゼラン(Ferdinand Magellan)によって1521年に世界一周の途上で発見されます。1565年スペインのコンキスタドール(征服者)であるミゲル・ロペス・デ・レガスピ(Miguel López de Legazpi)がグアム島に到達し、スペイ ン国王がグアム島およびその他のマリアナ諸島の領有権を正式に宣言します。それ以来333年にわたり、スペインの統治時代が続きます。

1898年のアメリカ・スペイン戦争の結果、アメリカ領となります。アメ リカ海軍による統治は農業、保健衛生、教育、土地管理、税制、公共事業などに変革や改善をもたらします。1941年12月の真珠湾攻撃による太平洋戦争勃発を機に、日本軍はグアムを占領します。1950年にアメリカの自治属領(準州)となり、今日に至っています。グアムは太平洋の交通の要所で、軍事的経済的に重要性を持っています。

住民はチャモロ族(Chamorro)です。マリアナ諸島の先住民全般を指す民族です。チャモロ族は生活環境に適した独特の住居やカヌーを造り漁業に従事し、また複雑な織物や手の込んだ陶器の製作に通じています。強固な母系社会を形成し、チャモロ文化の担い手となっていました。フィリピンやメキシコからの移民により混血化し、純粋なチャモロ族はいないといわれます。

グアムの南東岸にあるイナラハン湾(Inarajan Bay)を背にして、伝統的なわらぶき屋根が軒を連ねるのがゲフパゴ•チャモロ(Gef Pago)文化村です。チャモロの手工芸品作りの実演や昔ながらの漁法を見ることができます。今はコロナ禍にあって日本からの観光客は全く途絶えて、グアムの経済を疲弊させています。

グアムの鳥はグアムクイナ(Guam rail)です。写真をみると尾羽は短く、上面の羽衣は褐色や黄褐色をしています。頭頂や眼先、頬の羽衣は赤褐色です。頸部から胸部の羽衣は淡灰色で、やがて淡黄色や黄褐色の帯模様がでてきます。沖縄県北部の国頭村地域だけに生息するヤンバルクイナとそっくりです。飛べない鳥です。ヤンバルとは(山原)と書きます。

アメリカの州鳥 その56 アメリカ領ヴァージン諸島の鳥: マミジロミツドリ

アメリカ50州の鳥の紹介は終わりました。次いでに合衆国の保護領(自治領)に触れていきます。保護領の人々は合衆国の市民権と自治政府、投票権を持っています。合衆国の保護領としてはヴァージン諸島(Virgin Islands)、グアム島(Guam)、プエルトリコ(Puerto Rico)があります。

Virgin Islands

私はグアムを除く他のアメリカ領はもちろん旅したことはありません。ヴァージン諸島の西半分がアメリカの保護領で東半分はイギリス領という複雑さです。一般の観光客が訪れる主要な島はセント・トーマス島(St. Thomas Island)、セント・クロイ島(St. Croix Island)、セント・ジョン島(St. John Island)の3島です。首都はセント・トーマス島にあるシャーロット・アマリー(Charlotte Amalie)となっています。セント・クロイ島には、世界で最大の石油精製所があります。

アメリカの保護領のために、大統領選挙などで投票はできません。人口の主な人種は、昔奴隷として連れて来られた子孫の黒人です。砂糖や野菜の栽培が盛んです。ラム酒も特産となっています。観光業が主たる産業となっています。

ヴァージン諸島の鳥はマミジロミツドリ(Bananaquit)です。マミジロミツドリは体長が約10センチと非常に小さいです。下腹は黄色く、背中は黒いのが目印です。くちばしは細長く曲がっており、花の蜜を吸うのに適しています。舌もその食性に合ったふさ毛のある管状になっています。マミジロミツドリはハチドリのようにホバリングすることは出来ないので、蜜を吸う間は枝などにとまります

