心に残る名曲 その二十八 「シェナンド」Shenandoah

「シェナンド」は19世紀から歌われている合衆国の民謡で、歌詞から「オー・シェナンド」(Oh, Shenandoah)とか「広大なミズーリ川を越えて」(Across the Wide Missouri)とも呼ばれています。シェナンドは西部へ渡った人がヴァージニア州のシェナンド川またはシェナンド・バレー(Shenandoah Valley)を懐かしんで歌ったとも、そこに住む恋人のネイティブ・アメリカンの娘を焦がれる唄ともいわれます。歌詞からそのことが伺われます。

Oh, Shenandoah, I long to see you,
Away you rolling river.
Oh, Shenandoah, I long to see you,
Away, we’re bound away
‘Cross the wide Missouri

Oh, Shenandoah, I love your daughter,
Away, you rolling river.
For her I’d cross your roaming waters,
Away, I’m bound away
‘Cross the wide Missouri.

19世紀に至るまで、富を求めビーバーを捕獲する冒険家や交易商人がミズリー川の西に進出していました。多くはカナダからの毛皮商人です。孤独な旅をしながら時に原住民の女性と仲良くなったり結婚したりします。こうして恋の唄が作られます。

イロコイ・インディアン(Iroquiois)に「Shenandoah」と呼ばれた酋長いました。この酋長の娘と恋に落ちた旅人が歌ったのが「シェナンド」というのが本筋です。この曲を作ったのは、恐らくカナダ人で歌の上手な探検家ではなかったかという説があります。当時の交易手段は河川や運河を漕いでいくことです。そこで荷物を積み運ぶ商人はボートマン(boatman)と呼ばれ、非常に重宝されたようです。

「Shenandoah」はアメリカ史では、アメリカインディアンとして有名な酋長です。そのせいでしょうか、彼の名をつけた街があちこちにあります。この歌は海の上でも歌われ「Sea Shanties」とも呼ばれます。荷役をする人々、錨を上げ下げする人々の舟唄、労働歌のことです。