旅のエピソード その29 「カメラの置き忘れ」

ソウル(서울)の北70キロくらいのところに1992年に開館した烏頭山(オドゥ山)統一展望台(오두산 통일전망대) があります。臨津江(イムジン川-이무진강 )を隔てて北朝鮮と向かい合っています。板門店-판문점 や非武装地帯 (DMZ) とは異なり、外国からの観光客も韓国人も自由に訪ねることができます。この展望台は、漢江(ハンガ-한강 )と臨津江が合流する地点にあり、北朝鮮の農村地帯を展望することができます。ここを2度訪ねたのですが、最初は客員研究員でお招きしたソウル教育大学校のチョウ先生、そして2度目は大邱教育大学校のキム先生がそれぞれ案内してくださいました。

統一展望台から見える北朝鮮の農村ですが、かなり立派なアパート群が建ち、公民館、小学校なども見えます。しかし、夜になると電気はつきません。韓国からの脱走者を受け入れる宣伝に造られているのだそうです。望遠鏡で眺めてみましたが、人一人見当たりません。

面白いことに、この展望台の売店では北朝鮮名産の高麗人参酒や北朝鮮の切手、工芸品などのお土産も買うことができます。わずかながら、南北間で貿易も行われていることがわかります。しかし、展望台への道の海側には鉄条網が延々と続き、厳重に警戒されています。そしてところどころに歩哨が立つ小屋があります。

展望台の売店で家内がカメラを手洗いに忘れました。気がついて戻りましたが見あたりません。すぐ数名の警備員に連絡して探してもらいました。先を歩いていたグループの人々を追いかけるのですが、すでにバスは出発したあととのことでした。カメラを紛失し大事な想い出をなくして残念でしたが、親身となってくれた韓国人警備員と触れた旅となりました。お土産を残したと思えばと家内を慰めましたが、、、