1872 年に世界ではじめて国立公園制度を成立させます。世界最初の国立公園は、1872 年に第18代合衆国大統領 ユリシーズ・グラント(Ulysses S. Grant)によって指定されたイエローストーン国立公園(Yellowstone National Park)です。1916 年に「風景、自然、史跡、野生動物の保存」を目的として、内務省(Department of the Interior)に国立公園局(National Park Service)が設置されます。アメリカは世界で初めて国立公園制度を取り入れ、有料制で世界最高水準の自然保護システムを確立しているといわれます。大自然はアメリカの財産という考え方があるからでしょう。
国立公園局は 59あるすべての国立公園と399 のエリアを管轄し、多くの国定記念物、さまざまな保護物と歴史的な特徴を管理する責任を持っています。総面積は 34 万k㎡。これは九州を除いた日本の面積に匹敵します。その96%が国有地で、敷地内にある道路、レストランから教会などの建造物に至るまで、当局の厳重な管理下にあります。
国立公園には必ずビジターセンター(visiter center)があります。パークレンジャー(park ranger)が常駐し自然環境の展示やジオラマ、映像上映があり、来場者の知識を深めるのに役立っています。生息する動植物のリストや天気予報など、公園のあらゆる情報を得ることができます。パークレンジャーによるレンジャープログラムのほとんどは無料で実施されており、予約なしで誰でも参加できます。パークレンジャーは、人々を連れてトレイル(trail)を歩きながら、その風景が生まれた経緯や生息動植物、絶滅の危機に瀕している動植物、先住民の言い伝えなどを聞かせてくれる親切さです。パークレンジャーには、常勤職員と臨時職員(seasonal)がいて、特に夏季にビジターセンターに配置される多くの若手職員は学生または大学卒業直後の臨時職員です。どの公園も芝が刈られ、木々は剪定されていて清潔です。
マイカーやレンタカーは駐車場に停めバスを利用します。バスは低公害の液化天然ガス車でCO2 削減、大気汚染などの環境汚染と交通渋滞を減らす施策を展開しています。バスには自転車ラックがあり、車いすや身体の不自由な人も乗降しやすい低床型となっています。自然保護のため国立公園内の宿は数が限られており、部屋は慢性的に不足しています。ヨセミテ(Yosemite)など人気が高い公園は、トップシーズンのキャビンやペンションの客室は1年前に予約で埋まります。