アメリカの州鳥 その46 ミネソタ州の鳥: ハシグロアビ

ミネソタ州(Minnesota)の名前の由来です。スー・インディアン(Soux Indian)の言葉で「曇り空のような水」という意味だそうです。カナダと国境を接し、ウィスコンシン州の西隣に位置する州です。州都はセントポール(St. Paul)。最大の都市はミネアポリス(Minneapolis)です。この二つは隣合わせなので「双子の都市」(Twin Cities)と呼ばれています。ミネソタは伝統的に民主党の強い州です。今回の大統領選挙でもそれがはっきりと示されました。

Common Loon

林業が盛んな州です。伝説的な巨人、ポール・バンヤン(Paul Bayan)が活躍した舞台です。平坦な草原が広がり、小麦の栽培が盛んです。製粉業が発展しています。エン麦やジャガイモの生産は合衆国で第一、トウモロコシは第三位、大豆が第四位となっています。州北東部には合衆国で最大の鉄鉱石の産地となっています。五大湖水運の最終地ダルース(Dulth)から鉄鉱石が運ばれています。

Minneapolis

州の車のナンバープレートには「10,000 Lakes」と印字されています。無数の湖で知られています。昔、氷河がミネソタ全体を覆っていたようです。氷河はゆっくり移動しますが、そのとき大地を削っていきます。それがもとで湖が出来たというわけです。あまりに沢山の湖があるので、目的地に着くには大分迂回しなければならないということを友人から聞いたことがあります。

友人から「ミネソタ州の鳥はなにか知っているか?」ときかれたことがあります。「それは蚊だ!」というジョークを言っていました。立ち止まって会話をしていると蚊だらけになるのです。沢山の湖があって蚊が繁殖しているのです。本題の州の鳥はハシグロアビ(Common Loon) です。「loon」とは(愚か者)という意味です。ハシグロアビは陸上で歩いている姿が不格好でぎこちないのです。頭部から頸にかけては光沢のある黒色で、喉と側頸に白と黒の縦じま模様があります。体の上面は黒く白斑が点在し、体の下面は白いです。嘴の色は黒くまっすぐ伸びています。日本でハシグロアビは飛んでこないようです。

アメリカの州鳥 その45 ネバダ州の鳥: ムジルリツグミ

ネバダ州(Nevada)は、西にカリフォルニア州(California)、北にオレゴン州(Oregon)、東にユタ州(Utah)、南にニューメキシコ(New Mexico)州に囲まれています。州都はカーソンシティ(Carson City)。最大の街はラスベガス(Las Vegas)となっています。今度の大統領選挙では、ジョー・バイデンが勝利した州です。

ネバダという名前は、雪がかぶった山々という意味の「Sierra Nevada」から由来したと言われます。北部は砂漠地帯、南部や渓谷と山となっています。ラスベガスの北104キロのところに核実験場(Nevada Test Site)があります。州内の土地の80%以上が連邦政府の所有となっています。戦後はしばしば新聞紙上で原爆実験の記事がありました。

ネバダの主産業は合法化されたカジノを代表とする娯楽産業と鉱業です。合衆国では唯一、売春が合法となっています。ラスベガスのカジノは多くの観光客を惹きつけています。これが大きな産業ともなっています。他の産業としては金の採掘です。世界でも世界第四位の金の算出を誇っています。車のナンバープレートには「The Silver State」となっています。

州の鳥はムジルリツグミ(Mountain Bluebird)です。その名の通り、オスは全身が青色です。メスは茶褐色で、姿がなんとなくすずめに似ています。ところでカナダのオンタリオ州(Ontario)を代表する鳥はBlue Jayですが、こちらは頭の冠がぴんととがっていて綺麗です。

アメリカの州鳥 その44 ミズーリ州の鳥: ルリツグミ

ミズーリ州(Missouri)のニックネームは「Show Me State」となっています。このフレーズが車のナンバープレートに書かれてあります。これは、「俺は疑い深いのだ、証拠を見せてくれ」という意味です。少々のことでは納得しない(Defiant)、という気概が感じられます。ミズーリ州や周辺の州は、トランプ大統領の岩盤支持層といわれ、バイブルベルト(Bible Belt)と呼ばれています。社会的には保守的であり、カトリック、福音系(Evangerical)や南部バプテスト系(Southern Baptist)など正統派(Orthdox)のキリスト教徒の多い州で、キリスト教や聖書をめぐる論争が続いています。