アメリカの州鳥 その55 コロンビア特別区の鳥: モリツグミ

コロンビア特別区(Washington District of Columbia:DC)は、大西洋東海岸、メリーランド州(Maryland)とヴァージニア州(Virginia)に挟まれたポトマック河畔(Potomac River)に位置する合衆国の首都です。大国の首都としては面積は小さいのですが、国際的に強大な政治的影響力を保持する世界都市であり、また金融センターとしても知られています。172か国の大使館、世界銀行(World Bank)、国際通貨基金 (IMF)、米州機構 (OAS)、米州開発銀行(IDB)、汎アメリカ保健機関 (PAHO) などの本部も置かれています。労働組合、ロビイスト、職業組合など各種団体の本部もあります。

この都市は首都としての機能を果たすべく設計された計画都市です。アメリカ独立戦争を陸軍技師大尉として、司令官ジョージ・ワシントン(George Washington)に仕えたのが、ピエール・シャルル・ランファン(Pierre Charles L’Enfant)です。彼は、独立戦争での貢献が認められ、連邦都市建設計画のコンペに当選し基本計画案を作成します。この街は都市計画に基づく近代最初の首都となります。

コロンビア特別区は、連邦議会があらゆる権限を有していて、州には属さない合衆国・連邦政府の直轄地となっています。下院に本会議での投票権を持たない市代表(代議員)を選出していますが、上院議員の議席は与えられていない不平等さがあり、これが長年議論されています。特別区の東には多くの黒人が住み、人口の比率では全米一位となっています。他方、北西に位置するジョージタウン(Georgetown)は高級住宅地として知られています。

首都の中心にあるのがナショナルモール(National Mall)です。横長で芝生に覆われています。リンカーン記念堂(Lincoln Memorial)から連邦議会議事堂(Capitol)までの両側にホワイトハウス(White House)、スミソニアン学術協会(Smithsonian Institution)や連邦政府立など18の美術館や博物館が並びます。例えば自然史博物館(National Museum of Natural History)、航空宇宙博物館(National Air and Space Museum)、国立美術館(National Gallery of Art)、ホロコスト記念博物館(Holocaust Memorial Museum)などです。

コロンビア特別区の鳥はモリツグミ(Wood Thrush)です。頭と背は赤褐色、翼と尾は茶褐色、下腹は白色で黒色の大きな斑点があります。嘴は暗褐色で、足は桃色が特徴です。アメリカ東部で繁殖し、アメリカ南部やメキシコ、パナマで越冬します。合衆国の鳥としては地味な色の種類です。しかし、さえずり声は、まるでフルートのような響きを持っています。北アメリカで最も美しく鳴く鳥の一つといわれます。

アメリカの州鳥 その54 ワシントン州の鳥: オウゴンヒワ

ワシントン州(Washington)は太平洋岸に面し、北はカナダと国境を接しています。南はオレゴン州(Oregon)となっています。州都はオリンピア(Olympia)で最大の都市はシアトル(Seattle)となっています。常緑樹で覆われ、エバーグリーン州(Evergreen State)という愛称がついています。東海岸のワシントンDCとは別の州です。

ピュジット湾(Puget Sound)の沿岸には、オリンピアやシアトルを始めタコマ(Tacoma)、エヴェレット(Everett)といった都市があり、航空機、ミサイル、造船、車体製造、金属工業、化学工業、精密機械、水産加工などが盛んです。ボーイング( Boeing)の主力飛行機組立工場はエヴェレットにあります。経済面では、マイクロソフト(Microsoft)、アマゾン(Amazon.com)、スターバックス(Starbucks)などなど世界に名を馳せる企業の本拠地が多いことでも知られています。

リンゴの生産は全米第一位で、花の栽培も盛んです。全米で有数の林業州であり、鮭などの水産業も盛んです。戦前は多くに日本人が移民し、林業や漁業に従事しました。人種差別が激しい戦前で、ワシントン、カリフォルニア、オレゴン州に渡った移民一世の人々の労苦は歴史に残っています。

州鳥はオウゴンヒワ(American Goldfinch)です。繁殖期のオスは体の羽色が鮮やかな黄色になり、繁殖期以外にはその黄色がくすみます。メスもくすんだオリーブ色で、羽色は黒くて白色の縞模様があります。

