旅は道連れ世は情け その16 「わりかんはない」

ミネソタ大学の人々とはいろいろなエピソードが残っています。1986年頃のことです。私は横須賀にある国立特殊教育総合研究所、後の国立特別支援教育総合研究所で働いていました。研究所主催で「国際セミナー」が開かれました。誰を講師として招くかを協議したとき、ミネソタ大学心理教育学部の特別支援教育の先生方を招くことを提案しました。それが承認されて5人の教授を迎えることになりました。

ミネソタ大学心理教育学部が広島大学教育学部と研究の提携関係にありました。そこで、研究所でのセミナー後広島へ行きたいという先方の要望に応え、一行を連れて広島へ行きました。広島県立教育センターへに招かれて、4時間ほどの研究セミナーをしました。セミナーの開始前に参加していた研修のスタッフは「起立、礼、着席!」の声で始まり、終了後には感謝の意を込めてセンター歌を斉唱するのです。ミネソタの人たちは驚いていました。

その夜の懇親会です。誠に盛大な食事会でした。そろそろお開きと思っていると、先方の幹事が私のところにやってきて、「勘定は個人持ち」というのです。安月給の私です。一瞬クラッとしました。5人の教授から費用をもらうわけにはいかないのです。冷静さを装って6人分を幹事に渡しました。

この懇親会と立て替え費用のことは、長く彼らの間で話題となったと知らされました。その後、日光への観光では彼らは私の旅費や宿泊代をだしてくれました。広島の懇親会から、誰かが損して誰かが得したということではありません。まわりまわって皆が負担し合うというエピソードでありました。

2012012611035744e  University of Minnesota, Twin Cities

20080709112238