ミーズリは、合衆国中西部のミシシッピー川沿いの内陸にあります。8つの州にまたがるところでもあります。州都はジェファーソン・シティ(Jefferson City)。同州を代表する都市はなんといってもセントルイス(St.Louis)です。ミシシッピ川に面するこの町は、開拓時代より西部への玄関口として発展し、現在では中西部きっての観光地となっています。セントルイス市内には「Gateway Arch」アーチがそびえています。頂上からの眺めは、ミシシッピー川をはさんで360度の景色が楽しめます。ここには、Gateway Archが建設される様子の資料が展示されています。あの壮麗なアーチが出来上がる様をつぶさに映像で説明しています。

Eastern Bluebird

もともとの開拓には、フランスから移民としてやってきて、カナダでフランス植民地をつくった人々がミズーリにやってきたとあります。そのせいか、フランスの苗字が目立ちます。ミズーリ州は、大理石の生産で知られています。その他、鉛、石炭、採石が生産されています。ミズーリ川とミシシッピー川がこうした資源を運ぶ大動脈となっています。川には大小多くのバージ(barge)と呼ばれる運搬船が往来しています。

ミズーリの主要産業は、航空宇宙産業、輸送設備、食品加工、化学工業、印刷/出版、電気設備、製造業など多彩です。農業生産品は、牛肉、大豆、豚肉、乳製品、干し草、トウモロコシ、ニワトリなどの家禽、及び 鶏卵です。特に豚や牛の生産が盛んです。近年はワイン産業の育成にも州は力を入れています。

州鳥はルリツグミ(Eastern Bluebird)です。日本では、青といわずに「瑠璃」といいます。信号では、緑でも青と表現するのが特徴です。緑色のものを「青」と呼ぶ習慣が根強いからです。外国ではこのような呼び名と意味の使い分けはありません。ルリツグミは、春を告げる鳥として好まれてもいます。日本では春告げ鳥はウグイスといわれます。英語では、「warbler」とか「Japanese nightingale」となっています。

アメリカの州鳥 その43 ミシシッピ州の鳥: マネシツグミ

ミシシッピ州(Mississipi)は合衆国南部に位置する州です。ミシシッピは北はテネシー州(Tennessee)、東はアラバマ州(Alabama)とルイジアナ州(Louisiana)、南はメキシコ湾(Gulf of Mexico)と、西はアーカンソー州(Arkansas)で隣接しています。州名はインディアン部族オジブワ族(Ojibwa)の部族語で「大きな川」を意味するミシシッピ川(Mississippi River)から由来しています。州都および最大都市はジャクソン市(Jackson)です。

Northern Mockingbird

この地域に入った最初のヨーロッパ人探検家はスペイン人のエルナンド・デ・ソト(Hernando de Soto)で1497年頃といわれます。1699年4月、フランス人開拓者がオーシャンスプリングス(Ocean Spring)に最初の開拓地フォートモーリパス(Fort Morlipas)をつくります。さらに1716年、フランスはミシシッピ川沿いにナチェズ(Natchez)の街とロザリー砦(Fort Rosalie)を建設します。この町が中心地となり交易拠点となります。フランスはこの広大な領土を「ヌーベルフランス」(New France)と呼びます。こうして現在のアラバマ州南部とフロリダ州のメキシコ湾岸は、スペイン、フランス、イギリスの各植民地となっていきます。アメリカの独立戦争が終わると、この地域は新生合衆国の領土となります。

1850年代は、綿花がミシシッピ州のいわば王様であり、ミシシッピのプランテーション所有者、特にミシシッピ・デルタ(Mississipi Delta)やブラックベルト地域(Blak Belt)の所有者は土壌の肥沃さ、国際市場での綿花の高値、さらに奴隷という資産で裕福になります。そこから得られる利潤を使ってさらに綿花栽培用の土地と奴隷を購入していきます。ミシシッピ川のデルタで土地を所有する農夫の3分の2はアフリカ系アメリカ人でありました。