アメリカの州鳥 その53 ワイオミング州の鳥: ニシマキバドリ

ワイオミング州 (Wyoming)はロッキー山脈(Rocky Mountains)の大陸分水界を含む山地が大半の州です。北はモンタナ州(Montana)、東はノースダコタ州(North Dakota)とサウスダ州(South Dakota)、南はコロラド州(Colorado)、西はアイダホ州(Idaho)に囲まれています。州都で最大の都市はシャイアン(Cheyenne)となっています。

1872年に世界初の国立公園となるイエローストーン国立公園(Yellowstone National Park)があります。世界で最も有名な間欠泉であるオールド・フェイスフル・ガイザー(The Old Faithful Geyser)が多くの観光客を呼んでいます。噴出は60~90分間隔で、その高さが30メートルから50メートルに達します。

山岳地帯では石油や天然ガス、石炭、ウランを産出します。ロッキー山脈から流れ出る河川によって形成された堆積平野の大平原(Great Plains)では、大麦、小麦、エン麦、トウモロコシの栽培が盛んです。

1869年に合衆国最初の地方議会で婦人参政権が認められ、1870年にララミー(Laramie)では女性が初めて陪審員を務めます。同年メアリー・アトキンソン(Mary Atokinson)が女性初の廷吏となり、さらにサウスパスシティ(South Pass City)ではエスター・モリス(Esther H. Morris)が女性初の治安判事になります。1925年にネリー・ロス(Nellie T. Ross)が初の女性知事に選出されます。それ故、「平等の州」(Equality State)という愛称が付いています。

ワイオミングの州鳥はニシマキバドリ(Western Meadowlark)です。全長20センチくらいで、腹と喉にかけては黄色です。胸には黒い帯が入り、背中は黒と薄褐色の縞模様をしています。嘴は長く昆虫やベリー、種子などを食べます。ヒバリ独特の短く甲高い声でさえずります。フルートのような響きです。

アメリカの州鳥 その52 ロードアイランド州の鳥: ロードアイランドレッド

ロードアイランド州(Rhode Island)は全米で最も面積が小さい州です。奈良県よりも小さいのです。最大の都市で州都はプロビデンス(Providence)となっています。ロードアイランド州は丘陵と平地が多く氷河湖が多いです。氷河湖とは、氷河が段々溶けて退くにつれて柔らかい土地が削られた所にできた湖のことです。州南東部にはナランガセット湾(Narragansett Bay)があり、そこに人口や産業が集中しています。貴金属、エレクトロニクスなどの付加価値の高い製造業が盛んです。沖合、沿岸漁業も盛んです。

1636年に、イギリス生まれの神学者で良心と行動の自由を求めたロジャー・ウイリアムズ(Roger Williams)が、マサチューセッツ(Massachusette)植民地から追放され、ロードアイランドにやってきます。ウイリアムズは政教分離原則の著名な学者でありました。アメリカインディアンの公正な扱いを主張し、それがもとで植民地から追い出されるのです。そしてウイリアムズは入植した地をプロビデンス(神の摂理)と名づけるのです。今の州都です。その後、クエーカー教徒がプロビデンスに集まり、オランダから逃げてきたユダヤ人らに救いの手を差し伸べるのです。

州の鳥は、ロードアイランドレッド(Rhode Island Red)です。アメリカ原産のニワトリの品種で卵肉兼用種として飼育されています。羽毛は赤褐色で身体堅強であり、年間200個以上の褐色卵を産みます。日本には明治37年に輸入されて、交配の結果、現在では日本農林規格の在来種として記載されています。

アメリカの州鳥 その51 ルイジアナ州の鳥: カッショクペリカン

ルイジアナ州(Louisiana)はメキシコ湾岸(Gulf of Mexico)に面し、東はフロリダ州(Florida)と、西はテキサス州(Texas)、北はアーカンソー州(Arkansas)と、州の大半がミシシッピー川(Mississippi River)に接しています。最大の都市はニューオリンズ(New Orleans)、州都はバトンルージュ(Baton Rouge)です。私はルイジアナに行ったことはありません。

1541年にデ・ソト(Hernando de Soto)というスペインに探検家が入り、1682年にフランス人探検家ラ・サール(Sieur de La Salle)がルイジアナと名付け、時のルイ14世に献上してフランス領と宣言します。下って1803年にフランスから買収してアメリカ領となります。

