女性の生き方 居眠り磐音 江戸双紙 その3 ちゃきちゃきの深川っ子

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Wooden bridge by Katsushika Hokusai, color woodcut, 1830-1833

Wooden bridge by Katsushika Hokusai, color woodcut, 1830-1833

c65fc1383559e536c1d5777c46df471d財政難に陥っている関前藩のために、磐音は江戸に関前藩直轄の物産所を設け海産物を売りにだすという提案をします。それまで仲買人が中心となって海産物を扱い、賄をもらう一部の武士だけが潤っていたのです。廻船貿易の提案が実行されて、舟で運ばれてきた海産物が江戸で人気が高まり経営は軌道に乗っていきます。

深川っ子おこんは両替商の今津屋で奉公しています。おこんが外出して蕎麦屋で休んでいるとそこに金比羅屋の用心棒が現れます。赤銅色に焼けた水夫達がおこんを見つけ、「酌をしやがれっ!」と迫ります。おこんが断ると「女郎屋に叩き売ろうか!」と罵声を発したときのおこんの啖呵です。

「へん、ふざけっちゃいけないってんだ。こっちは深川六間堀で産湯を使ったちゃきちゃきの深川っ子だ。薄汚いお前なんぞの酌をする今津屋のおこん様に考え違いをしやがったか。背に彫った金比羅様がお泣きになっておいでだよ。明後日出直してきやがれ! 馬鹿野郎!」

こんな啖呵を切り、「あら、いやだ。私としたことが怒りに任せて地を出してしまったね」と慌てて顔を赤らめるのです。

本当に気っ風がよくてすかっとします。でも今津屋では礼儀作法にたけ、人の機微を解し、主人や番頭が絶大な信頼を得て奥の努めを果たしています。彼女は、気が利いて周りの女中にも親切で、普段は決して叱ったり大声を上げることはありません。

おこんが深川や両国界隈を歩くと、男衆が振り返りなんとか近い寄りたいと腕をこまねくのです。おこんは、磐音に首ったけなのですから、そこらの男に媚びを売ることはありません。