1910年には、綿花の価格下落などで黒人農夫の過半数がデルタの土地を失い、小作農になります。1920年では、奴隷解放後の第3世代となったアフリカ系アメリカ人の大半が、土地無し労働者になっていきます。1913年頃からは、グレートマイグレーション(Great Migration)と呼ばれる人口の移動が起こり、数万人ものアフリカ系アメリカ人がミシシッピ州を離れ、職を求めて北部のセントルイス(St. Louis)、シカゴ、デトロイト、フィラデルフィア(Philadelphia)、ニューヨークなど工業化された都市に移住します。

州の鳥はマネシツグミ(Northern Mockingbird)。”Mocking”とは”真似をする”という意味です。真似師鳥とも呼ばれ、他の鳥の鳴き声を真似することができるとも言われています。アメリカでよく見かける鳥で人気があり、5つの州の「州鳥」になっています。鳴き声がトゥララー・トゥイディリ・デー・デー(Tra-la-la, tweedlee dee dee)と表記されるほどです。

アメリカの州鳥 その42 ミシガン州の鳥: コマツグミ

ミシガン(Michigan)は自動車工業発祥の州として知られています。その中心はなっといってもデトロイト(Detroit)でしょう。五大湖のうちの4つに囲まれるという地の利が自動車産業を支えてきました。ゼネラルモーターズ(GM)、フォード(Ford)、クライスラー(Chlysler)のビッグスリーの本社がデトロイトとその近郊にあります。その他の産業も盛んです。アムウェイ(Amway)、穀物のケロッグ(Kelog)、ダウケミカル(Dow Chemical )、ワールプール(Whirlpool)などの本社もここにあります。

American Robin

ミシガン州やオハイオ州、ペンシルヴァニアなどの州は、「錆び付いた地帯」(Rust Belt)と呼ばれています。鉄鋼や繊維産業が衰退し、脱工業化に遅れた州といわれます。今回の大統領選挙ではオハイオ州を除き、バイデンがミシガン、ペンシルヴァニア、ウィスコンシンで勝利したのはグローバル時代の波に乗った結果ともいえそうです。ミシガンはスウィング・ステイト(Swing State)と呼ばれ、毎回、共和党と民主党がしのぎを削る州です。

ミシガン州(Michigan)のナンバープレートには「Great Lake State」と印字されています。五大湖を指しています。ミシガンは北はカナダと国境を接しスペリオル湖(Lake Supeior)、ヒューロン湖(Lake Huron)を抱え、西はウィスコンシン州、南はインディアナ州(Indiana)とオハイオ州(Ohio)に接しています。州都はランシング(Lansing)で最大の都市はご存じデトロイトです。デトロイト国際空港は6本の滑走路を有し、一大ハブ空港となっています。

ミシガンは一大レクリエーションの州でもあります。統計によるとミシガンはカリフォルニア、フロリダに続き全米で第三番目の観光客を集めた州といわれるほど自然に恵まれたところです。65,000の湖や沼が広がるというのですから、レクリエーション客を惹き付ける理由もうなずけます。4つの湖のそばはどこも州立公園や観光地といってよいほどです。

カナダの国境近くにはマキナック島(Mackinac Island)があります。夏はキャンプ、リゾート、なんでも楽しめます。この島は車禁止。移動手段は「リムジン馬車」か自転車となっています。生ガキとキャビア、魚料理の食事も最高です。のんびりと時間が流れるようなところです。

州の鳥はコマツグミ、別名ロビン(Robin)です。合衆国を代表するといえるほど親しまれている鳥です。ヒタキ科に分類されるで渡り鳥です。 鮮やかなオレンジ色が美しく、フレンドリーで愛らしい鳥です。大好きなミミズを探しに歩道や庭先の芝生の上にいるロビンをよくみかけます。頭部から翼にかけては灰色~黒色をしています。くちばしが黄色で眼の上下に白い縁取りがあるのも特徴です。胸が橙赤色です。ヨーロッパコマドリにちなみ「アメリカンロビン」(American Robin)と呼ばれています。アメリカで単に「ロビン」と言えばコマツグミのことです。