有名な都市といえばニューオリンズでしょう。フレンチクオータ(French Quarter)というフランス風の古き街として知られています。バルコニーがせり出たフランス風の邸宅が並びます。マディグラ(Mardi Gras)でも知られています。リオのカーニバル( Carnaval do Rio de Janeiro)などと並ぶ世界で最も有名な謝肉祭(カーニバル)です。

クレオール(Creole)とよばれるフランス系やスペイン系の人々が住んでいます。ルイジアナが買収される以前にルイジアナで生まれた人々とその子孫、また彼らと関わりのある事物のことも指します。クレオールは文化人類学でも使われています。

ルイジアナ州の鳥はカッショクペリカン(Brown Pelican)です。翼を広げると2mになりますが、ペリカンの中でも最も小さい鳥です。体重は3.74kg、雄のほうが大きいです。名前の通り、全身を褐色の羽毛に包まれており、白や薄い灰色が多いペリカンの仲間内でも異例といえます。頭部から頸部の色は白っぽい灰色となっています。魚の群れを見つけると空中から飛び込んで魚をとります。

アメリカの州鳥 その50 ユタ州の鳥: カリフォルニアカモメ

ユタ州(Utah)の西半分はグレイトベースン(Great Bason)という大盆地が広がり、北西部は塩砂漠湖(Great Salt Lake)があります。州名はユテインディアン(Ute Tribe)にちなんでいます。州都で最大の都市はソールトレイク・シテイ(Salt Lake City)となっています。州の中央部にワサッチ山脈(Wasatch Range)が南北に延びています。

1847年モルモン教徒が東部での迫害を逃れてユタにやってきました。その教会名は、末日聖徒イエス・キリスト教会(Church of Jesus Christ of Latter-day Saints)と呼ばれます。この教会の創始者はジョセフ・スミス(Joseph Smith)ですが、イリノイ州で近隣の人々との争いが続き、迫害を受けて殺されます。スミスを引き継いだ指導者がブリガム・ヤング(Brigham Young)です。モルモン教徒はソールトレイク・シテイの近くで、開拓のためにワサッチ山脈からの融雪水を使い、灌漑によって穀物栽培などを始めます。

ヤングの功績はモルモン教会の総本山、テンプル スクエア(Temple Square)礼拝堂を建設したことです。聖歌隊を組織し「モルモン・タバナクル合唱団」(Tabernacle Choir)となります。Tabernacle」とは幕屋とか礼拝堂という意味です。この聖歌隊は世界で最古で最大の聖歌隊の一つです。360名のボランティアの教会員で構成されています。礼拝堂の中には, 聖歌隊の伴奏をする11,623本のパイプを備えたタバナクルオルガン(Tabernacle Organ)があります。

モルモン教徒が迫害を受けた理由は、教会員の中で複婚すなわち一夫多妻制を実行していたことです。1890年にモルモン教会は綱領によって複婚は禁止します。現在のユタ州の人口対するモルモン教徒の構成比は約61%となっています。妊娠中絶や同性愛に反対します。このことから分かるように、ユタ州は圧倒的に共和党の強い州です。テキサス、アイダホに並ぶ保守共和党の牙城であるとされています。

ユタの州鳥はカリフォルニアカモメ(California Gull)です。カナダ中部からアメリカ西部の内陸部で繁殖し、冬期はアメリカ西海岸で越冬します。体長約50cm。羽色はセグロカモメと似ていますが、足が黄色または緑黄色であること、頭部が小さく胴体が長めであることで区別できるといわれます。

アメリカの州鳥 その49 モンタナ州の鳥: ニシマキバドリ

モンタナ州(Montana)の名称は、スペイン語の「Montañoso–山がちな」という言葉に由来します。カナダの国境に沿い、東西に長い州です。西はロッキー山脈(Rockey Mountains)、東は大平原(Great Plains)が広がります。州都はヘレナ(Helena), 最大の都市はビリングス(Billings)となっています。州は「Big Sky State」(蒼空の州)という愛称で呼ばれます。