アメリカの州鳥 その41 マサチューセッツ州の鳥: アメリカコガラ

マサチューセッツ(Massachusetts)州都のボストン(Boston)から車で一時間のところに大西洋に面したプリマス(Plymoth)という港町があります。ここにメイフラワー号(MayflowerII)のレプリカが停泊しています。大西洋を渡り到着400年を記念して建造された船です。Mayflowerは1620年頃にイギリスから10週間の航海の後、このあたりに着いたことが記されています。102名の乗組員と移民が乗っていました。そのうち3名は妊婦で航海中に出産したことが記されています。長くてつらい大西洋の航海だったようです。

Black-Capped Chickadee

最初の移民の多くは清教徒(Pilgrims)でした。下船して清教徒が開拓したところが今日も大切に保存されています。この居留地はPlimoth Plantation(プリマス・プランテーション)と呼ばれて州の歴史的な公園となっています。開拓地は高い木の柵が巡らされてインディアンからの襲撃に備えたことを伺わせます。

Plimoth Plantation

Plantationに入りますと、そこは17世紀の植民地時代という設定です。タイムスリップするのです。そこで働く人は百姓、鍛冶屋、靴屋、パン屋さんなどいろいろ。当時の服装、言葉、動作で観光客に対応します。観光客はそのことを知らされません。こんな会話が交わされます。

  -働く人:どこから来ましたか?
  - 観光客:日本からきました。
  - 働く人:日本ってなんですか?どこにありますか?
  - 観光客:アジアです。
  - 働く人:どうやってここまで来ましたか?
  - 観光客:飛行機と車できました。 
  - 働く人:飛行機とか車ってなんですか?
  - 観光客:飛行機も車も知らないんですか、、、、。

マサチューセッツ州の車のナンバープレートには「Spirit of America」というキャッチフレーズが印字されています。1680年ころから、マサチューセッツはイギリスの植民地となります。1760年代になると、マサチューセッツ憲法として権利の宣言をし、イギリスの支配に反旗を翻し独立戦争が始まります。この自治と独立の精神が「Spirit of America」というものです。

州鳥はアメリカコガラ(Black-Capped Chickadee)といいます。全長13cm程度の大きさの北大陸北部に分布する留鳥です。冬になると体温を下げて寒さにも耐えられる鳥です。広葉樹林に群れを成して生活します。種子などを地面を掘って貯めますが、その場所をきちんと覚える特徴があります。人なつこく、手の平に餌を置くと飛んできてついばみます。

アメリカの州鳥 その40 フロリダ州の鳥: マネシツグミ

合衆国南部に突き出た半島でメキシコ湾(Gulf of Mexico)を囲むのがフロリダ州(Florida)です。そのナンバープレートには「Sunshine State」とあります。文字通り太陽の降り注ぐ温暖な州です。特に冬は、各地から避寒客がやってきます。極寒の中西部では、「フロリダに行ってくる」というフレーズは周りの人からは羨ましがられるのです。州都はタラハシー (Tallahassee)です。最大の都市はジャクソンビル (Jacksonville)、その他主な都市としてはマイアミ (Miami)があります。

フロリダは豊富な漁猟資源でも知られています。特産のエビや牡蠣(かき)でも有名です。映画「フォレストガンプ」(Forrest Gump)の終わりのところで、ヴェトナム戦争の戦友と再会しエビ捕りにでかけるシーンがあります。柑橘類の果実及びジュース生産も盛んな州です。

日本人にもフロリダ州は子どもや親にとって、わくわくするところです。オーランド(Orland)にあるディズニー・ワールド(Disney World)です。世界一の娯楽施設です。その広さはJR山手線内の約1.5倍というのですから、まさに桁外れのものです。オーランドにはユニバーサル・スタジオ(Universal Stadio)もあります。ディズニー・ワールドとあわせて毎年6,000万以上の人々がオーランドを訪れるというのです。フロリダには、アメリカ航空宇宙局 (NASA) のケネディ宇宙センターがあります。数々のロケットやスペースシャトルが打ち上げられてきたところです。