経済は主にサービス業です。毎年多くの観光客がグレイシャー国立公園(Glacier National Park)、リトルビッグホーン戦場跡国定保護区(Little Bighorn Battlefield National Monument)、およびイエローストーン国立公園(Yellowstone National Park)を訪れています。東部では牧畜業、小麦農業、石油と石炭の採掘、西部では林業、観光業および岩石採掘業が盛んです。

1876年、ジョージ・カスター(George Custer)が率いる陸軍第七騎兵隊のインディアンの討伐隊が、州南部のリトルビッグホーン川(Bighorn River)のほとりでクロウ族(Crow)、シャイアン族(Cheyenne)、スー族( Sioux)、アラパホ族(Arapaho) などの連合軍との戦いによって全滅します。この戦によって連邦政府よるインディアン掃討が進み、 インディアンは土地を奪われ、強制的に居留地(reservation)に追いやられます。ケビン・コスナー(Kevin Costner)が監督し主演した映画「Dance with Wolves」にインディアンの逃避行が描かれています。

モンタナ出身の政治家で上院議員がウィリアム・フルブライト(James W. Fulbright)です。フルブライト奨学金(Fulbright Fellowships)という国際交換プログラムを創設します。戦後多くの日本人がこの基金を与えられ、帰国後は学会、官界、実業界、教育界、ジャーナリズム界、社会福祉界で活躍しました。設立以来の奨学生は160か国以上にわたり、その数は38万人に及んでいます。

州鳥はニシマキバドリ(Western Meadowlark)となっています。Meadowとは牧草地、Larkとはヒバリ、つまりMeadowlarkは牧草地などでみられるヒバリの様な鳥を指しています。背面の模様はヒバリに似ていて、首には黒いV字形の模様がついています。胸部は鮮やかな黄色をしているので他の鳥と見間違うことはありません。

アメリカの州鳥 その48 メリーランド州の鳥: バルチモアムクドリモドキ

メリーランド州は、北はペンシルヴァニア州(Pennsylvania)、西はウェストヴァジニア州(West Virginia)、東はデラウェア州(Delaware)に接し、大西洋に面しています。南はポトマック川(Potomac River)を隔ててウェストヴァジニア州とヴァジニア州(Virginia)と接しています。西はアパラチア山脈(Appalachian Mountains)、及びペードモント台地(Piedmont)が広がります。州の大半はアメリカメガロポリス(American Megalopoiis)に属し、ニューヨーク、ワシントンDC間の交通幹線軸が通っています。

メリーランド州(Maryland)州の州都はアナポリス(Annapolis)で、最大都市はバルティモア(Baltimore)です。アナポリスには合衆国の海軍大学があります。州名ですが、イギリス植民地時代に彼女の栄誉を称えて、イギリス国王チャールズ一世の王妃ヘンリエッタ・マリア(Henrietta Maria)からメリーランドとなります。

アメリカ国歌の誕生の地がフォート・マクヘンリー(Fort McHenry)です。星形の要塞で、米英戦争中の1814年9月に、チェサピーク湾(Chesapeake Bay)に侵入したイギリス海軍の艦隊がバルティモア港を攻撃してきたときに防衛に成功したことで知られています。メリーランドは、独立戦争ではイギリスの支配に反旗を翻した13植民地の一つです。

バルティモアには、世界最大の証券会社であるメリルリンチ(Merrill Lynch)をはじめ保健、不動産、不動産金融会社があります。食品加工、電気・電子機器、金属産業が盛んなところです。複雑な海岸線の出入りが多いチェサピーク湾をはさんで、海岸平野が広がります。

メリーランド州はワシントンD.Cの連邦政府に近いという位置づけを生かし、防衛・航空産業やバイオ研究所などがあります。さらに多くの教育や医療の研究機関があり、例えば世界屈指の医学部を有するアメリカ最難関大学の一つであるジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)やペンシルヴァニア州立大学(Pennsylvania State University)、ペンシルヴァニア大学(University of Pennsylvania)、カーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University)、世界最大の研究施設である国立衛生研究所(National Institutes of Health: NIH)とその医療研究施設があります。

州の鳥はバルチモアムクドリモドキ(Baltimore Oriole)です。オスは翼と頭部は黒色で、肩の一部と腹部は金色がかったオレンジ色をしており、色鮮やかで美しい姿です。他方、メスはオスに比べると地味で、部分的にオレンジ色をしているものの、全体的に茶色がかった薄緑色の羽をしています。バルチモアムクドリモドキは渡り鳥で、夏期のみメリーランド州を含むアメリカ東部に生息します。

アメリカの州鳥 その47 メイン州の鳥:アメリカコガラ

合衆国本土の最東北部に位置する小さな州がメイン(Maine)です。ニューイングランド(New England)の最東北部に位置する。東と南は大西洋に面し、西はニューハンプシャー州(New Hampshire)、北西はカナダのケベック州(Qubec)、北東は同じくニューブランズウィック州(New Brunswick)に接している。州都はオーガスタ市(Augusta)です。州の内部には森林が広がり、海岸線は観光地として知られています。

メイン州(Maine)の海産物はなんといってもロブスター(lobster)そして貝類(clam)。その他、家禽及び卵、乳製品、牛、ブルーベリー、リンゴ、そしてメイプルシロップです。他にも産業生産で高いのは高は材木及び製紙です。メイン州は、「松の木の州」(Pine Tree State)というニックネームがあり、全土の90%近くが森林となっています。合衆国の海軍基地を控え造船も盛んな地です。

ナーンバープレートには「Vacation Land」とあります。観光の州をうたっています。多くの州立公園があり、キャンピングなどアウトドアでも盛んなところです。豊富な海産物を背景に観光客には、必ず立ち寄るのが海産物を用意しているレストランです。

州鳥はアメリカコガラ(Black-capped Chickadee)です。北米大陸の北部にいる留鳥です。広葉樹林に群れを成して生活します。同じコガラの名を持つカロライナコガラとは南部と北部で棲み分けています。喉元の黒色模様がや一部の羽が白っぽいのが特徴です。名前の通り、頭は黒い帽子を被ったように見えます。寒い季節でも体温を下げ、夏の間貯めておいた種子などの餌場を記憶する習性があります。人の掌に載った餌をついばむ大胆さもあります。

アメリカの州鳥 その46 ミネソタ州の鳥: ハシグロアビ

ミネソタ州(Minnesota)の名前の由来です。スー・インディアン(Soux Indian)の言葉で「曇り空のような水」という意味だそうです。カナダと国境を接し、ウィスコンシン州の西隣に位置する州です。州都はセントポール(St. Paul)。最大の都市はミネアポリス(Minneapolis)です。この二つは隣合わせなので「双子の都市」(Twin Cities)と呼ばれています。ミネソタは伝統的に民主党の強い州です。今回の大統領選挙でもそれがはっきりと示されました。

林業が盛んな州です。伝説的な巨人、ポール・バンヤン(Paul Bayan)が活躍した舞台です。平坦な草原が広がり、小麦の栽培が盛んです。製粉業が発展しています。エン麦やジャガイモの生産は合衆国で第一、トウモロコシは第三位、大豆が第四位となっています。州北東部には合衆国で最大の鉄鉱石の産地となっています。五大湖水運の最終地ダルース(Dulth)から鉄鉱石が運ばれています。

州の車のナンバープレートには「10,000 Lakes」と印字されています。無数の湖で知られています。昔、氷河がミネソタ全体を覆っていたようです。氷河はゆっくり移動しますが、そのとき大地を削っていきます。それがもとで湖が出来たというわけです。あまりに沢山の湖があるので、目的地に着くには大分迂回しなければならないということを友人から聞いたことがあります。

友人から「ミネソタ州の鳥はなにか知っているか?」ときかれたことがあります。「それは蚊だ!」というジョークを言っていました。立ち止まって会話をしていると蚊だらけになるのです。沢山の湖があって蚊が繁殖しているのです。本題の州の鳥はハシグロアビ(Common Loon) です。「loon」とは(愚か者)という意味です。ハシグロアビは陸上で歩いている姿が不格好でぎこちないのです。頭部から頸にかけては光沢のある黒色で、喉と側頸に白と黒の縦じま模様があります。体の上面は黒く白斑が点在し、体の下面は白いです。嘴の色は黒くまっすぐ伸びています。日本でハシグロアビは飛んでこないようです。