Northern Mockingbird

フロリダ州の鳥はマネシツグミ(Northern Mockingbird)です。様々な音を鳴き真似する特徴があります。くちばしは細く、顔はくちばしから目に向かって黒の筋が横切ったような模様をしています。鳴き声を発するのは主にオスで、他のオスから自分の縄張りを守るための警告です。繁殖期に交尾相手を誘うのもこの鳴き声です。繁殖期間中は攻撃的な性格になり、自分の巣に近づくものがいれば動物であっても人間であっても襲いかかる気丈夫な鳥です。

CNN.comよりの引用

アメリカの州鳥 その40 ハワイ州の鳥: ハワイガン

1778年にイギリスの海軍士官で、海洋探検家であったキャプテン・クック(Captain Cook)がハワイ(Hawaii)諸島のカウアイ島(Kauai Island)に上陸します。ハワイにやってきた最初の西欧人です。1795年から1893年までカメハメハ王朝(Kamehameha)がハワイ王国が統治します。そして、1959年に合衆国の50番目の州となります。

Hawaiian goose

ハワイは8つの主要な島と120余りの小島からなります。ハワイ島のマウナロア山(Mauna Loa)、キャラウエア山(Kīlauea)の活火山が有名です。先住民のポリネシア系、アジア系、白人など人種のるつぼです。渡来した宣教師が女性の腰みのを改めさせるために考案したのがムームー(muumuu)といわれます。

19世紀はサトウキビの生産と製糖が主要産業であり、大規模な製糖工場が建設されます。20世紀になるとにコーヒー産業への農地転換が行われ、作付け面積や収穫高が多いことで知られています。タロイモ(Taro)やパイナップルも盛んに栽培されています。ハワイではタロは「カロ」(kalo)と呼ばれています。豚肉や鶏肉をカロの若葉で包んで蒸し焼きにするラウラウ(Laulau)という郷土料理があります。タロイモは、熱帯アジアやオセアニアの島々、アフリカの熱帯雨林地帯ではさらに多くの品種が多く栽培されています。これを主食としている民族や地域も多いことは知られています。若葉は葉菜として利用されるのも特徴です。

1941年12月7日に日本軍の真珠湾攻撃で太平洋戦争が起こります。ハワイで生まれ育ち、アメリカの市民権を持つ日系アメリカ人の若者の多くは、自ら進んで志願兵となることで合衆国に対する忠誠心を示そうとします。彼らハワイの日系人だけで組織された陸軍第100大隊は、のちにアメリカ本土の日系人部隊と合流し442連隊(442nd Regimental Combat Team)となり、欧州戦線において多くの犠牲と引き換えにめざましい戦果を上げます。彼らの戦いは多くのアメリカ人に感銘を与え、ハワイと戦後のアメリカ社会における日系人の地位向上に貢献したことで知られています。

ハワイの州鳥はハワイガン(Hawaiian goose)で、地元に人々はネネ(Nene)と呼んでいます。「ネーネー」という鳴き声が由来といわれます。カナダガンがその先祖と言われ、ハワイ諸島に定住し進化を遂げました。ガンといっても渡り鳥としての性質はありませんが、水鳥なので泳ぐことができ、V字編隊での飛翔をするガンの特徴も残しています。産卵時期や産卵場所、交尾場所など、他のガンとは異なる性質が数多く確認されています。

アメリカの州鳥 その39 ペンシルヴァニア州の鳥: エリマキライチョウ

ペンシルヴァニア州(Pennsylvania)は北東部の州と南部の州、大西洋岸と中西部を結ぶ地点にあることから、キーストーン・ステート(Keystone State)「礎石の州」とも呼ばれます。今回の大統領選挙において最激戦区といわれます。エリー湖(Lake Erie)やオンタリオ湖(Lake Ontario)に面し、北はカナダとニューヨーク州に接し、東はニュージャージー(New Jersey)につながっています。形は横長の州です。州都はハリスバーグ(Harrisburg)。州の西には重要な河港を持ち、かつて鉄鋼業の中心地として栄えた町、ピッツバーグ市(Pittsburgh)、独立宣言のときに打ち鳴らされた”リバティーベル”(Liberty Bell)を見ることができる独立歴史公園がフィラデルフィア市(Philadelphia)があります。