アメリカの州鳥 その45 ネバダ州の鳥: ムジルリツグミ

ネバダ州(Nevada)は、西にカリフォルニア州(California)、北にオレゴン州(Oregon)、東にユタ州(Utah)、南にニューメキシコ(New Mexico)州に囲まれています。州都はカーソンシティ(Carson City)。最大の街はラスベガス(Las Vegas)となっています。今度の大統領選挙では、ジョー・バイデンが勝利した州です。

ネバダという名前は、雪がかぶった山々という意味の「Sierra Nevada」から由来したと言われます。北部は砂漠地帯、南部や渓谷と山となっています。ラスベガスの北104キロのところに核実験場(Nevada Test Site)があります。州内の土地の80%以上が連邦政府の所有となっています。戦後はしばしば新聞紙上で原爆実験の記事がありました。

ネバダの主産業は合法化されたカジノを代表とする娯楽産業と鉱業です。合衆国では唯一、売春が合法となっています。ラスベガスのカジノは多くの観光客を惹きつけています。これが大きな産業ともなっています。他の産業としては金の採掘です。世界でも世界第四位の金の算出を誇っています。車のナンバープレートには「The Silver State」となっています。

州の鳥はムジルリツグミ(Mountain Bluebird)です。その名の通り、オスは全身が青色です。メスは茶褐色で、姿がなんとなくすずめに似ています。ところでカナダのオンタリオ州(Ontario)を代表する鳥はBlue Jayですが、こちらは頭の冠がぴんととがっていて綺麗です。

アメリカの州鳥 その44 ミズーリ州の鳥: ルリツグミ

ミズーリ州(Missouri)のニックネームは「Show Me State」となっています。このフレーズが車のナンバープレートに書かれてあります。これは、「俺は疑い深いのだ、証拠を見せてくれ」という意味です。少々のことでは納得しない(Defiant)、という気概が感じられます。ミズーリ州や周辺の州は、トランプ大統領の岩盤支持層といわれ、バイブルベルト(Bible Belt)と呼ばれています。社会的には保守的であり、カトリック、福音系(Evangerical)や南部バプテスト系(Southern Baptist)など正統派(Orthdox)のキリスト教徒の多い州で、キリスト教や聖書をめぐる論争が続いています。

ミーズリは、合衆国中西部のミシシッピー川沿いの内陸にあります。8つの州にまたがるところでもあります。州都はジェファーソン・シティ(Jefferson City)。同州を代表する都市はなんといってもセントルイス(St.Louis)です。ミシシッピ川に面するこの町は、開拓時代より西部への玄関口として発展し、現在では中西部きっての観光地となっています。セントルイス市内には「Gateway Arch」アーチがそびえています。頂上からの眺めは、ミシシッピー川をはさんで360度の景色が楽しめます。ここには、Gateway Archが建設される様子の資料が展示されています。あの壮麗なアーチが出来上がる様をつぶさに映像で説明しています。

もともとの開拓には、フランスから移民としてやってきて、カナダでフランス植民地をつくった人々がミズーリにやってきたとあります。そのせいか、フランスの苗字が目立ちます。ミズーリ州は、大理石の生産で知られています。その他、鉛、石炭、採石が生産されています。ミズーリ川とミシシッピー川がこうした資源を運ぶ大動脈となっています。川には大小多くのバージ(barge)と呼ばれる運搬船が往来しています。

ミズーリの主要産業は、航空宇宙産業、輸送設備、食品加工、化学工業、印刷/出版、電気設備、製造業など多彩です。農業生産品は、牛肉、大豆、豚肉、乳製品、干し草、トウモロコシ、ニワトリなどの家禽、及び 鶏卵です。特に豚や牛の生産が盛んです。近年はワイン産業の育成にも州は力を入れています。

州鳥はルリツグミ(Eastern Bluebird)です。日本では、青といわずに「瑠璃」といいます。信号では、緑でも青と表現するのが特徴です。緑色のものを「青」と呼ぶ習慣が根強いからです。外国ではこのような呼び名と意味の使い分けはありません。ルリツグミは、春を告げる鳥として好まれてもいます。日本では春告げ鳥はウグイスといわれます。英語では、「warbler」とか「Japanese nightingale」となっています。