Ruffed Grouse

ペンシルヴァニア州の名前の由来から始めます。クエーカー教徒(Quakers)が迫害から逃れて、安全に住める場所として開拓された新天地です。イギリスからやってきた商人でクエーカー教徒であったWilliam Pennという人がいました。やがて貿易などで成功したPennにイギリスは領地を分け与え植民地とします。ペンシルヴァニアには豊かな森が広がります。ラテン語で森を意味する「sylvania」にPennをつけたというわけです。

その後、ペンシルヴァニアは開拓されて植民地化されてはいましたが、Pennらはその地の自治を求めて自由憲章の草稿を書きいています。そしてイギリスからの独立を目指していきます。信教の自由、公正な裁判、主権を持つ人民により選ばれた代表、三権分立などの精神を訴えます。こうした考えは、後にアメリカ合衆国憲法の基本になる考えとなります。

ペンシルヴァニア州の鳥はエリマキライチョウ(Ruffed Grouse)です。全長40cmくらいで、翼長オス18cmです。冬季になると足元に櫛状の突起があらわれます。オスは眼上部にオレンジ色の肉質が見えます。夏季は開けた森林、冬季は針葉樹林に生息します。食性は雑食で、植物の芽、葉、果実、種子、昆虫などを食べます。婚姻形態は一夫一妻性。オスは頸部側面の羽毛や尾羽を逆立て、鳴き声を上げたり翼を震わせて音を出して(ドラミング)求愛します。

アメリカの州鳥 その38 ヴァモント州の鳥: チャイロツグミモドキ

1979年の夏、家族と一緒にカナダを旅してからヴァモント州(Vermont)の州都モントピーリア(Montpelier)を通りました。ヴァモントの州名はフランス語の「verr mont」(緑の山)からとられています。全米で最も小さい州都といわれます。小さな議事堂のロタンダ(rotunda)といわれる中央のドーム内は州の博物館となっています。小さなヴァモントの歴史は、イギリスからの独立をヴァモントが宣言した1777年以来の州つくりと大自然との共存の歩みとなっています。ヴァモント州の最大都市はバーリントン(Burlington)です。

Brown Thrasher

ヴァモント州はアメリカ合衆国北東部のニューイングランド(New England)地方の内陸にあります。北はカナダのケベック州 (Quebec)に、東はニューハンプシャー州(New Hampshier)、南はマサチューセッツ州(Massachussetts)、西はニューヨーク州(New York)に隣接しています。州の多くは山岳と森林で占められています。気候は内陸性ですから夏は暑く、冬は相当「しばれ」ます。ニューイングランドの紅葉は格別です。州の愛称は「Green Mountain State」でこれが車のナンバープレートに書かれています。

ヴァモント州は独立戦争でも名声をたかめます。1775年、ニューヨーク州のハドソン川(Hudson River)に築かれたイギリスの要塞タイコンデロガ砦(Fort Ticonderoga)を、イーサン・アレン(Ethan Allen)の指揮するグリーン・マウンテン・ボーイズ(Green Moutain Boys)などヴァモントからの民兵隊によって奪取します。
 
ヴァモント州最大の産業は観光です。畜産業も盛んです。観光客の多くはインターステート(高速道路)で数時間の距離にあるニューヨークやボストンからやってきます。豊かな自然を売りにしてスキー、サイクリング、キャンプ、フィッシングの鱒釣りなどが盛んです。秋はりんご狩りなどに大勢の観光客が訪れます。この州で忘れられないのはメープル・シロップ((maple syrup) の生産です。全米で最大の生産量を誇っています。サトウカエデの樹液を集めて精製します。シロップの琥珀色は薄いほど高級となります。メープル・シロップは熱いパンケーキやワッフルなどにかけてバターと一緒にいただくと最高ですね。

ヴァモント州の鳥はチャイロツグミモドキ(Brown Thrasher)となっています。チャイロツグミモドキは少し丸くなったくちばし、目の周りが黄色で、体全体が茶褐色となっています。尻尾は長く、すらりとしています。羽の上部には黒と白の斑点が並び、下腹は白いのですが黒褐色の縞が点在しています。ツグミの仲間です、鳴き声はチョロチョロ、チェチェと短く鳴きます。昆虫類のほか、種子なども食します。